自動車整備販売業、中小カーディーラーの人事・教育お役立ちブログ

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カーディーラーや自動車整備業の企業のコンサルティング、社員教育、人事評価制度づくり等の経験を基に、自分の持つ知見をブログにて公開致します。お悩みの経営者、人事担当者の皆様にお役立て下さい。

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前にも別のブログで少し書いてたんですが。

 

 

繁忙期問題も自動車整備販売業やカーディーラーにとっての重要なマネジメント課題ですよね。

多くの事業に繁忙期(時間)と閑散期(時間)があります。

繁華街の小売店やサービス業であれば、土日が繁忙日、平日が閑散日ですし、逆にビジネス街の食べ物屋さんなんかは、平日が繁忙日で土日が閑散日になります。

この場合、土日休みにしちゃえば、人件費他経費は削減できることになりますが。

時間帯による繁閑も当然ありますので、接客業にとっては、この問題は、結構、重要なマネジメント課題と言えます。

 

自動車関連サービス業、特に車販と車検が中心になっている企業でもこの繁閑差が激しいんですが、あまり上手くマネジメント出来ていないなあという印象です。

この場合の繁忙期は2~3月ということになります。これは、2~3月に車検満了日を迎えるユーザーが通常月に比べてかなり増えるからです。

この問題の根源は世界に冠たるたる日本の大自動車メーカー、トヨタやホンダや日産やスズキやダイハツ等々。

が3月決算である為、年間業績を良く見せる為に2~3月に様々なキャンペーン・押し込み販売を続けて、歪な状態を作ったという感じです。表立って批判するニュースは出てきませんが、車検事業を中心にしてる車屋さんでは愚痴の一つも言いたいのではないかと思います。

 

2~3月に車検満了日を迎えるユーザーが多く、4~6月とか、10~11月とかは、車検満了を迎える車が相対的に少ない。

車検事業をやる為には整備士を抱える必要があります。整備士さんってアルバイト、パートでってわけにはいかない。

まして最近は整備士不足でその人件費も高くなってきている。

当然、繁忙期はかき入れ時でもあるので、一定の人員体制を整えておきたいわけですが、そうすると暇な時期に整備士を遊ばせることになる。ということで、適当な人員で繁忙期は休日出勤や深夜残業をしてもらってという工場やディーラーの経営のやり方になってる感じです。

人間って、一定の時期でも休日出勤が増えたり深夜残業が重なるとモチベーションが落ちます。ということで繁忙期に嫌になって辞めたり、職を変えたりする整備士さんも結構いるみたいです。これ、良くないですよね~。

「繁忙期は忙しいものだ。休みの日も仕事、残業も深夜まで」、20年以上前ならこれでも良かったかもですが、時代はもう完全に変わってますので、こういうセンスで経営をしている工場やディーラーはますます人員不足になっていくことになり、最終的には破綻するだろうという気がします。

 

この2~3月が繁忙期になるというのは、上述の自動車メーカーの長年の悪政の結果ですが構造的にはどうしようもないですね。勿論、少しずつは緩和されていくと思いますが、日本の自動車の保有台数は8000万台ぐらいで1年の新車登録台数が300~400万ぐらいだと思いますので、10年経っても20年経っても、この構造ってそんなに変わらないんじゃないかなと思います。30年後40年後だと変わってるかもしれませんが、変わってないかもしれません。という感じです。

 

ならば、2~3月に車検満了期を迎える車両が多いという構造を前向きに捉えて、上手にマネジメントしていくことが戦略的には正しいだろうと思います。

実際に繁忙期対策ということで、自動車整備業、カーディーラーの中にはいろいろと工夫されているケースも多くあります。

 

1.車検の前倒し

車検は1ヶ月前から受けられますので、2月~3月のキャパを残しておく為に、管理顧客に対して前倒しの入庫をお願いするという方法です。これは結構やられてる会社が多いですよね。イメージとしては、9月は半期決算的な影響があって車検台数が多くて、10月~12月は車検満了期を迎える車が少ない。そこで11月満了の車を極力10月に車検する。これを順繰りにやってると1月もそこそこキャパが空きますので、2月車検満了期を迎える車の半分ぐらいを目標に1月に入庫させる。

これができると、2~3月の対象台数のうち2~3割は抑えることができて、その分、コントロールが効きやすい。残業は増えるにしても、休日出勤や深夜残業は無くなっているなんて話も聞いたりします。

 

2.稼働日のコントロール

これは、どうせ2~3月は忙しいんだから、この時期は休みを減らす、というちょっと乱暴な施策です。普段は月6日+祝日を休日にしてるとしたら、2~3月は、週1日の4日の休日にするという作戦ですね。そしてその期間頑張って働いた人に特別手当を支給する。勿論、予めこういう出勤体制ですよということは、社員とは合意しておく必要がありますが。

そして2~3月に休まなかった分を4~5月に代わりに多く休んでもらう。ある会社では、ゴールデンウィークとは別に1週間の休みを取れたり、又、その期間に普段できなかった社員研修や社員旅行を組み込むというやり方もあります。

 

3.繁忙期の応援体制を作っておく。

カーディーラー等では、フロントや営業をやっている人でも昔は整備士で資格を持っている人、整備経験のある人が結構います。繁忙期については、この期間は整備工場内の作業を手伝ってもらうという対策です。

営業マンも繁忙期は忙しいというのが常識でしたが、上述した新車納期の遅れによって、実は結構余裕があったりするんじゃないかと思います。納期が3ヶ月かかるとなると、2~3月に納車する車については、9月頃からスタートして、11月には商談締結しておきたいですね。これを当たり前にするとすると、営業スタッフは2~3月は納車作業はあるでしょうが、商談はあまり忙しくないということになると思います。勿論、各社の事情もあるでしょうが、対策としてはありだろうと思います。

応援体制としては、60歳でリタイヤしたけどまだ元気なOBとか、整備士経験はないけど小回りの利く若者をアルバイトとして雇用するというやり方もあるかもしれません。

 

4.車検以外の作業を、極力繁忙期にはやらない。

これも割とよくやってると思いますが、車検時には必要最低限の部品交換にしておいて、本来、変えておいた方が良い部品については、後日、修理・整備させて頂くお約束を取るというやり方です。後日整備割引みたいな手法を使えば、お客さん側も有難がると思いますね。

 

という感じで、いろんな対策を試して効果を出している企業さんも多いと思います。

ただし、上手くできていない企業さんも多い。

「うちは上手くできてないなあ」というところでは、是非、ここの対策を徹底的に考えて積極的に取り組むことをお勧めします。最初は難しいことも多いでしょうが、3~4年やり続けてれば、間違いなく効果が出てくると思います。