- 「愛される学校」の作り方―悩める校長とPTAを救う!実践とノウハウ 校長・P (学校力アップシ.../プラネクサス

- ¥1,620
- Amazon.co.jp
まず、2014年当時、愛知県の小牧中学校の校長とPTA会長だったお二人の共著であること。現職の校長とPTAがいっしょに本を書くのはとても珍しい。それほど小牧中学校では、学校と家庭、地域との信頼関係づくりと連携が進んだということでもある。そのことは、本書を読めばよく分かるし、また同校のウェブページを一度覗いてみるとよいと思う。
ところで、多くの小中学校では、PTAは、Parent-Teacher Association だと言っても、教頭など一部をのぞき、Teacher側はそう深くは関わらない。また、保護者は学校に子どもという人質をとられていて強く言えないし、逆にモンスター化されてもということで、両者の関係に悩む学校も多い。実は、小牧中学校もはじめからすごく連携があったわけではなく、腹の探りあいから(とは言いすぎかもしれないが)、少しずつお互いの関係づくりをして、活動を徐々に広げていった。
この過程、試行錯誤しながら活動を進化させているプロセスが、母親目線と校長目線の両方から分かるという点が、本書の大変魅力的なポイントだ。
たとえば、親目線と教員目線の最もギャップがあることのひとつは、授業ではないだろうか?本書の第8章は授業参観をテーマにしている。斎藤さんは、小学校と違って、中学校の授業は見ていてもつまらないと告白。玉置さんは、ハイハイと手があがる授業がいい授業とは必ずしもいえないということを解説、なるほど。他方、斎藤さんからの提案、保護者は中学校で学習することなんてよく分からないことも多いのだから、授業のポイントを学校側も授業はじめなどに伝えたほうがよいのでは?というコメントも的を射ている。
「学校と家庭、地域との連携を進める」という文言は、おそらくほとんどの学校の計画や方針には書かれている。しかし、連携の深さと広がりは、ずいぶんと学校や地域により異なる。
小牧中でいいなと思ったのは、上記のとおり、子どもがもっとも長い時間を過ごす授業についても、学校とPTAのコミュニケーションがかなり生まれているという点だ。また、本書の最終章で紹介されているように、子どもたちとスマホをテーマにした勉強会を学校とPTA、地域コーディネーターが協力して企画・運営するなど、学校だけ、あるいは家庭だけでがんばったのでは限界があることにチャレンジしていることにも共感をもった。
小牧中の関係者や読者の中には、玉置さんと斎藤さん(スーパー校長とスーパーPTA会長?)だから、様々な新しいチャレンジやすばらしい取組ができた、という印象をもつ方もいると思う。これは、おそらく、半分以上当たっていると思う。柔軟な発想と、本書のタイトルのように「愛される学校づくり」(いいタイトルですね)に熱意と行動力(とくに後者)をもっておられる人材はそうそういない。
しかし、同時に、玉置さんや斎藤さんでなくても、かなりの程度展開できるノウハウやヒントが本書にはつまっている。まずはお二人のように、これはどうなんだろうと疑問に思っていることや、こんなこともできないだろうかというアイデアを出してみることからかもしれない。小牧中だけでなく、学校にはチャレンジできることはかなりある。