そこまで負けるとは誰も予想できなかった参議院選挙での自民党の大敗。その理由について多くの人たちは「年金問題」だけではなく、「閣僚の不規則発言」や「政治とカネ」の問題など複合的なものであったと話している。しかしその底流には共通する問題が潜んでいる。それは安倍首相の性格的な弱さである。それがリーダーシップの決定的な欠落につながったと私は理解している。閣僚たちが引き起こしたいかなる不祥事にも自らはなんの意思決定もできず、年金問題に対しても初動の遅さが最後まで尾をひいた。選挙間際の強行採決の連発も弱さの裏返しではなかった。
安倍首相は選挙直前になってテレビ出演を頻繁に行い、みずから国民に語りかける戦術にでたが、その結果は、自民党への支持率低下に拍車をかけただけだった。
「言葉に力がない」
私にはそんなふうにしか感じられなかった。私は民主党の政策が自民党よりも良かったなどとはとうてい思えない。違ったのはリーダーの覚悟だった。民主党の小沢一郎党首は負けたら「政界引退」とまで言ったのに対して、安倍首相は選挙前から「結果にかかわらず続投」といい、大敗後も「私だけは続投」という態度に終始した。選挙結果は、この差ではないか。