さて、いよいよ、今年から始まった「ダート3冠」シリーズ
 

 

 


その 1冠目として、24日に東京の大井競馬場で「農林水産大臣賞典第69回羽田盃賞競走」(リアルスティール賞)〔1800m・ダート(外回り)・大井・Jpn-Ⅰ・ 8頭〕が行われました。
 

 

 

 


(↑昨年の覇者~番のミックファイア。)

昨年までは南関東所属馬だけで行われていた、このレースでしたが、今年からダート競馬の更なる促進向上を目指して、他地区およびJRA所属馬にも門戸を開放する事になりました。
まあ、南関東所属の関係者にしてみれば、複雑かもしれませんが、かつての北海道所属だったコスモバルクがシンガポールのGⅠ競走を制したのをきっかけに、昨年は大井のマンダリンヒーローがアメリカの「ケンタッキーダービー競走」に挑戦したり、今年のドバイのレースに兵庫のイグナイターが挑んだりと、今や、地方馬も海外で活躍する時代に。
そのためには、 3歳のダートクラシックを設定するのも当然の成り行きだったかもしれません。

と、いう事で、新生「ダート 3冠」シリーズの第 1弾となった、今年の「羽田盃競走」ですが、まずは枠順。

 



何と、 8頭のみという、一桁の出走頭数。 ちょっと寂しいなと思いましたが、JRA勢が限度枠一杯の 4頭に対し、地方馬は南関東所属馬が 4頭。 事前人気は、やはり、JRA所属馬が単勝の上位人気を独占した事からも伺えるのかなあと。 レース前は地方馬は最低 1頭は入賞圏内に入るんだけど、それで終わりたくないだろうし、せめて、 1頭くらいは表彰台圏内に入って欲しいと願いつつ、レースを見たのですが・・・。(←流石に少頭数だったので、予想印での予想はしませんでしたが・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 


と、いう事で、今年は単勝 1番人気だった、番のアマンテビアンコ[牡3](57.0kg 川田将雅騎手騎乗)が、 1分53秒 9のタイムで優勝し、史上初の「ダート3冠」シリーズの 1冠目を達成しました。
 

 


レースは、前走の「雲取賞競走」(←今回と同馬場&同距離。)で逃げ切った、番のブルーサンが今回も逃げると思われていましたが、インから紅一点~番のアンモシエラが思い切ってハナを奪う形に。 外から番のティントレットが番手につけようとするが、ブルーサンも負けてはいない。 先陣争いに絡んで行きながら、最初のゴール板を通過して、 1コーナーから 2コーナーを回る。
向う正面に入って、先頭はアンモシエラが逃げ、番手はティントレット、 3番手にブルーサンが等間隔で並びながら絡んで行こうとする。 その後ろは 5馬身くらい離れてアマンデビアンコがつけ、差がなく、インに大井の笹川 翼騎手が騎乗する、番のハビレ、アウトに②番のムットクルフェが並ぶ形で追走。 後方は大きく離れて、番のマッシャーブルム、最後方は大きく離れて、番のフロインフォッサルと、相当に縦長の展開だ。
勝負所の 3コーナーに入る所で、前半の1000mを通過する。 タイムは61秒 6で、参考となるが、南関東所属馬だけで行われた昨年よりも 0秒 3遅いタイムなので、それ程、変わりないかもしれない。  3~ 4コーナー中間ではフロイン以外の 7頭が固まった展開となり、逃げるアンモ、追うティントの順は変わらないが、徐々にアウトからアマンデ、インからムットが上がってくる反面、ブルーサンは余力がなくなって来たのか、後退一方の展開で 4コーナーを回って直線に。
直線に入って、インで逃げ込みを図るアンモに対し、アウトからアマンデがギアを入れ替えて上がって行く。 その後ろではバテたティントをインからムットが交わし、あマンテの後ろからハビレもギアを入れ替えて猛追する。 残り200mを切って秘術を尽くして粘るアンモをアマンデが満を持して交わす。 表彰台圏内のバトルはインで粘る 2頭をハビレが交わしにかかるが、大外から、それまでは慣れた最後方を追走していたフロインがギアを入れ替えて猛烈に追い上げを駆けて来つつ、隙あらばハビレのスリップストリームを使って交わす勢いも見せる。
残り100m、アマンデがアンモを引き離しにかかる。 アンモも粘りに粘って、何とか表彰台圏内は確保しそうだ。 3番手争いはハビレがインで粘る中、フロインがスリップストリームに入り、ゴール手前で、ついにハビレを交わして表彰台圏内に入るという大技を決めるという形に。
優勝したアマンデは前で競い合う 3頭の動きを、しっかりとマークしつつ、粘り込みを魅せるアンモをキッチリと交わして強さを魅せ付けつつ、 1冠を獲ったのではないかと感じました。 このアマンデは前走までは「優勝請負人」~クリストフ・ルメール騎手が一貫して騎乗していたのですが、ルメール騎手が 3月のドバイで落馬負傷してしまったため、今回は「アイスマン」~川田将雅騎手が騎乗しましたが、レース後のインタビューでアイスマン「ゲートは元々得意な馬ではないですし、前回も躓いてしまっていますので、今日は何より躓かないような出方を、というところで、その後はリズムを取って動いていける形を作っていきました。(勝負どころの手応えは)雰囲気は良かったと思います。ゴールまでには、きっちり捕まえてくれる雰囲気でしたので、無理せずゆっくりと捕まえに行こうと思いました。今年、こうやって『ダート三冠』が新たに整備され、JRAの馬も参加しながらの三冠競走になりますし、その第 1弾『羽田盃競走を』勝つことが出来ました。まず、一つ獲ることが出来ましたから、次の『東京ダービー競走』に向けて、また良い準備をして走ってくれればと思います。」とコメント。 ただ、ルメール騎手が遅くても 5月の第 2週からは騎乗を再開する事が出来そうとの事なので、次走の「東京ダービー競走」では、どちらが騎乗するかは判らないけど、今回の強さからしたら、次もキチッと結果を残すかもしれませんか。

恒例の全着順。 (←左から、着順・枠番・馬番・馬名[所属]・性別&年齢・負担重量・騎手名[所属]・調教師・馬体重・タイム・推定上がり3Fタイム・単勝人気)

01 4青 ④ アマンテビアンコ(JRA) 牡3 57.0 川田将雅(JRA) 宮田敬介 531 -4 1:53.9 39.4 1
02 1白 ① アンモシエラ(JRA) 牝3 55.0 横山武史(JRA) 松永幹夫 477 +1 1:54.1 1 40.0 4
03 5黄 ⑤ フロインフォッサル(船橋) 牡3 57.0 本田正重(船橋) 山下貴之 472 -1 1:55.7 8 40.2 8
04 3赤 ③ ハビレ(JRA) 牡 3 57.0 笹川 翼(大井) 武井 亮 493 -1 1:55.8 1/2 41.1 3
05 2黒 ② ムットクルフェ(大井) 牡3 57.0 山崎誠士(川崎) 的場直之 500 ±0 1:56.4 3 41.9 7
06 7橙 ⑦ マッシャーブルム(大井) 牡3 57.0 矢野貴之(大井) 坂井英光 510 +5 1:57.5 5 42.6 6
07 6黒 ⑥ ティントレット(大井) 牡3 57.0 森 泰斗(船橋) 荒山勝徳 505 +4 1:58.1 3 44.0 5
08 8桃 ⑧ ブルーサン(JRA) 牡3 57.0 和田竜二(JRA) 川村禎彦 509 +8 1:58.5 2 44.0 2

上り 4F 52.6 - 3F 39.8

ハロンタイム
12.3- 11.4- 12.7- 12.5- 12.4- 12.8- 13.6- 12.9- 13.3

コーナー通過順
1角 1,6,8,4,3,2,7,5
2角 1,6,8,4,3,2,7-5
3角 1,6,8,2,4,3,7,5
4角 1,6,4,2,3,8,7,5

さて、アマンデビアンコが強い勝ち方を披露して、ダート 3冠シリーズの 1冠目を制した、今年の「羽田盃競走」でしたが、少頭数のバトルだったとはいえ、見ごたえのあるレースだったのかなと思います。

まず、紅一点ながらもキッチリと 2着表彰台に入った、番のアンモシエラでしたが、積極果敢な騎乗が功を奏したといっていいでしょう。 直線でも良く粘り、アマンデには交わされたものの、アウトから追い込んで来たフロインフォッサルの猛追を抑えて、表彰台圏内に入ったのは良かったかなと思います。
鞍上の「タケ坊」こと横山武史騎手は「良く頑張りました。馬場傾向的にも先手を取っても良いかなと思いました。二の脚が速く、楽に先手を取ることが出来ました。逃げても問題はなかったですし、競られた割には頑張ったと思います。」とコメント。 出走権利が取れた、 6月の「東京ダービー競走」(2000m戦)に出ても好勝負出来るのではと思います。

次に単勝最低人気ながらも 3着表彰台に入った、番のフロインフォッサルですが、レースを見ていて、向う正面では大きく離された最後方を走っていて、「こりゃ、入賞圏内も危ないなあ。」と思ってたけど、直線では大外から一気に捲って行って、ゴール手前でハビレを交わし、地方馬最先着&表彰台の一角を獲ったのですから、これは大健闘と言っていいでしょう。 完全の末脚勝負に徹した結果ともいえますが、鞍上の本田正重騎手は「急かさずに、3コーナーから動かしていきました。まだ、これからの馬ですからね。(『東京ダービー競走』)権利を取れて良かったです。距離が長くなっても大丈夫です。」とコメントしてましたが、 1ハロン距離が伸びる 2冠目に対しても自信ありのコメントをしていたので、次戦も楽しみです。

その一方で、最後の最後でフロインフォッサルの鬼脚に差されてしまい、表彰台圏内に入れず、 4着入賞に甘んじる結果となった、番のハビレでしたが、 1コーナー付近で何となく躓いたような所がありましたが、道中は 5番手以内に位置して機を伺い、直線では満を持して追い上げて来たものの、先述の通り、表彰台圏内には入れなかったし、「東京ダービー競走」の優先出走権を取れなかった形となってしまいました。 鞍上をコースを熟知している、大井所属の笹川 翼騎手に替えてまでして必勝態勢で挑んだ形でしたが、その笹川騎手はレース後に「( 1コーナーで躓いたのは)色々な事が重なってしまいました。その後は頑張ってくれました。距離についても、思っていたよりは大丈夫でした。結果ほどの差はないと思っています。乗せていただけるのなら、次に巻き返したいです。」とコメントしてましたが、どうやら躓きはアマンデと接触した影響もあったやもですが、決して力負けでないし、ポテンシャルの高さを感じたのかもしれません。

更に入賞圏内ギリギリの 5着入賞に入ったのが②番のムットクルフェ。 道中はアマンダやハビレのJRA勢と並ぶ勢いを見せていたものの、直線では力の差が、かなり出てしまったのかもしれません。 それでもキッチリと入賞圏内に入った訳ですし、鞍上の山﨑誠士騎手も「頑張りました。内容は良かったと思います。」と一定の評価をしていました。

そして、不可解な敗戦やなと思ったのが、しんがりの 8着敗退に終わった、番のブルーサン。 途中までは 3番手に位置して、どこからでも前に行ける態勢かと思ってたのですが、 4コーナー手前では余力がなくなってしまったのか、ズルズルと後退し、直線では最後方まで下がる有様。 鞍上の和田竜二騎手は「こちらも速かったのですが、周りも速かったです。落ち着いてはいましたが、前走とは勝手が違ったでしょうか。前走から間隔が空いたことで調整が難しくなりました。良い状態で持っていく事が出来ませんでした。(レースで)速い時計を出せる馬ですが、今回はナイターということもありますからね。自分のリズムで行きたい馬ではありますし、ハミが乗ってこない感じでした。逃げ馬の宿命でしょうか。」とコメント。 大井のコースは前走の「雲取賞競走」では優勝しているものの、時間帯が今回よりも 4時間弱早かった事とハナを奪えなかった事、ペースが速かった事などと経験してなかった事が、全てで裏目に出たかもしれません。 次回の巻き返しに期待しましょう。