事実と真実の違いがわかるまでに人生の多くの時間を要しました。惜しかったな~、せんらくやです。
整体師をやっていると、お客さんは当然、解剖の知識のない方なので、お話しする時はギャップを感じることがあります。そこで誤解のないように「腰が痛い」と言われると、この方の言う腰とはどこだろう?から考え、問います。
腰と一言でいっても前、後、右、左、真ん中、腰椎何番、仙骨、仙腸関節、腸骨上部、下部胸椎、と軽く部位をあげるだけでもこれだけあります。それによって、施術する部位を見立てることを私は行います。
これはご本人に質問して、現物がここにあるので指示していただき確認、ギャップ解消です。
そんなギャップの一つに"セルフケア"があります。
うちの整体院でよくある例です。
「Youtubeでみた体操やってたんですけど、全然、よくならないんですよね」
「どんな体操ですか?」
「こうやって、こうやって、回すやつです」
「あ~○○さんは、ここの可動域が狭いから、その体操すると、この筋肉一点に負担がかかるので、それはあかんかな~、回す運動って、その方の可動域によっては上手くいかない、解剖学的には難しい運動なんですよ」
「え~そうなんですか!インスタで有名な人も言ってたやつですよ」
「どんな人ですか?」
「この人です」
「この人、普通にアスリートですやん!○○さんはアスリートでもないし、この可動域もないし、これやりたいなら、もっと低い階段から始めましょうか」
と、まぁ、こんな感じです。
回すという運動は様々な関節可動の複合運動になります。
肩であれば屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋、水平屈曲、水平伸展の8つの運動方向の組み合わせです。
人によってはここに肘関節のの屈曲、伸展、回内、回外の4つも加わっています。
日本整形外傷学会 関節可動域表示ならびに測定法
https://www.jsfr.jp/download/info/2021/20211129_03.pdf
↑
これ一般の方も知っておくと、症状を伝える時などに便利だし、医療関係者は喜びます。
なので、なんのために、どの部位を目的とするのかを明確にして運動しないと、正しく目的に到達しない可能性がある上、逆に身体を壊してしまう可能性もあります。
経験の浅いPT、OTさんもここは丁寧に患者さんとコミュニケーションをとって、加療してほしいです。
そんなうちの整体院での一幕から転じて
今回は、情報の精査のお話しをします。
お時間のある方はお付き合いください。
2010年前後くらいからインターネットやSNSが発展し情報が容易に手に入るようになりました。
2020年代からは、その拡散のスピードはすさまじいものになりました。
それらは玉石混淆の情報です。
ここで大切なことが情報の精査です。
「事実」と「真実」の分類、判断です。
例えばあなたの好きなインフルエンサーの方が言っていた"セルフケア"は、その方に合っている可能性は高いです。(※中には間違っているものもある)
その方はあなたと年齢や体形、日ごろの生活の状態、時間の使い方、もっと言えばDNAも違うという事実があります。
つまり、それは、そのインフルエンサーの方の"オーダーメイドセルフケア”であり、あなたに合っているかどうかは別の話しになるということです。
なので、鵜呑みにするのではなく、一旦、距離をとって、間をおいてから、自分の身体、動作を鏡などで確認してから、取り組んでみてほしいです。
ここでインフルエンサーの方々を悪く言うつもりは一切ないということだけを付け加えた上で、彼らは「真実」と「事実」が混ざったものを発信している可能性が高いと知っておいてほしいです。
彼らは内観力(自分の身体の中の状態を認識する力)が高い方々が多いです。
彼らの高い内観力がそのまま全部、事実とは限らず、さらにそれが視聴者に伝わるとは限りません。
発信側と受信側のズレが生じることになります。
人は100人いれば100通りの「真実」があり、内観力と前提知識の違いがあります。
60%以上が合っていればうまくいくケースもあれば、60%合っていてもある1%の合っていないことで全てがエラーになるケースもあります。
私は体操を伝える時は、どのように受け止められたのかを確認、フィードバックを受けないと伝える側の責任として、私は安心できません。
さらにはそれを間違えないように継続していだだくように伝えています。
これはご自身の身体を守る上でとても重要なことです。
今回は“セルフケア”に特化したお話でしたが、
これは現代の情報化社会における大きな落とし穴につながっていると私は認識しています。
それが“言葉”という道具の使い方、国語力です。
“言葉”は語種と品詞という二つの観点から分類できるそうです。
語種は言葉の起源によって和語、漢語、外来語の3つに分けられるそうです。
品詞は名詞、動詞、形容詞、形容動詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞、助詞、助動詞の10種類です。
名詞、動詞は現物である程度、見せることができるのですが、形容詞以降がついてくると、突然、認知のズレが生まれます。
「白色」といっても200色あるくらいです。
「痛い」もいろんな種類があります。
こういった形容詞、形容動詞、副詞の語彙力を増やすだけでも、伝える力と受け取る力はより精度が高まっていき、国語力、表現力が向上します。その結果、コミュニケーションのエラーが生じにくくなるのではないかなと思います。
表現の自由は憲法で保証されているから正しく表現するためにもこの言葉を正しく取り扱えるようになることが大切。
国語力の向上によって人類はバージョンアップできるのではないかなと考えています。
私はこれこそが読書をする意味だと考えます。
岡田斗司夫さんは「読書は筋トレみたいなものだ」と仰っていて、なるほど、うまい例えだなと思いました。
ここでは発言、言葉に対する虚偽は度外視しています。
これをされると「事実」は無くなってしまい、ただでさえ、虚構の中で成り立っている人間の社会の秩序が崩壊し、暴力だけの生物になってしまいます。
人類は言葉を基とした信頼と敬意で成り立っているものというのが私の見解です。
誤り、過不足は訂正可能ですが、虚偽はいけない。
もし、コミュニケーションをとる者同士に語彙力の差がある場合は「事実認識力」「質問力」が重要になってきます。
ここが「失敗する伝言ゲーム」「報連相エラー」「デマの拡散」の発端かなとも思っています。
事実認識は原則5W1Hに準じていけば大体何とか補えます。5W1Hとは英語の「いつ、どこ、だれ、何、なぜ、どのように」の頭文字をとったものです。
この中の「どのように」が形容詞の部分でかなりたくさんあり、人によってズレが生じやすいので「言葉と文化を扱うことができる人間」としては丁寧に扱いたい次第です。
付け加えると、「言った、言わないの水掛け論」「誤解」は大抵が「お互いの真実と正義」を軸にお話しをするから起こります。真実と正義はどちらも不安定なものです。
「真実」よりも「事実」を軸にお話しをすると対立ではなく、合意、場合によっては不合意が生まれ、各々にとって現実的かつ建設的な未来の一歩が生まれると私は考えています。
複雑な問題に行き着いたり、漠然とした不安があり「事実」を捕まえきれない時は「知識、情報不足」が発生した状態です。今まで持っていなかった武器が必要になります。
そんな時が「要学習」ということになります。
ちなみに「学習」の意味はテストのために暗記することではなく、言葉の意味や物事の仕組み、歴史、理を知ることと私は認識しています。この「知識、情報という武器」を正しく使いこなせるようになると世界はかなりおもしろくなります。それは自分自身の進化につながります。年齢に関係なく人間として成長できるところだと思っています。
大事な事柄に関する情報をとる時は、
たとえ自分の状態に不都合な真実があったとしても、
それを正しく受け止めた上で、
一時的な感情ベース、なんとなく、雰囲気な情報ではなく、
5W1Hに沿った事実ベース、合理的、論理的な情報をとるようにする。
それこそが自分で自分を大切にすること、思い描く未来を上方、下方修正しながら、人生を悔いなく味わっていくことだと最近は特に思います。
滋賀県湖南市
未来を照らす整体
整処 千楽也(ととのえどころ せんらくや)
営業日 月、火、金、土、日曜日(祝日も営業)
定休日 水曜、木曜日
営業時間 10:00~19:00
予約電話 0748-60-8227
当日予約は13:00まで受け付け
ホームページ https://senrakuya.jimdo.com/