大阪都構想の賛否のロジックには双方どこか注意 | 妹尾昌俊 アイデアノート ~学校づくり、地域づくり、人づくり~

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テレビ報道で知ったのですが、いま大阪”秋の陣”と言われているらしいです。大阪市長選挙と大阪府知事選挙のダブル選挙を指してのようです。大阪に愛着をもつ自分としては、立派な大坂城を焼いてしまった大坂の陣になぞらえたネーミングなんて不謹慎極まりないと一人怒っているのですが、そこはさておき、大きく報道されているのは、大阪都構想の是非についてです。

是非についてここでは結論的なものを主張するつもりはありませんが、おそらく多くの市民が感じるのは、中身が難しそうとか、今のままでもなんとかできないのかという感想であろうと推察します。

3つほど参考情報をメモしたいと思います。

1)今の仕組みでも多くのことはできる。
現に大阪府と大阪市が水道事業の統合について協議していたように、府市合併なくとも、できることはたくさんあるようです。維新の会のHPによると、大阪都構想の2本柱は(1)広域行政を現在の大阪府のエリアで一本化する、(2)大阪市内に公選の首長を8から9人置き、住民に身近な行政サービスを担わせるということです。後者は現行制度では困難ですが、前者は現行制度のなかできることも多いと思われます。とりわけ、広域行政の典型のひとつである、産業政策や成長戦略は、法律で府がやっちゃダメとか、市はできないとか全く書いていないので、やりやすいです。また既に大阪府の河川管理の一部は市に移管済みです。

大阪を成長させたいという人には、じゃあ今の制度でも工夫したり関係者が協調してやってみてくれという疑問が残ります。

ただし、当然府と市ではトップも違えば、議員も違うという現状では、水道事業の統合協議が成立しなかったことからも示唆されるように、うまく進まないこともあります。
しかしながら、これを非効率とか、決断が遅いと見るのか、熟慮の結果とか民主主義のコストだとみるのかは、価値判断が分かれるであろうと思います。

2)単純に住民に近いとか遠いとかは言えない。
大坂都になると市民から遠くなる、民主的でなくなると単純に批判するのは的外れです。都構想では市を解体して公選制の区長を置くとありますので、むしろ住民に近くなる可能性も指摘されています。ただし、産業政策や広域インフラは都がやる、しかもそれらはおそらくスピーディーに決定して大きな思い切った投資をするということが考えられていると思います。そうした政策については、単純には住民1人当たりの票は小さいので、住民の声は通常は届きにくくなると考えられます。

都が間違ったら、知事や議員を次の選挙で審判すればよいというロジックはありますが、小さな単位のほうが1人当たりの票、ひいては声の影響力が大きいという点には答えられません。また、現状のように府と市がときとして対立しているときのほうが、競争している分、都合の悪い情報は表に出てきやすいのでしょうが、広域行政を都に一本化すると、出てきにくくなる可能性もあります。

3)東京都でも成長力強化は課題だし、他の外国の都市も悩んでいる。
大阪都構想ではともすれば、東京都はさもうまくいった風な主張がされていることがありますが、東京都制は戦時中の国家統制を強めたいときにできた制度ですし、都制だから経済成長したという検証は難しいのではないかと思います。

むしろ、東京もこの失われた10年なり20年はどうするかずっと問題視されてきましたし、外国の例でも、周辺市と合併したトロント市もtoo big, too smallなどと批判されています。つまり、都市の成長力を高める政策をうちにはまだまだ権限や財源は小さく、かといって住民の声を届けるには大きな組織すぎるという批判です。フランスのパリも、国と市との間で、どういうインフラ計画を描いて成長させるかについて、論争が現在進行中です。

僕もまだまだできているわけではありませんが、都構想の推進派、反対派、中立派の各々の論拠をもう少し丁寧に、ときとして疑いながら見ていく必要がありそうです。


○大阪都構想の考え方について
http://oneosaka.jp/policy/04.html

○各論説が比較的一覧できます
http://seiji.yahoo.co.jp/close_up/1023/

○ある市民の方のブログ 僕もまだよく読めていませんが、よく整理されています。
http://miniosaka.seesaa.net/