こんにちは、こんばんわ。
今回紹介する本は、
湊かなえさんのNのために
超高層マンションの一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。
現場に居合わせたのは20代の4人の男女。
それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。著者初の純愛ミステリー。
湊かなえさんは僕の好きな作家の一人で、
今まで「告白」「絶唱」「母性」を読んだことがあるので、今回で4作品目になります。
この本は、9年前の2014年に発売されたものなので、結構昔です
2014年ってついこの間じゃなかったっけ、、もう9年前なんて、、、
って思う人、きっと僕以外にもいますよね
僕は見てなかったんですけど、この作品は2014年にTBSでドラマ化もされていて、
主演は榮倉奈々さん他、賀来賢人さん、窪田正孝さん、小出恵介さん等々
豪華な俳優陣が出ていたそうです。
ドラマを見ていた人に話を聞くと、面白かったと言っていたので、見ておけばよかったなーと少し後悔してます
超有名な作品なので、ドラマまたは原作を見たこと・読んだことある方沢山いらっしゃると思いますが、、、
今から感想を綴っていきます
物語は、高層マンションに住むセレブ夫妻の殺人事件から始まります(事件から始まるのは湊かなえさんの小説でよくありますね)
タイトルである「Nのために」というのは、
名前にNの頭文字を含む六人
- 杉下希美(Nozomi)
- 安藤望(Nozomi)
- 西崎真人(Nishizaki)
- 成瀬慎司(Naruse)
- 野口貴弘(Noguchi)
- 野口奈央子(Noguchi)
が、それぞれ自分を犠牲にしてでも、誰かのために行動をした、という意味で、それぞれの人物の目線から事件に至るまでの真相が描写されています。
僕は、内容を全く知らずに読んだので、物語の途中で
「登場人物の頭文字、全員Nじゃん!」
って気付いた時は、なんだか嬉しい気持ちになりました(笑)。
実は、原作にはない高野茂という重要人物がドラマにはいて、
これは、第三者目線から事件を追っていく必要があったからだと推測されています。
原作は、
- 杉下希美(Nozomi)
- 安藤望(Nozomi)
- 西崎真人(Nishizaki)
- 成瀬慎司(Naruse)
の4人の目線で描かれていて、第三者目線の描写がないんです。
このことを知って、よりドラマを見たくなりました。高野茂からは、6人がどう映っていたんでしょうか。
ドラマ見たことある人は、ぜひ教えて下さい
この小説は、「純愛ミステリー」とカテゴライズされていますが、
僕は、純愛というよりなんていうんでしょう。
うまく言語化できないんですが、結局、主観はあくまでも主観であり、思い込みや誤解によって事実は歪められてしまうんだなと。
言葉にしないと、もちろん相手には全部伝わらないし、そのもどかしさというか、
自分が思っていることと相手が思っていることが全く違うことすらあって。
とても切ない気持ちになりました。
あ、でも、うまく自分の気持ちを言葉にできない感じが純愛なのか(笑)。
まあ、僕も読解力は高くないので、わかりませんがすごく心に沁みる物語でした。
特に、西崎が杉下に
「杉下にとっての愛って何?–––言い換えよう、究極の愛だ」
という問いに対して、杉下が答えた
「罪の共有」
というセリフは、とても心に響きました。
どういうことかというと、杉下いわく、
共有とは
「誰にも知られずに、相手の罪を自分が半分受け入れること。罪を引き受け、黙って身を引く。」
と説明しています。
なるほどなー
僕は今まで、愛とは「無償の愛」という言葉があるように、見返りを求めず何かしてあげたくなる感情のことだと考えていました。
どちらも、相手に見返りを求めていない点は共通していますがが、
「無償の愛」がポジティブな考えで、「罪の共有」はネガティブな考え
という点で異なりますね。
相手が何か罪を犯した時に、半分罪を引き受けられるかと聞かれれば
簡単に頷くことはできませんよね、、
そう考えた時、「無償の愛」より「罪の共有」の方が愛は大きいんだと僕は思いました。
だからこそ、「究極の愛」なんだと。「無償の愛」は、せいぜい「普通の愛」止まり。
これは新しい発見だったので、とても勉強になりました
最後にもう一つ、印象に残った文章を紹介します。
「その人のためなら自分を犠牲にしても構わない。その人のためならどんな嘘でもつける。その人のためなら何でもできる。その人のためなら殺人者にもなれる。みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた。ーーーー自分が守ってあげたことを、相手は知らない。知らせたいとも思わない。なのに、残された時間が僅かと知ると、欲が出てしまう。」
これは、事件から10年経った後の、主人公・杉下希美のセリフです。
これこそ、「献身的愛情」と呼ぶべきでしょうか。
親でも子供に対して、ここまで考えられるかわかりませんよね
でも、どんなに献身的愛情を注いで、相手に自分の努力を知られなくても良いと思っていても、
結局、人間は、心のどこかで自分の努力・存在意義、言うなれば承認欲求に満たされたい生き物であることが
「残された時間が僅かと知ると、欲が出てしまう。」
という文でよく表現されているなーと感じました。
究極の愛を持ってしても、承認欲求には勝てないんだなと。
てな感じで、湊かなえさんは「イヤミス(読後、イヤな気持ちになるミステリー)」の代表的作家でありますが、
今回紹介した「Nのために」は、「純愛ミステリー」に分類されるように、心に沁みる内容であり、
多くの人が楽しめる小説になっていますので、まだ読んだことない方は是非読んでみて下さい!
また、ドラマしか見てない方も、ドラマを思い出しながら、原作とドラマでどう表現が違うかなど注目して読んでみると、
一味違った「Nのために」の魅力を楽しめると思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は「コンビニ人間」の感想を綴りますので、またお会いしましょう。アディオス
↓↓↓こちらからクリック↓↓↓