さて、今年から始まった「ダート3冠」シリーズ
 

 

 


大分、遅くなってしまいましたが、その 2冠目として、-5日に東京の大井競馬場で「農林水産大臣賞典第70回東京ダービー競走」(クリソベリル賞)〔2000m・ダート(外回り)・大井・Jpn-Ⅰ・16頭〕が行われました。
 

 

 

 


(↑昨年の覇者~番のミックファイア。)
 

1冠目「羽田盃競走」同様、昨年までは南関東所属馬だけで行われていた、このレースでしたが、今年からダート競馬の更なる促進向上を目指して、他地区およびJRA所属馬にも門戸を開放する事になりました。
まあ、南関東所属の関係者にしてみれば、複雑かもしれませんが、かつての北海道所属だったコスモバルクがシンガポールのGⅠ競走を制したのをきっかけに、昨年は大井のマンダリンヒーローが、今年はJRAのフォーエバーヤングがアメリカの「ケンタッキーダービー競走」(チャーチルタウンズ・2000m戦)に挑戦したり、今年のドバイのレースに兵庫のイグナイターが挑んだりと、今や、地方馬も海外で活躍する時代に。 そのためには、 3歳のダートクラシックを設定するのも当然の成り行きだったかもしれません。

と、いう事で、新生「ダート 3冠」シリーズの第 2弾となった、今年の「東京ダービー競走」ですが、まずは枠順。

 


1冠目「羽田盃競走」が 8頭と少頭数だった事に対し、今回はフルゲートの16頭。
JRA所属馬は「羽田盃競走」(大井・1800m戦)を制した、アマンデビアンコが、このレースへの回避を決めたため・・・、

 

 

結果的には「羽田盃競走」同様、エントリーしたの 4頭のみではありますが、前哨戦となった「ユニコーンステークス競走」(淀[京都]・1900m戦)の 1- 2フィニュッシュ馬~ラムジェットとサトノエピックが満を持して参戦。 サトノエピックは一旦は「東京優駿(日本ダービー)競走」(府中[東京]・芝2400m戦)参戦も視野に考えていたものの、アマンデビワンコの回避もあり、予定通り、こちらに来ました。 また、「羽田盃競走」経験組からは紅一点~アンモシエラとハビレが参戦。 今回もJRA勢が主役を張りそうです。 一方の地方勢というか、南関東勢では「羽田盃競走」を経験した、船橋のフロインフォッサル、大井のムットクルフェとティントレットの巻き返しに期待したいが、その中では 3着表彰台に入ったフロインフォッサルが、どこまでポジションを上げれるかなと。 後、結果的には唯一、他地区からエントリーして来た、高知の怪物~シンメテージーが参戦。 現在、 6連勝中と絶好調で、金沢のエース~吉原寛人騎手が騎乗して下克上を狙う。 本当は岩手所属で 7連勝中のフジユージーンもエントリーをしていたが、調教後に後ろ脚に怪我を発症したとして、大事を取って回避。 今日、行われる「東北優駿競走」(水沢・2000m戦)に挑むそうです。 先述の通り、JRA所属馬のエントリーが「羽田盃競走」同様 4頭のため、レース前の段階で地方馬は最低 1頭は入賞圏内に入る事は約束されているものの、それで終わりたくないだろうし、せめて、 1頭くらいは表彰台圏内に入って欲しいと願いつつ、レースを見たのですが・・・。(←今回も仕事などでバタバタだったので、予想印での予想はしませんでしたが・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


と、いう事で、今年は単勝 1番人気だった、番のラムジェット[牡3](57.0kg 三浦皇成騎手騎乗)が、 2分06秒 1のタイムで優勝し、史上初のJRA所属馬による「東京ダービー競走」制覇を成し遂げました。
 

 

 


レースは、前走の「羽田盃競走」同様、番のアンモシエラが、今回もハナを奪う形に。 アウトから番のサトノエピックとラムジェットも絡んで行き、インからは番のティントレット、高知所属~番のシンメテージーも負けじと上がりつつ、最初のゴール板を通過して、 1コーナーから 2コーナーを回る。
向正面に入って、改めて隊列を整理すると、先頭はアンモシエラが逃げ、番手はサトノがマークするが早くもアウトからラムジェットが仕掛けて行く。ラムジェットのインからティントレット、 2馬身くらい離れて、③番のシシュフォスとシンメテージー、間が開いて、④番のハビレと番のイチニチショチョウが並んで追走、 3頭が固まる形で、番のイモノソーダワリデを真ん中として、前に番のムットクルフェが前、番のオーウェルが後ろで追うが、更に番のポンドボーイがオーウェルを追うように上がって行く。 後は馬群が切れて、番のフロインフォッサルが前、番のマコトロクサノホコと番のクニノトキメキが並んで追走し、最後方は番のキタノヒーローという展開だ。
前半1000mの通過タイムは64秒と「羽田盃競走」よりも 2秒 4遅いが、2000m戦の事を考えても、少し遅い感じがする。 勝負所の 3コーナーに入り、前の 3頭~アンモ、サトノ、ラムが並ぶ形でバトルを繰り広げる。 その後ろも 4頭~ティント、ハビレ、シシュ、シンメが並ぶ形追い上げながら、 4コーナーを回って直線に。
直線に入って、前の 3頭はギアを入れ替えながらさらにバトルを繰り広げる。 真ん中のサトノが出ようとするが、ラムが三浦騎手の鞭に応えながらグイグイと上がって行く。 後続ではティントが一杯になり、ハビレ、シシュ、シンメの 3頭のバトルに変わる。
残り200mを切って、ラムが一気に交わして先頭に立ち、差を広げ始める。
インではアンモとサトノが互いに秘術を尽くして競い合い、表彰台圏内は、この 3頭で決した形だが、入賞圏内のバトルはシシュが脱落する形となり、シンメとハビレが並んで叩き合うが、シンメがハビレを交わして 4番手に上がった所で態勢は決した。
ラムが後続に 6馬身の差をつける圧勝劇で優勝。 2着にサトノが入り、アンモが「羽田盃競走」に続いての表彰台圏内の 3着。 シンメが地方勢で唯一の入賞圏内の 4着に入り、ハビレも「羽田盃競走」に続いて、ギリギリながらも 5着入賞に入る結果に。
今回はJRA勢 4頭がキッチリと掲示板圏内に入り、実力を示した形ともなりました。
優勝したラムジェットは 3戦目の条件戦こそ、 9着敗退に終わりましたが、それ以外は全て表彰台圏内に入るという堅実派。 特に 2歳暮れから鞍上を三浦皇成騎手に固定してからは、条件戦、前々走の「ヒヤシンスステークス競走」、そして、先述した前走もキッチリと勝って 3連勝中。 今回も強いという勝ち方で連勝を「 4」に伸ばした形となりました。
2022年の「JBCスプリント競走」以来、 3度目のJpn-Ⅰ競走制覇となった三浦騎手はレース後のインタビューで「この馬とコンビを組ませてもらって、海外も含めですけど、色んな話が上がった中で、まずこの馬が出るレースで自分が全て結果を残さないといけないという緊張感の中、ずっとこの馬とコンビを組ませてもらって、ほんとに毎回毎回皆さんを驚かすような勝ち方をしてくれて、まだまだ乗ってる僕としては成長力しかないと、これからほんと楽しみな馬だと思ってますので、まずは今日、こういう形で大きいレースを勝たせていただいて、ほんとに感謝してます。」と前置きしたうえで、「まだまだこの馬は舞台を上げていかなければいけないので、その中で馬の気分であったり、リズムであったりというのを一番重視して、そういう事を頭に入れていたので、ポジションは関係なく、おのずとあのポジションになったというのが今日の馬にとって、とても良いリズムになりました。相変わらず 4コーナーは置かれてしまいましたが、乗っている僕としては間違いなく差し切れる、むしろ抜けてどれくらいそこから集中力を切らさずにゴールまで行けるかということを考えていました。そういう意味でまだ遊び遊びですが、終わってみればこの着差なので、完勝だったと思います。」とコメント。 なかなか、JRAのGⅠ競走を制覇出来ない三浦騎手ではありますが、Jpn-Ⅰ競走は複数回、勝っている事ですから、これからも、奥様である、ほしのあきさんのサポートを受けながら、今後の活躍と悲願を達成して欲しいかなと期待しています。
ラムジェットの今後ですが、 3冠目となる「第26回ジャパンダートクラシック競走」に直行予定だそうですが、今回と同馬場&同距離であるので、経験した事はプラス。
ただ、このレースには、先述した通りニ、先月、アメリカの 3歳クラシックの 1つ~「ケンタッキーダービー競走」で 3着表彰台に入った、フォーエバーヤングも出る意向を示している。 ラムジェットは「ケンタッキーダービー競走」に出走したい意向だったが、出走ポイントが足りなかったので、断念した苦い経験がある。 だから、そのレースに出走して結果を出した馬とのバトルは、ある意味で、一つのの指標になると思うし、管理調教師の佐々木晶三調教師も「ラムジェットは、まだ本気で走っていないからね。フォーエバーヤングと五分の勝負がしたい。できれば、来年は海外も見えてくる。」と言っていたので、楽しみが増した感もあるでしょうね。

恒例の全着順。 (←左から、着順・枠番・馬番・馬名[所属]・性別&年齢・負担重量・騎手名[所属]・調教師・馬体重・タイム・推定上がり3Fタイム・単勝人気)

01 7橙 ⑭ ラムジェット(JRA) 牡3 57.0 三浦皇成(JRA) 佐々木晶三 501 +1 2:06.1  37.6 1
02 5黄 ⑩ サトノエピック(JRA) 牡3 57.0 横山和生(JRA) 國枝 栄 527 +5 2:07.3 6 38.9 2
03 4青 ⑦ アンモシエラ(JRA) 牝3 55.0 坂井瑠星(JRA) 松永幹夫 488 +11 2:07.7 2 39.3 3
04 4青 ⑧ シンメデージー(高知) 牡3 57.0 吉原寛人(金沢) 打越勇児 442 +10 2:08.2 21/2 39.2 5
05 2黒 ④ ハビレ(JRA) 牡3 57.0 笹川 翼(大井) 武井 亮 498 +5 2:08.5 11/2 39.1 4
06 2黒 ③ シシュフォス(船橋) 牡3 57.0 森 泰斗(船橋) 佐藤裕太 509 -4 2:09.5 5 40.5 8
07 6緑 ⑫ フロインフォッサル(船橋) 牡3 57.0 本田正重(船橋) 山下貴之 478 +6 2:09.9 2 38.8 7
08 1白 ① ポンドボーイ(大井) 牡3 57.0 藤田 凌(大井) 朝倉 実 458 -5 2:10.5 3 39.9 11
09 1白 ② マコトロクサノホコ(船橋) 牡3 57.0 御神本訓史(大井) 川島正一 448 -6 2:10.6 1/2 39.3 6
10 8桃 ⑮ ムットクルフェ(大井) 牡3 57.0 山崎誠士(川崎) 的場直之 501 +1 2:11.2 3 41.0 12
11 6緑 ⑪ イモノソーダワリデ(大井) 牡3 57.0 鷹見 陸(大井) 須田和伸 445 -1 2:11.5 11/2 40.6 9
12 3赤 ⑥ イチニチショチョウ(大井) 牡3 57.0 江里口裕輝(大井) 嶋田幸晴 485 +6 2:11.8 11/2 41.6 13
13 7橙 ⑬ キタノヒーロー(船橋) 牡3 57.0 石崎 駿(船橋) 張田 京 464 +2 2:12.1 13/4 40.0 15
14 8桃 ⑯ クニノトキメキ(船橋) 牡3 57.0 今野忠成(川崎) 張田 京 513 +8 2:12.4 11/2 40.7 16
15 5黄 ⑨ オーウェル(浦和) 牡3 57.0 和田譲治(大井) 小久保 智 456 -2 2:12.7 13/4 41.4 14
16 3赤 ⑤ ティントレット(大井) 牡3 57.0 矢野貴之(大井) 荒山勝徳 500 -5 2:12.7 アタマ 43.8 10

り 4F 50.0 - 3F 37.7

ハロンタイム 12.4- 12.1- 13.0- 13.6- 12.9- 12.1- 12.3- 12.7- 12.1- 12.9

コーナー通過順
1角 7,10,14,5,8,3,6,11,9,4,15,1,12,16,2,13
2角 7,10,5,14,8,3,6,4,(9,11),15,1,12,(2,16),13
3角 7,10,14,5,3,8,4,6,15,1,11,9,12,2,16,13
4角 7,10,14,5,3,8,4-15,6,1,(12,11),2,9,16,13

さて、ラムジェットが強い勝ち方を披露して、ダート 3冠シリーズの 2冠目を制した、今年の「東京ダービー競走」でしたが、 2着に番のサトノエピックが入った事で、結局は「ユニコーンステークス競走」の 1- 2フィニッシュ馬が、今回も、そのままの形でゴールするという形になりました。 サトノは道中はアンモの番手につけてマークしており、直線でも粘りに粘っていたものの、最後はラムジェットの前に、またも屈する形になってしまいました。
鞍上の「カズ坊」こと横山和生騎手は「 3~ 4コーナーで変に待たずに突き放すイメージで乗ったのですが、勝った馬は 3番手にいましたから。精神力の強い馬で、こういう馬場、初めての環境でも戸惑わないて全力で走ってくれたので良かったと思います。」とコメント。 今後も楽しみが増しそうです。

次に「羽田盃競走」からは 1ポジション下がったものの、 2連連続で表彰台圏内の 3着に入った、番のアンモシエラですが、今回もペースメーカーとなって、自分のペースに持ち込み、直線でも良く粘って、アウトから追い込んで来た、シンメテージーの猛追を抑えての表彰台圏内に入ったのは紅一点ながらもキッチリと結果を残したと言っていいでしょう。
管理調教師の松永幹夫調教師は「いい内容でした。自分の形で競馬はできているし、力もつけていると思います。」とコメント。 秋に向けても期待が大きいかなと思います。

更に、地方勢唯一であり、他地区から唯一、エントリーして 4着入賞を果たした、番のシンメテージーですが、今回、もっとも頑張った 1頭ではないかと。 スローペースであったものの、前の方に位置すると共に、 4コーナーでは第 2グループの 4頭に位置し、直線でもアウトから捲って行き、その鬼脚から表彰台圏内の可能性もあった訳ですので、流石、高知で 6連勝している実績は伊達ではなかったといえるでしょう。
鞍上の金沢のエース~吉原寛人騎手は「最後まで集中して走ってくれたので偉いなと思います。夢を見ましたね(笑)。そのくらいハミを取ってくれていたので、しっかり伸びて表彰台圏内( 3着入賞)まで惜しかったです。」とコメント。 ここまで頑張ってくれたのですから、秋の「ジャパンダートクラシック競走」にも出て欲しいかなと。

そして、この馬も「羽田盃競走」からは 1ポジション下がったものの、 5着入賞と結果を残した④番のハビレでしたが、中団から 4コーナーではシンメテージー、シシュフォスらとバトルを繰り広げましたが、「羽田盃競走」ほど、脚色の余力は残ってなかったのかなという感じにも思えました。 「羽田盃競走」に続いて騎乗した、大井の笹川 翼騎手は「馬は辛抱強く走ってくれました。前回より乗りやすかったですし、結果は 5着入賞でしたが、みんなも馬も頑張って、これからを考えたら良いレースだったのかなと思います。馬も怖がることなく一生懸命ファイトしてくれました。」と、前向きなコメントをしていました。

一方、ホーム南関東勢では、③番のシシュフォスの 6着が最上位であり、今回は南関東勢は打つ手なしと言った所か。 もっとも序盤のペースが遅く、仕掛けのタイミングが難しかった事もあったやもしれない。 「羽田盃競走」で 3着表彰台に入り、今回も期待していた、番のフロインフォッサルに騎乗した本田正重騎手も「展開が向かず、流れが遅かったです。仕方がありません。」と言うのがやっとだった事も頷けられるかもしれませんか。