高学年になると泊をともなう行事があります。5年生では、キャンプや林間学校といった名前の行事で、ここで初めて家族以外と寝泊まりする経験をする子どももいます。6年生では言わずと知れた修学旅行があります。
子ども達にとってワクワクドキドキのこれらの行事の裏側をお伝えしていきたいと思います。


目次
1.事前準備
2.移動中
3.アレルギー対応
4.入浴
5.就寝後の見回り
6.解散時間の遅れ
7.まるまる2日間仕事


1.事前準備
 まず、5年生のキャンプ。(ここではキャンプという名称で統一します。)1学期に行われることが多いため、子ども達と出会った4月からすでに準備はスタートしています。もっと言うと、前年度に施設を使わせてもらうための手続きをしています。準備は2日間の全行程の内容に加え、待機場所はどこにするかや、雨の場合のプログラム、学校からの持ち物の確認など細かいところまでチェックします。それを踏まえて、各校が集まる会議に参加します。(専用の施設がある地区は会議はない場合があります。)この会議は、同じ日にキャンプに行く学校の担当者同士での話し合いです。どの学校がどの時間でどこのキャンプファイヤー場や炊事場を使うかなどを決めていきます。基本的には譲り合いですが駆け引きや交渉もあるため、より良いキャンプにするためにはとても大事な会議です。担当の先生の事前プランがとても重要になってきます。
 ここまできた頃には学校でも事を進めていきます。まずは保護者に事前説明会を行い、同意書をもらいます。そして、子ども達とキャンプの準備を進めていきます。私の勤務していた学校では、キャンプファイヤーでのイベントのほかに各クラスの出し物を準備するため、話し合いや練習を行います。5年生は6年生以上に授業時間数がカツカツなため、本当に苦労します。納得のいく出し物をして欲しい気持ちと授業時間数の確保のせめぎ合いです。
 次に、6年生の修学旅行。修学旅行は旅行会社にお願いする部分が多く、キャンプほど細かくありません。しかし、担当になると修学旅行担当者会という同じ修学旅行の一団となった学校や旅行会社との打ち合わせがあります。現地視察などを行うために泊まりがけでの出張になります。学校でやることの大まかな流れはキャンプと同じです。


2.移動中
 ここからは、キャンプも修学旅行どちらも同じような流れなので分けずに書いていきます。
移動中で最も多いのがトイレ次に嘔吐です。修学旅行列車はトイレがあるのでまだ良いのですが、バスは大変です。トイレのタイミングを事前に伝えて、行きたくなくても行くようにしていても、やはり行きたくなる人はいます。少し我慢させるか、そのクラスのバスだけトイレに寄るか、全クラス寄るか、各担任が連絡をとりながら決めていくことになります。
 嘔吐はエチケット袋を持っているので、事なきを得る場合も多いですが、うまくいかなかった場合や間に合わなかった場合は大変です。バスという密室空間の中で、子ども達を移動させることもできないまま、どうにか処理をすることになります。そして、トイレと違うのはその後も体調が悪い場合もあることです。「スッキリしたー」と元気になる場合は良いのですがその後も体調が悪いままだと本人も可哀想ですし、人手もさかなければなりません。


3.アレルギー対応
 アレルギーがある子がいる場合は、慎重な対応が必要になります。普段の給食では栄養士と担任と保護者がやりとりをしながら対応していますが、郊外の場合は宿泊施設と保護者を担任が仲介役となってつなぎます。軽度なアレルギーだけの場合は全員のメニューを変更することで対応します。できるだけ全員で同じものを食べれるようにしてあげたいからです。重度の場合やアレルギーが多い場合は1人だけ別メニューということもあります。その場合、食べる前や食べた後の確認なども行います。実際にあった例としては、普段の給食もほとんどお弁当という子の場合は、修学旅行でもお弁当でした。保護者がお弁当を届けてくれるのです。我が子への愛と学校への協力に心から感謝です。


4.入浴
 たいていの場合、大浴場での入浴になります。クラスごとに入ることが多いため時間がかなり短いです。キャンプに関しては他の学校も使う場合が多いため時間厳守になります。子どもたちは、友達と入るお風呂でテンションがあがります。楽しく入浴して欲しい気持ちと時間やルールを厳守しなければならない状況のせめぎ合いです。
 一緒に入ることはない先生はいつ入っているのか?これは、就寝後の場合もあれば時間を見計らって入っている場合もあります。他の先生と時間をずらしてうまく回しています。人によるとは思いますが、女性の先生の場合は髪は洗わないこともあるようです。


5.就寝後の見回り
 就寝時間を迎え、静かになってくるとやっと一息つけます。しかし、就寝時間後も見回りがあります。特に修学旅行だと、それぞれの部屋に分かれているため広範囲の見回りになります。夜中の時間は担任以外の引率の先生が担当することが多いため、他学年からの応援で行く場合には大変です。もちろん日中は担任の方が大変なので仕方ないですね。子ども達にとっては、疲れているとはいえ普段の就寝時間より早いことと、普段と違う環境のためなかなか寝られない場合が多いです。寝るように声をかけますが、騒いでいなければよしとする場合もあります。

 私が担任としてキャンプに行った際には、就寝前に子ども達が悲鳴をあげるほどの怖い話をしたため、寝られない子が続出してしまいました。(自分で首を絞めてますね。)普段はクールなサッカー少年が、夜中に何度もトイレに起きて「先生の怖い話が頭に残って寝られないです。」と言ってきたときには、「かわいいとこあるな〜」なんて思いました。


6.解散時間の遅れ
 修学旅行もキャンプも、どうしても時間が遅れてしまうことがあります。子ども達も時間を守ってしっかり行動していたとしても、バスが渋滞に巻き込まれたり、電車が遅延したりします。遠足より遠出をするため、少しの遅れが学校に戻ってくる時間を大きく左右します。日が暮れて暗い中、保護者にお迎えをお願いして解散したこともありました。


7.まるまる2日間仕事
 子ども達を帰宅させホッとしたのも束の間、学校に戻り反省会を行います。お菓子を食べながら少し気持ちにゆとりをもって行われますが、まるまる2日仕事をした後の反省会の時間はかなり疲れます。反省会が終わってやっとこさ全行程終了となります。達成感もありますが、疲労感も半端じゃないです。担任の場合、次の日は子ども達も代休で学校に来ないため休みが取れますが、他学年からの応援の場合は自分のクラスは普通に授業があるため出勤することもあります。休むこともできますが、授業が進まないのもあとあと大変になるため悩みどころなのです。


まとめると普段の遠足は教師にとってもラッキーな1日ですが、泊まりの場合は大変ということです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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