地方の政治と選挙を考えるミニ講座 -10ページ目

地方の政治と選挙を考えるミニ講座

勝負の世界には、後悔も情けも同情もない。あるのは結果、それしかない。 (村山聖/将棋棋士)

参院選も大詰めですね。

報道の公正性からはっきりとは書かれていませんが、

自民党、公明党、共産党がどうやらネットを上手に使いこなしているようです。



私もツイッターは情報の収集のために多用しており、

政治に関係するツイートは、

「保守」「リベラル」「その他」という具合にリスト分けし、

一通り目を通していますが、報道等でささやかれている通り、

自民党、公明党、共産党から発される情報は、よく拡がっているように思えます。



ネットによる選挙運動の解禁は、10年も前から望まれていたことです。

そして、これが望まれる最大の理由が、組織拡大戦略や個別訪問といった、

古典的な政治活動・選挙運動ではどうしても届かない層、

具体的に言えば、単身サラリーマンや学生という、

最も棄権率の高い有権者層の、政治・選挙への参加を促すことでした。


しかしこれまでのところ、組織力に長けた政党がネットを使いこなしているとは、

何とも皮肉な現実です。



自民党、公明党、共産党がネットを使いこなせている所以は実に簡単で、

組織戦をネット上でも実行できているからですよね。

日本共産党カクサン部( http://jcp.or.jp/kakusan/ )を見れば一目瞭然ですが、

党を挙げて情報の拡散に勤しんでいることがよくわかります。

自民党も都道府県連から市区町村支部に至る組織網を使い、

情報の中継係を設定することよって、確実に情報を拡げることができています。




その他の政党はと言うと、やはり風頼みですよね。
「誰かが拡散してくれる」のを期待しているだけですから、効果が出ていません。
三連休だった週末、党首級が応援演説に来ることを知らせるツイートが目立ちましたが、
大体その発信元である候補者のフォロワーが1万人もない。
「午後■時、党首の●●●●が来ます!場所は◆◆です!」と発しても、
リツイートが45件…。
数十万票を獲らないと勝てない、参議院という最も選挙区の広い選挙に出る人が、
しかも何年も前から出馬準備をし、ネット選挙が解禁されることがわかっていながら、
フォロワーが1万人以下とは何ともお粗末です。

何の準備もしていなかったとしか言いようがありません。




そんな風任せの陣営に限って、「集客はネットで」なんて言い出すものです。


「午後■時、党首の●●●●が来ます!場所は◆◆です!」

「間もなく、党首の●●●●が来ます!場所は◆◆です!」

「あと5分、党首の●●●●が来ます!場所は◆◆です!」

「党首の●●●●、ただいま到着です!場所は◆◆です!」


リツイートも反応も問い合わせもなく本番を迎え、聴衆もまばらなんでしょう。

ついには陣営の悲鳴に近いツイートが、タイムラインを占拠しました。




あと、発信する情報の内容にも優劣があります。
共産党は原発と憲法9条に焦点を絞った提言に対し、
有権者の意見を吸い上げ、ネット選挙に参加させることに成功しています。
自民党の場合は、首相自らの問題発言が注目されていますが、
あえて問題を呈することによって、
マスコミによる情報の増幅という効果を出しています。


「東京駅なう。今日は京都・奈良・三重の各選挙区応援です。」


なんてのは、情報としての価値はゼロですが、

田中均、菅直人…と実名を挙げて批判すればマスコミでなくても飛びつきます。



さて世論も私も、ネット選挙は組織をもたない新しい政党、弱小政党にとって、

金棒になるのではないかと思っていた節があると思います。

ですからこれまでの選挙戦は「意外な」展開です。



とはいっても今日を入れて選挙運動はあと4日もあります。

「火事は最初の5分間、選挙は最後の5分間」という言葉もありますので、

特に劣勢と評価を受けている陣営の巻き返しを見たいものです。




最近、街宣車を出さない。

あるいは出したくないと考える候補者が増えています。

有権者の多くも、街宣車による選挙運動を快いとは思っていません。

ですから、街宣車不要論が出ても何の不思議もないのですが…。



しかし私の経験から言って、「街宣車を出さない」という戦略が、

奏功したためしはありません。

もっと獲れるはずの候補が下位当選組で終わってしまったり、

遊説以外の戦略はすべて優れていた陣営が落選だとか、

なにしろ車による遊説をおろそかにした選挙は、

九割九分、期待値以下の成績で終わっています。



私自身も車だけで票が取れるとは絶対に思わないし、

百戦錬磨のウグイス嬢でも、車だけで票がとれると豪語できる人はいません。

では、車を出さないという選択がもたらす結果の原因は何なのでしょうか…。



車を出さない場合、候補者は大概徒歩か自転車で街宣を行いたいと言います。

騒音と無駄なエネルギー、無駄な公費、人件費を節約し、

等身大の自分と、自分の情熱と汗を、直に有権者に届けたい…。

と、頭の中で描いた理想を私にぶつけてきます。



そのような考え方の基礎となっているのが、


六畳一間のアパートを根城に極貧選挙を貫いた横粂勝仁や
郵政民営化法案に反対票を投じ、自民党を干された城内実。
自転車街宣のモデル的存在である河村たかしの幻影です。


そして車を出さない候補者は、「本人」と書いたのぼり旗などという、
これまた彼らをそっくりまねたグッズを製作し、街宣に臨みますが、
これがほとんどの場合、結果に結びつきません。



上記に挙げた三氏は選挙戦以前に、メディアを惹きつける背景を持っています。

横粂氏の100円ネクタイも、城内氏のハンディメガホンも、

河村氏のママチャリも、それそのものが奏功しているのではなく、

テレビ中継の増幅と報道の肩入れによって、効果を得ているわけです。

実際には一日に30分しか自転車に乗っていなくても、たった5秒の映像で、

一日中自転車で選挙運動を展開していると思わせてしまうのがテレビです。

ですから無名の地方議員の選挙の現場で、

真似して奏功するパフォーマンスではないのです。



私も自転車や徒歩での街宣に、実際に参加してみたことがあります。

やっている方は一生懸命、自分の全身を使っての運動に陶酔できるのですが、

好意的な反応を示してくれる有権者は非常に少ないのが現実です。

そして今度は、有権者側の視点でこの自転車遊説隊を観ると、

なんだか生徒会の選挙みたいに見えるんですね。

「まち」という生活の現場と全く波長が合っていなくて、

候補者と隊列の自己満足ぶりだけが、気味悪く際立っているのです。

もっと言えば、遊んでいるようにも見えます。



もう一つ考えられることとして、

選挙というのは、候補者の「本気さ」を上手に伝えなければならないのですが、

車を出さずに自転車や徒歩に転ずるということが、

手抜きと評されることもあるかもしれません。



そのままでは騒音を垂れ流す街宣車であっても、

なるべく交通や人の往来の迷惑にならぬよう、スタッフが四方に気を遣い、

「本気さ」を伝えようととことん努力している車は、

何か特別な雰囲気を醸し出していて、

思わず手を振り返してあげたくなることもあります。



今回は街宣車を取り上げましたが、

他がやっていないことを企画して目立とうと考えるよりも、

皆がやっていることの中で、最も優れたものを目指した方が、

選挙では得策であると思います。


私のHPには「無料相談」のフォームが設けられています。

「選挙に出てみようかな」と思いついた人たちが、

気軽にその事情や悩みをぶつける場所として、これまで機能してきました。



実にいろいろな相談が寄せられてきましたが、

そんな中でも件数としては比較的多いが、

どうにも答えようがない質問というのがあります。

それが「●●党の公認を受けようと思うのですが…」という質問です。



つまり党公認が自身の選挙にプラスになるか、

マイナスになるかを問われているのですが、

多くの場合、当該選挙が1年以上先だったりします。



もしこれが自民党の公認なら「マイナスにはなりませんよ」と言えますが、

これまで相談があったのは、たちあがれ・みんな・維新・民主です。

ねぇ、皆さんだって困るでしょう。



私はこれらの政党を卑下しているわけではないのですが、

たがだか1年の存続が保証できないわけです。

政権の座にあった民主党だって、来年の今頃の保証はないですよね。



もし今から1年前に「維新の公認を…」と相談を持ちかけられ、

その時の党勢から「公認を受けた方がいいですよ」と指南したとしたら、

今頃私は、頭を丸めていなくてはいけません。



ですから私はどんな場合でも、選挙までの時間が豊富な場合は、

自前の後援会を作り、無所属で政治活動を始めることを勧めています。

絶対に公認申請の後押しをすることはしません。

既に公認申請を決意した人の、論文や面接の対策は指導しますけどね…。



この参院選後にも消えてなくなる政党があるでしょう。

そして次の国政選挙が迫れば新しい政党も生まれると思います。



あなたが、いきなり国政を目指すならともかく、

地方議員を目指すなら、まずは自前の後援会を設えるべきです。

代表のチョンボでたちまち転覆するような政党の公認であれば、

どうしても欲しければ選挙直前に申請したって間に合いますから…。

参院選もあと一週間、終盤戦ですね。

この選挙で最も興味を引くのは「ネット選挙解禁後初」という、

新たな制度の影響です。



ネット選挙解禁は、

民主党政権下の2010年通常国会でほぼ決まりかけていましたので、

当時もメルマガで私なりの見解を記しました。

通信手段として、電話や郵便に変わる便利な手段にはなるが、

選挙戦そのものの主役になることはなかろうと予測したのですが、

どうやらその通りに、ネット選挙解禁初の選挙は進行しているようです。



選挙に深くかかわる人たちにとっては、

「ネットを使いこなさなくてはならない」という強迫観念と、

「成りすまし・誹謗中傷等」への予防対策にずいぶん気を取られ、

出費もかさんだのではないかと思います。



結果はどうであれ、この選挙が終われば収支報告書を提出しますが、

ネットによる選挙運動に各陣営がいくら使ったのか、

そしてその出費がどれくらいの効果を産んだと各陣営が実感するのか、

大変興味深いところですね。



さて、これから地方選挙に挑戦する皆様も

ネットを使った政治活動・選挙運動ができるわけですが、

まだまだ旧来の手法の手を抜いてはいけません。

受験科目の選択肢が増えたという認識ではなく、

受験科目そのものが増えたと考え、対策しなければなりません。