なるほどね。
そーゆー扱いされたとなると、俺も黙っちゃいらんねぇ。
そんな思考が頭をよぎり、俺はサチに対して「協力する。」とだけ伝えていた。
そうして俺は、莉子という彼女がいながら、夕紀を何とかカジから遠ざけ、自分の物にしてやろうと考えていたのだった。
動機は今思えばよく分からないが、俺のプライドと、意味不明な独占欲からであろう。
極めて自己中心的で、他人のことなど一切考えもしない醜い性格を自覚する事もないまま、俺はまた次の休日夕紀の家へ向かった。
そしてまた体を重ねたのだった。
が、しかし俺は苛立ちを感じていた。
そう、俺に抱かれている今も、こいつは別の男を頭の中で描いているような気がしてならなかったからだ。
腹の中から何かドス黒いものがこみ上げてくるような感覚に見舞われ、ついには怒りさえ感じていた。
俺は行為を止め、服を着て「帰る。」と一言言い残して帰ろうとした。
夕紀は必死に引きとめようとした。
俺にはなぜそうするのかわからなかった。
あいつは同じクラスのカジを想ってるはずで、俺に嫌われても何とも思わないだろうと決め付けていた。
しかし、未だ尚待って!といい続ける夕紀に、俺は一言言い放った。
「お前はカジが好きなんだろう?気にすんなよ。もーヤメだ。」
「え・・・?誰から聞いたの?」
「サチだよ。じゃな。」
そう言い残して俺は帰った。
帰る途中、俺は不快感に見舞われていた。
それは浮気に対する罪悪感などではなく、単なる苛立ちによるものだった。
俺が帰る瞬間何か言いたそうだった夕紀も少し気にはなっていた。
そうして、俺の浮気生活にはピリオドが打たれた。かのように思われた・・・。