「所謂慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを勧告」
した事を取り上げた。一見して韓国側の主張のみを取り上げたおかしな勧告だと思っていたが、その事情はこういう事だった様だ。
そもそも勧告それ自体は韓国政府に向けられたものである。しかし、韓国政府は同委員会に提出した文書で日本政府の10億円拠出に触れず、
「日本側の履行が十分でないため慰安婦問題が解決されていない」
との見解を示していたのだと言う。その上、
「2国間の外交問題である『慰安婦問題』は、日本政府が言及した措置が誠実に履行されるという『条件』で解決されるとの意味だ」
と解釈しているのだと言うから韓国は政府ぐるみで拷問禁止委員会とやらに
「嘘出鱈目を吹き込んだ」
と言う事だ。韓国は2月に提出した報告書で、過去に出された勧告に対する06~15年の実施状況を説明したが、そこでも日韓合意には触れていなかった。今月2、3両日に同委員会の審査を受けた際、日韓合意に関する情報提供を求められたため、書面回答を提出した、との事だがその内容は上記の通り。…何処までも腐った根性を見せてくれる。
※今に始まった事ではないのだが…
拷問禁止委員会とやらが「日韓合意」に触れてきた背景には3月20日に韓国のNGO63団体が提出した報告書の存在があるようだ、と産経新聞は指摘する。その報告書は
「韓国政府が元慰安婦の要求を無視して日本と合意を結び、元慰安婦らに日本からの資金受け取りを勧めたため精神的苦痛や健康悪化に苦しむことになった」
と言う内容だったと言うが、実際には日韓合意時に元慰安婦と認定されていた46人のうち、34人は財団を通じて日本の拠出金を財源とした現金支給の受け入れを表明し、すでに32人が受け取っているのだから明らかに事実と異なる。
要するに日韓合意で「蒸し返し」を封じられ、今までのやり方で自分達の要求を主張出来なくなった連中が何とか自分達の主張を要求できる手段を模索した結果、この様な手段に出て、韓国政府もそれを「忖度した」と言う事か。日韓合意に反対なのは勝手だが、だからと言って嘘出鱈目を吹き込んで自分達に都合の良い勧告を出させるなど卑怯にも程がある。日韓合意に賛成反対以前に韓国とは「そういう事」を平気で行う国なのだ、と言う認識が必要である。これでも「韓国を信頼できる」などとどうして言えようか?
同時にこの「拷問禁止委員会」とやらもどうしようもない愚物集団だとしか言い様がない。幾ら韓国に対する調査・勧告とは言え、相手国が存在する問題である以上、一方の意見だけを聞いて勧告を出すこと自体異常だとしか思えない。韓国側だけの言い分、それも情報操作された報告「だけ」を見れば事情を知らなければ誰でも韓国側の主張を汲んだ結論になる。「最終的かつ不可逆的に解決」した、とした以上、韓国政府としては表向きには再交渉、とは言えないものの、裏ではこの様にしてその可能性を模索していた実態が明らかになった。ますます「信頼出来ない」のは火を見るより明らかだ。
少なくとも安倍首相は韓国を信頼していないのは明白だ。夕刊フジによれば安倍首相は文在寅との電話会談で
「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい。合意は日韓両国間で約束したもので国際社会から高く評価された。未来志向の日韓関係を築いていくために欠くことができない基盤だ」
「責任を持って(合意を)実施していくことが重要だ」
と、文在寅に釘を刺している。これに対して文在寅は
「韓国国内では日韓合意には慎重な意見がある」
「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実だ」
「民間の領域で起きた問題を政府が解決するには限界があり、時間が必要だ」
「(河野談話など)精神を継承し尊重する姿勢が必要だ」
「両国の発展のためには、歴史問題は賢く解決していく必要がある」
等と答えたと言うが、河野談話は既に韓国政府の介入があった事実が明らかになっており、日韓合意で完全に意味を失っている。少なくとも所謂慰安婦問題については
「賢く解決していく必要」
は最早なく、既に
「賢く解決された」
話だと判断する他ないだろう。後は文在寅が「その現実」を認識出来るかどうかの問題でしかない。
「国内世論」や「民間の領域云々」が「国家間の約束」を反故に出来る理由にはならないのは明白だ。しかもこの日韓合意は「密室談義」の結果ではなく、「アメリカの仲介で」「第3国のメディアを前にして」発表されたものだ。当事国の一方が一方的に反故に出来る訳などないのだが、文在寅はその愚を犯そうとしている。また、韓国は政府ぐるみで嘘出鱈目を第3者機関に吹き込んで自分達に都合の良い勧告を出させた。今後もそういう裏工作は幾度となく繰り返すだろう。日本としては官民問わず、
「韓国とはそういう『信頼出来ない』国だ」
と言う認識の下、「最終的かつ不可逆的に解決」したからと言ってその上に胡座をかくことなく、油断する事なく、おかしな意見にはその都度反論して事実を明らかにしなくてはならないだろう。そういう意味ではこの問題が終わった、とは言えそうにもない。