さて、昨日(5月6日付)の日経新聞にけっこう面白い記事が載っていました(「三種の神器フル稼働 防犯カメラ・DNA鑑定・携帯」)。旬に左右されにくいネタなので、この時期、お休みをとる記者の方が多いので書き留めておいたものだろうとは推察しますが、たいへん勉強になる記事でした。
犯罪捜査に上記三種の神器は今やなくてはならないものになりつつあるが、安易に依存してもいけないという内容。印象的だった内容をピックアップします。
○大手警備会社によると、防犯カメラは国内に400万台を超えている。ただし、画像は1週間程度で上書きされることが多く、捜査では、現場周辺で早く画像を集めることが鉄則。
○大阪大学八木教授らの研究では、歩幅や腕の振り方の特徴から個人を識別するソフトを開発。警察庁科学警察研究所(~なんかマンガに出てきそうな、ちょっと行ってみたい名前~)が実用性の評価を進めている。
○DNA鑑定の精度は、約25年前の導入当初の千人に1・2人のレベルから、今や4兆7千億人に1人に向上。2012年の解析数は約26万7千件。
○携帯電話は、GPSや基地局との通信による位置情報が容疑者の追跡などに活用されている。
この記事を読んで、真っ先に思い出したのは、小説・映画の「プラチナデータ」。僕は映画のみしか見ていませんが、秀逸な作品です。とよえつ、相変わらずしぶい役どころだし。舞台はDNA鑑定によって犯人の特定精度が飛躍的に向上した近未来。映画の中では、警察から追われる主人公が、街の防犯カメラや衛星によって居場所を追われていく様子もスリリングかつリアリティ高く描かれています。今回の記事を読むと、プラチナデータで描く近未来は、たいへん近いとも感じます。
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この防犯カメラの話をとっても、日ごろ僕たちはあまり意識しないのですが、400万台以上というが録画中であり、そのデータはいまのビッグデータや画像解析の技術進歩のおかげで、どんどん活用されやすくなっているというのが現実のようです。先日、フェイスブックに安易に子どもの写真を載せるのはやめたほうがよいという記事が多くシェアされていまして、僕もシェアしたのですが、気にし始めると街を歩けませんよ、とコメントくださる方もいました。防犯カメラで子どもの画像や動画が日常的にとられているという意味です。
監視カメラがこれほど普及している日本を、監視社会だと批判するのは、気持ちとしてわかりますが、そう物事は単純でもないと思います。性悪説と性善説が共存しているからです。つまり、何かの事件やトラブルに備えて、監視カメラを回しておこうというのは性悪説の考え方と言ってよいでしょう。でも、録画したデータが悪用されることはまずないだろうと思って、ふつうの人は安心して過ごしているという意味では、性善説に同時に立っているわけです。
性善説か性悪説かという択一の話(どちらが正しいか)というものでもなく、共存しているのが現実だと思います。
似たような話は、子どもへの教育として、挨拶って大事よ、と言いつつも、同時に、知らない人から声をかけられたら逃げなさいと教えるのも、どちらが正しいというものでもないと思います。なかなか難しい世の中です。
しかし、こういう単純に割り切れないことって、たぶんたくさんあるんだと思います。典型的なのはお金で、誰もそれに価値があるとみなさないと、ただの紙切れという意味では、性善説といいますか、信頼をベースに成り立っている仕組み。同時に、悪用するやつがいてもいけないから、偽造防止などにいろんな技術や対策を講じてきた歴史があるわけで、これは性悪説、あるいは不信に立脚した考え方に近いと思います。
相変わらず、とりとめのない文章となりましたが、白か黒かってはっきりしているハリウッド映画の一部みたいなのじゃなくて、もっとグレーやどっちともとれるってのが世の中の面白さでもあると思うので、書き留めてみました。