【雑談】ボイジャー1号に発生したトラブル | 大放言・毒を吐くブログ アメーバ版

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※まだまだボイジャーの活躍は終わらない。

1977年に打ち上げられ、木星や土星の探査で輝かしい功績を残したボイジャー1号。打ち上げから間もなく45年を迎える現在でも尚、地球との通信は健在。現在は太陽系の脱出に成功し、「星間空間」と呼ばれる恒星同士の間の空間の探査を行っている。だが、ボイジャー1号が地球に送ったデータに問題が発生し、正確なデータの送受信が出来なくなっている様だ。問題解決が不可能、と言う訳ではない様だが、現実問題としてボイジャーの寿命も残り僅かになっている。最後まで活躍して貰いたいとは思うが、果たしてどうなってしまうのだろうか?


※ボイジャーは太陽の勢力圏を抜けた。

ボイジャー1号は現在、地球から約155AU(約233億km、1AUとは地球と太陽の平均距離約1億5千万km)の距離を秒速16.9km(≒時速6万1千km)のスピードで航行していると言う。今回判明した問題、と言うのは「AACS」と言うボイジャー1号の姿勢を制御するためのシステムについてであり、これは遠く離れた地球と通信するのに欠かせない高利得(ハイゲイン)アンテナを地球の方向へ正確に合わせる役割をしていると言う。

だが、この「AACS」の作動状態を示すデータが無効な値だったり、ランダム生成されたと解釈出来る値だったりしているそうで、このせいで地球からはボイジャーの姿勢に対する正確なデータが得られないのだそうだ。だが、データの中身はともかく、通信自体が出来ている事から「アンテナが地球の方向を向いていない」と言う訳ではなさそうだと言う。勿論ボイジャーを今から追いかけ追い付き、現地で修理する、なんて事は不可能だ。

システム自体に何ならのエラーやトラブルが発生したのか?それともボイジャーからのデータ送信は正常でも地球に届くまでの過程でノイズが入ってこうなっているのかは不明だと言う。いずれにしても原因が特定出来ればシステムのアップデートやバックアップシステムの活用、と言った対応が出来るらしい。これだけの活躍をした探査機が最後は「システムの不具合で通信不能」では虚し過ぎる。何とか復旧して最後まで活躍して貰いたいものだが…

※星間空間に何があるのかはまだ不明。

太陽系の外側がどんな状態なのかは殆ど判っていない、と言っても過言ではなく、ボイジャーのもたらすデータが現在唯一の情報源である。現在の技術ならボイジャーの性能を圧倒的に上回る探査機を作るのは予算の問題を抜きにすれば容易いだろうが、星間空間の探査をさせるにはどんなに急いでも現場到着までに数十年もの時間がかかる。また、ここまでの距離になるとタイムラグが無視出来ず、現在ボイジャーのシステムのアップデートをするにしても地球からの送信からボイジャーの受信まで20時間以上かかる。アップデートが問題なく出来たとしてもそれを地球から把握出来るのにも同様の時間がかかる。つまりシステムのアップデートを指示して完了確認までに約2日かかる。勿論それを短縮する術などない。やるにしても非常に緊張した時間を過ごす事になるのだ。

※ボイジャー1号が最後に撮影した太陽系の写真。60億km彼方から撮影された。

ボイジャーは打ち上げから45年が経つが未だに稼働している事に疑問を持つ方もいるかも知れない。その秘密は「原子力電池」にある。簡単に言うとボイジャーには放射性物質が搭載されており、そいつが勝手に核分裂する際に出る崩壊熱で発電しているのだ。これなら乾電池に比べて圧倒的な出力と寿命を誇り、また太陽電池の様に太陽との距離を気にする必要もない。だがその崩壊熱が電源を維持出来る量の発電が出来なくなった時が「ボイジャーの寿命」である。これは流石にアップデート不可能なのでどうにも出来ないが、「その時」まで後数年、と言われている。そうなってしまうと人類は太陽系の外側の星間空間に関するデータを直接得る手段を失ってしまう。先述した様に気軽に代替機を送れる様な場所ではない。そういう意味でもボイジャーとの通信の維持やデータには大きな意味があるのだ。

星間空間は太陽系内部とは比較にならない高レベルの放射線が飛び交う空間だと言う。太陽が吹き出す「太陽風」がそれらから太陽系を守っていてくれているのだ。現在それがない空間にボイジャーは居る。機体にどんな影響があるのか?誰も知らない。そもそも前例すらないのだから尚更の話であろう。ボイジャーは道を進んでいるのではなく、ボイジャーの通った後が道なのだ。続く事が出来るのかどうかは謎だが。

※ボイジャーの撮影した地球と月の2ショット。

ボイジャーには遠い将来何処かの異星人に回収される事を想定したメッセージが搭載されている。地球の音を収めたレコードだ。(打ち上げ時点でCDなどなかった。)当時のアメリカ大統領のメッセージなどもあると言う。異星人が英語を理解出来るのかどうかは謎だが、ボイジャーにはそんな「夢」も込められているのだ。その為にもボイジャーの不具合を修正して「最後の瞬間」まで活躍して貰いたいものである。