自分が過去にやってきたことを、思いつくままに書いておこうと思って…の第3弾!

『パンダジャミール☆伝説』は、自分の劇団での3回目の演劇公演であり、3本目の演劇脚本。


当時23歳だった自分は、京王線仙川駅から徒歩15分のアパートに住んでいた。

仙川駅の1駅新宿よりの千歳烏山駅から歩いても20分くらい…。

小田急線成城学園前駅からでも25分くらいかという、言わば駅と駅の間のポテンヒット…というような場所にあったアパートで、風呂付なのに安い物件だった。

このアパートで、大学時代から静岡県浜松市に引っ越すまでの約6年間を過ごしていた。


『パンダジャミール☆伝説』という作品は、この部屋の風呂に入っていて突然「ビビビーン!」と浮かんできて書いた作品だ。

この芝居の中でも、「ビビビーン!ときた…」というセリフが出てくるのだが、これは自分が感じたそのままのイメージを言葉にしたセリフで、作品ができる時というのはそうした感覚があるものだったりするのだ。


タイトルは、自分の感じていたイメージから、『伝説』になるような作品を作りたい…という思いから『伝説』という文字を入れて、『パンダジャミール』というのは、まさに風呂場で浮かんできた自分のイメージの中にある“場所”の名前だった。

当時、親交のあった今でも活躍する大先輩役者さんにタイトルを話したところ、「カレー屋の話か…?」と言われたが、いやいやぜんぜん違います。


お話は、何千年に一度という星の位置関係になる日に、ある丘の上で不思議な現象が起こる…という話。

その場所は、「世界で一番きれいな星空が見える丘」…だと言うことで、世界の天文台のある場所だとか、天体観測に適した場所を調べるのだが、なかなかその場所がわからないし、どんなことが起こるかもわからない…。

すべては、突然「ビビビーン!」ときた感覚を頼りにいろいろなことを調べていく…。


話の底にあるのは、大昔にもいろいろなことが原因で亡くなっていった人がいただろう…。

そうした人の墓は、至る所にあって、言ってみれば人の住む場所であれば、そのすべての場所に人が眠っているようなものだろう…と考えていた。

特に、人の住む場所を見下ろすような丘とかには、星の数ほどの人が眠っているのだろう…と思った。


大昔から見える空に輝く星…。

今見える街の明かり…。


丘に眠る星の数ほどの人の想い…。


そうしたものが、何千年に一度の「星の日」のある瞬間にその場所で一気によみがえる…というイメージを描きたかった。

もっとハッキリ言ってしまえば、その日、その場所で、過去に亡くなった人に会える…ということ。

まあ、このことは、主人公の語るセリフの中でしか語らせなかったが、表現したかったことは、「死んでしまった人には二度と会えない。でも、その不思議な日にだけ、ある場所に行けば会うことができる…」ということ。


こうしたイメージが物語の底にあって、でも芝居自体は当時の小劇場でありがちな80%は「笑い」をベースにして作ろうとしていた。


その後、自分が外食産業に転じて店舗を作って行った時に、店名に「伝説」という文字を入れたのは、この作品を書いた時の「ビビビーン!」というイメージがあったから…。


この公演の稽古中に、大学の卒業式があり、友人たちが卒業式に出ている時に大学の屋上で小道具を作っていたのは印象に残っている。

学生課のKさんがたまたま屋上に来て、一人でいる自分を見つけて二人で話をした。

卒業式を終えた友人たちの歓声が聞こえてくる屋上で、空を見ながらの会話は今でも鮮明に覚えている。