事業計画をつくるときの留意点や方法を具体的に解説してくれています。戦略についての本やSWOT分析などのフレームワークの解説本はよそにたくさんありますが、それらにはない良さが本書にはあると思います。
残念な事業計画の例(↓)も紹介されており(p60-61)、かなり分かりやすいですし、自分のところを振り返りながら、読める本だと思います。
<例1>想いのアピールはあるが、想いが数字になっていない
(前年比10%の売上増加を目指しますなどの根拠の見えない数字になっており、具体性がない)
<例2>実行責任者が関与しておらず、無責任な計画になってしまっている
(企画部門だけで作成し、実行現場の納得感を得られていない)
<例3>作ることだけが恒例行事として定着している
(作ることが目的になってしまっている)
僕は民間企業のコンサルよりも、公的な組織の計画づくりの経験のほうが多いので、そっちほうで考えるのですが、自治体や学校など、公的な組織にもすごくありがちな話ですよね、この残念なパターンは。
特に、<例1>は僕自身の反省点としても、もっとよくやらねばと思いました。
ビジネスモデルなり事業モデルをつくるまではいった気になるんですけど、その事業モデルと呼ばれるものが、数字(財政、財務的なシミュレーション等、できればフローだけじゃなく、ストックの視点でも)の検討は不足しており、まだまだ構想段階です、っていうシーンはかなりあるのではないでしょうか?もちろん、数字も一定の机上論ではあるんでしょうけど、数字を見ることで、本書でいうところのリアルな計画になるかどうかがまったく異なってくるだろうなということは想像できます。
公的な組織の場合は、PFIや料金収入のある一部の事業をのぞいて、コストメインだとは思いますが、○○計画の中で、こんな事業やります、と言っておきながら、じゃあ、それにどのくらいの予算がかかるのか、またその予算を後年もずっとかけるのか(だんだん低減していけるのかとか)が曖昧な計画は少なくないのではないでしょうか?財政当局と話すときにはそうした点は詰められるわけですけど。計画段階では、金勘定を書くと夢がなくなる的な発想をしている方もいるかもしれませんが、金勘定がない計画はリアリティを欠き、環境変化に応じた実行段階での軌道修正なども図りにくい、と本書では述べているように思いました。
少し注文をつけるならば、本書ではタイトルはIGPI流となっていますが、あまりオリジナリティは感じません。コスト構造の分析など、僕はそう長けているわけでないので、偉そうなことを言うつもりは全くありませんが、かなりオーソドックスな方法論を解説しているように推察します。というか、地道な積み重ねがやっぱり大事ということか、とも思いました。
また、本書は事業計画についてとりあげた1章~3章は参考になりましたが、事業戦略についての4章は、物足りない気がしました。というのは、勝ちパターンを見極めよ、勝ちパターンを因数分解するとこんな要素だよね的な話は書いているのですが、So What?と言いたくなるんです。戦略については、僕は楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略」などの本のほうが腹落ちしやすいなあという感想をもちました。
自分勝手に要約すると、事業計画について、公的組織にいる方にとっても自身のところのやり方を見直すうえで参考となる情報が1章、2章あたりにありますので、そこがおススメです。
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