先日、2024年(令和 6年)から、「 3歳ダート 3冠競走」を創設するというニュースがありました。
 


・3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備について
 


簡単に言うと、南関東 3歳クラシックレースのうち、既に全国交流競走となっている「ジャパンダートダービー競走」は、距離は、そのままとした上、名称変更と施行時期を 7月中旬から10月初旬頃に移動させる。

 


それ以外の 2つの重賞競走~「羽田盃競走」「東京ダービー競走」を全国交流競走のJpn-Ⅰ競走とした上、出走条件を 3歳牡・牝(←騙馬は出走不可。)とする。(←距離の変更はない。)

 

 



更に、 3歳のダート短距離部門の充実を図るため、現在、兵庫 3冠クラシック 2冠目である「兵庫チャンピオンシップ競走」の施行距離を1870mから1400mに短縮し、 3歳短距離路線の頂点競走とする。

 



今の所は、このような内容である。

これが発表されて以降、今回の内容について賛否両論の意見が出ている。

ある方が、この件のメリットとデメリットを動画にあげているので代表して掲載する。

 


私見としてだが、まず、メリットとしては、ダート界の価値向上につながるのではないかと期待している。
本格的なJRAと地方の交流は1995年(平成 7年)から始まったとされるが、JRAに限って言えば、 3歳ダートの重賞競走は数少なく(←「ユニコーンステークス競走[東京・ダート1600m戦]「レパードステークス競走」[新潟・ダート1800m戦])、また、ダート1800mの距離を行える競馬場は、そこそこあるが、ダート2000mの距離を行える競馬場は仁川(阪神)しかない。 逆に地方競馬(NAR)は芝でのレースは盛岡と現在は公営競馬の開催は休止中だが、中京でしか行われず、基本はダートだ。 更にNARの中でレベルの高い南関東の 3歳クラシックを全国交流にすれば、それだけ格も上がるし、JRA勢vs地方勢が競い合う事で競走の質も上がるとみている。 また、ここで好結果を残せば、将来的には海外のダートレースへの遠征にもつながる可能性はあるだろう。 

ただし、もちろん、デメリットもある。 先述した通り、根幹距離であるダート2000mが出来るJRAの競馬場は仁川しかなく、辛うじてダート1900mが行える所も桶狭間(中京)と淀(京都)しかない。 府中(東京)はダート1600mは出来るが、次に出来るのがダート2100mだ。 ちなみにダート1800mは中山、桶狭間、淀、仁川、新潟だけでしか行えないため、JRAだけで 3歳ダートの 3冠競走を行うには、距離変を行う可能性が高い。
また、南関東の 3歳クラシックをJRA勢他に門戸開放するという事は極論、南関東勢にクラシック 3冠達成の可能性が厳しくなる。 現在、「The DERBY Series」と銘打って、 8地区の地方競馬場で、それぞれの「ダービー」が行われているが、JRA同様、「ダービー」は最大の目標レースだ。 それぞれの地区の「ダービー」を制するのは、その年の地区のチャンピオンを決めるレースでもあり、それをJRA勢に持って行かれるというのは、南関東勢の関係者の士気低下に繋がるかもしれない。 ただ、これも予め、南関東勢の厩舎に素質のあるダート馬を預けるとなると話は違って来るかもしれないが、それと何と言っても「東京ダービー競走」に39回挑戦して、 2着は10度ありながらも優勝がない、大井のレジェンド~的場文男騎手の悲願が限りなく難しくなってしまう可能性もある。(←その件は、後述する島田さんのコラムの中にも書かれている。)

更に、現在、「東京ダービー競走」「ジャパンダートダービー競走」は、どちらも大井のダート2000mで行われているが、前者は南関東所属馬限定、後者は全国交流競走と条件が違っているので、メリハリがつくという点からすれば、それもありかなと思っている。
しかし、今回、どれも全国交流となると、時期の変更があるとはいえ、メリハリがつかなくなるのではないか?。 以前、東海公営クラシックの 1冠目である「駿蹄賞競走」2冠目「東海ダービー競走」が同馬場&同距離(←名古屋競馬場のダート2000m。)なので、盛り上がり感などが欠けそうだと書いたけど、今回の件で同じような事が起きそうかもしれない・・・と、私は思うのだが。
まあ、私の本音としてはJRAの方で距離変はあれど、ダート 3冠を整備し、それぞれの地区の地方「ダービー」を制した馬達とが相見(あいまみ)えるレースを設定した方もありなのではと思うけれど・・・。

また、以前、「JAPAN CUP TURF競走」で外国馬の参加がゼロになった事についてコラムを書かれた、ライターの島田明宏さんも、この件を自身のコラム~「熱視点」( 6月23日付きコラム)の中で書かれている。

 

・3歳ダート三冠競走創設について

何れにしても、ダート界の事を考えれば、今回の件は避けて通れなかったかもしれないし、また、現在、「秋の 3歳チャンピオンシップ」の最大目標である「ダービーグランプリ競走」(盛岡・ダート2000m。)の扱いをどうするのか?。 その辺りにも注目して見る事にしましょう。