<<Heart Of Two>>
1.Prologue
開いた窓からの肌寒い秋口の涼しげな風で目を覚ました。
隣には、いつものように知らない女が背中を向けて眠っていた・・・。
ベッドから起き上がり、煙草に手を伸ばした。
火をつけ、立ち上る煙に目をやりながら頭痛に耐えながら昨日のことを思い出していた。
仕事が終わり、自分の店で飲み・・・。
やっぱり思い出せず深く考え込むのを諦めた。
シャワーを浴び、着替えたが、まだベッドに横たわっている子は起きる気配がない。
おれは、車のキーを手に家を出た。
7時を回ったぐらいだろうか、少し薄暗い中近所のコンビニに寄って、コーヒーを買い、
再び車を走らせた。
今日の仕事は2件、午前中は32歳の主婦、午後は23歳のお金持ちのお嬢様。
そう、おれはお金を貰い、自分の体を売っていた。
18歳で初めてこの仕事をしたが、その時から、戸惑いは微塵もなかった。
きっかけは、3年前Bar。
働いていた時に、ある一人の女性が声を掛けてきた。
「ねぇ、お店が終わった後、時間ない?君、かわいいからさぁ。
ずっと、声掛けようと思っていたんだけどね!ねっ、いいでしょ?
仕事終わったら、この番号に電話してね。」
たまにお店にきている女性で顔はなんとなくは知っていたが、話したことはなかった。
・・・ただ、断る理由もなかった・・・。
店が終わり、先ほどもらった番号に電話をしてみた。
「もしもし・・」
「仕事終わったんですけど・・・」
「あ、ほんとにかけてきてくれたんだぁ。ありがと。じゃあ、迎えに行くね。どこにいるの?」
「店出たとこですけど。」
「わかった。今から行くね!」
外で煙草を吸いながら待っていると、目の前に1台のタクシーが止まりドアが開いた。
「お待たせ。とりあえず乗って。」
言われるがままに、タクシーに乗り込んだ・・・。
ネオンが瞳に眩い夜の街を通過し、いつしか辺りは、車からのライトの明かりだけで走っていた。
「あの、どこに行くんですか?」
「私の家だよ。もうちょっとで着くから待ってて。」
この女性が何を考えているのか全くわからなかったが、そんなことはどうでもよかった。
変わらない毎日、変わらない自分、変わらない世界・・・
それが、今日、まさにこの時間は、
自分の中の、もやもやを解決してくれそうな気がしていた。
そんなことを考えていると、タクシーはあるマンションの前で止まった。