あいみょん



(前)
“マリーゴールド”でのブレイクを経て、世代も性別も超えて支持されるアーティストとなったあいみょん。まるでひとつの型にハマるのを避けるように、音楽性という部分では新曲を発表するたびに新たな側面を見せ続けている彼女だが、その根っこにあるのはギターの弾き語りだけでも成立するメロディの強さ、そして日常で揺れ動く感情を独特の視点で切り出してみせる言葉のセンスだと思う。そんなあいみょんの魅力が詰まった名曲を今日と明日にセレクト。

夢追いベンガル

真夏の夜の匂いがする
チカ
もうあなたのことは好きじゃない。
そうさせたのはあなたのせい。
でも、これで関係が終わるならもう少しだけ求めていてほしい。

一見、別れ際の女性のエゴイズムが描かれているように感じるあいみょんの楽曲『チカ』。

さよならの今日に
音楽的にもぐっとフォーキーな匂いが強まり、コード進行とメロディラインはどこか薄暗い。そして《泥まみれの過去が/纏わりつく日々だ/鈍くなった足で/ゴールのない山を登る》というヘビーな心象風景から歌い起こされる歌詞。

戻らない昨日と問答無用でやってくる明日。整った起承転結も、美しい結末もない。《明日をどう乗り越えたかな》という投げかけの先で鳴る永遠に続くかのようなアウトロが、終わらない日々を象徴する。

君はロックを聴かない
シングルを出すたびに違った顔を見せる幅の広さはあいみょんの魅力のひとつだが、鋭い観察眼とシリアスなテーマ性を突き詰めた“生きていたんだよな”と心地よいファンクグルーヴで躍る“愛を伝えたいだとか”に続いて満を持してリリースされた王道のミドルチューンが、この“君はロックを聴かない”だ。「ロック」というキーワードひとつで男の子と女の子の違い、褪せることのない青春、焦がれるような恋心、そのすべてを浮かび上がらせる詩人としてのセンスは見事としかいいようがない。ずっと鳴っているアコギのストロークに合わせて、すぐ近くで聞こえてくるシンプルな歌は、淡々と心を揺さぶってくる。

新曲
あいみょんの新曲「桜が降る夜は」が「ABEMA」オリジナル恋愛リアリティーショー「恋とオオカミには騙されない」の主題歌に決定、初公開の本編映像を含むトレーラー“~それでも、恋する編~”にて

あいみょん

(後)
ポニョ吉の小中学校の後輩にあたるあいみょん♪
ポニョ吉が震災前迄、過ごした場所から徒歩5分にあいみょんの実家が今も存在している。(小中時代の同級生に教えてもらった)
震災は1995年1月17日に発生、あいみょんの誕生日は、1995年3月6日なので生まれていなかったので当然道でスレ違っている訳でもないが、気になる存在。
怪物くん
平井 堅

空の青さを知る人よ
マリーゴールド
今さら説明不要、あいみょんの名前を一躍世の中に知らしめた大名曲である。Aメロからサビまで一直線に伸びていくようなメロディ、聴き手の想像をかき立てるキーワードが散りばめられた歌詞、弾き語りに肉付けしていったようなシンプルでちょっと懐かしいようなロックアレンジ、どれを取ってもタイムレスな魅力をたたえた楽曲だ。そしてそれと同時に重要なのは、この曲が歌う情景が、それこそ“貴方解剖純愛歌 〜死ね〜”から続くあいみょんの「愛」の表現としっかり地続きであるということだろう。どちらが表でどちらが裏かはともかく、この曲にもまた、言葉だけではない「純愛」を探し続けるあいみょんの姿が色濃く滲んでいると思う。

裸の心

シングルとして(しかもドラマの主題歌として)この曲がリリースされたときの驚きは今もはっきり覚えている。ピアノやピアニカが印象的な、フォーキーなサウンド(アレンジはトオミヨウ)、穏やかなメロディ、言葉を一つひとつ置いていくような歌、そして《今、私 恋をしている/裸の心 抱えて》というピュアで切ないフレーズ。どれも、それまでのあいみょんが表に出してこなかった無防備さをたたえていたからだ。聞けば2017年には制作が行われていたそうで、メジャー1stアルバム『青春のエキサイトメント』の候補曲にもなっていたのだという。温存していたというよりも、今だからこそ出せたということだろう。この曲を聴くたびに、なんというか、古い日記帳を開くような思いになる。
ハルノヒ
何かが欠けたり何かが失われたりした不完全で一方通行な愛を描くことで逆説的にその尊さを歌ってきたあいみょんが、初めて「幸せ」を歌いきった楽曲、それがこの“ハルノヒ”だ。『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』の主題歌として書き下ろされたこの曲は、作品世界にモチーフを借りながら、あいみょんの表現が大きく変わり始めていることを示すものとなった。《北千住駅》という具体的な地名から歌い起こされるこの曲は鮮やかに情景を浮かび上がらせながら、そこに暮らす「家族」とそこにある愛と未来を優しく描く。世代や時代を超えた、これまでとは違うレベルの普遍性を手にしたという意味で、この曲はほかのどの曲とも違っている。
デビュー前の貴重な路上ライヴ

貴方解剖純愛歌 〜死ね〜

JR大阪駅前にて

路上ライヴを行った大阪城公園
アルバム
パスタがあると聞いてから