前回に引き続き、今回は田勢、星の両氏の話と、15日(日)に出演したサンデープロジェクトでの話を織り交ぜながら選挙結果を予測する。
参議院定数242議席のうち、今回改選されるのはその半数の121議席。現有議席から見ると過半数122議席を取るためには、与党側は自民・公明合わせて64議席(非改選58)、野党側は59議席(非改選63)が必要。
与党側は、公明党が目標の13議席を維持したとすれば、自民党は51議席の獲得が必要となる。一方の、野党民主党は55議席獲得を目標としていて、主導権を握りたいと考えている。
また先週、非改選の野党側2議員が離党や会派離脱を表明。この二人の動向によっては勝敗ラインに影響を及ぼす可能性も出てきた。
毎日新聞の予測としては与党過半数割れといった厳しい数字で見ているが、私がこれまで社内で個人的に言っているのは、自民47±2・公明12±1で計59±3、一方の民主53±3で、それほど与党に厳しくない。
これに対して、9日のTBSニュース23に一緒に出演した田勢康弘早稲田大学院教授、星浩朝日新聞編集委員は、次のようだった。
【星浩氏】
-------自民党が44±5、これは98年に橋本さんが退陣した時の数字で、恐らくプラスに行けば安倍さんは続投、マイナスなら危ないなという感じ。いずれにしても全体的には厳しい状況だと思う。
確かに反自民の風が民主に集まっていないが、だんだん選挙戦がヒートしてきてどちらかを選択ということになると、自民党にはなかなか回帰しにくいのかなと思う。
ただ、橋本さんの時と条件が違うのは、公明党、創価学会が自民党を全面支援しているというのはプラスの材料だから、44ぐらいで凌ぐ可能性がある。39になると安倍政権存続は無理。公明党は12議席かという感じ。
野党側は民主党が比例区、それから東京を含めて複数区では相当健闘するのではないかと思っている。その他野党は12で、公明党と一緒ぐらいで、最後はやはり自民対民主という戦いになるのだと思っている。
【田勢康弘氏】
------これは願望でも何でもなく、ただ長い間政治を見てきた職人としてのカンみたいなもので言えば、このままでは自民は39。
参議院選挙が衆院選と比較的違うのは、直前の世論調査の数が票に直接反映されることが多い。橋本さんが退陣に追い込まれた時の数字は、定数が減っているから、今回に当てはめると42議席ぐらいの数字。
39はそれを下回る数字で、私は、この政権は完全に負のスパイラルに入っていると思っていて、選挙に勝とうと色んな手を打つのが全部マイナスの方向に向かっていると思う。その最たるものが投票日をずらしたのこと。
有権者はどちらかに投票するが、年金に対する怒りと定率減税廃止などで、給与明細書を投票日の4日前に見る。そこでまた与党に怒りが込み上げるような投票日程にしたのかわからない。打つ手打つ手、全部悪い方向に向かっている。
公明党も13は厳しいのではないかと思っていて、1議席、最悪の場合2議席を落とす可能性がある。
さらに、両氏は以下のようにコメントした。
【田勢康弘氏】
------現実に四国、東北を回ってきたが、一人区は全く苦戦している。今の段階では全く勝てないと思うと苦戦しているところを見ていると、相当厳しい予感がある。
また、自民党内に安倍さんをどれだけ守ろうかといった雰囲気がないことも問題で、総裁選では267人の国会議員が安倍晋三と書いているにもかかわらず、心が離れてしまった人が多い。安倍さんは気の毒でもある。
【星浩氏】
-------参議院選挙は、自民党のAさんと自民党じゃない人との戦い。つまり野党の顔が見えなくても自民党が嫌なら野党に入れるという人が多い。今回、これだけ年金とその他の問題が相次ぐと、自民党じゃなければ誰でもいいやとなって、その票が野党に流れる可能性が高い。この部分が自民党に回帰することはちょっと考えにくく、むしろ加速していくのではないかと思う。
確かにこれまでの流れを見ていると、まさに18年前の宇野時代と一緒の問題が起きて、今のままなら比例は民主党が第一党になるだけでなく、相当差が開くだろう。
しかし、私の予測数字は、自民47±2・公明12±1で計59±3、一方の民主53±3で、場合によっては与党過半数維持もありうると考えている。
これにはいくつかの理由がある。まず与党にとっては年金問題などで、ものすごい逆風が吹くなか、その逆風が民主党への積極的支持に結びついていない。
それから、私のこれまでの参院選の取材経験から言うと、言い方は悪いかもしれないが、今までの自民党衆議院議員は参議院選ではあまり積極的に動いてこなかった。
ところが今回は、もし参議院が過半数割れなら解散総選挙が近いかもしれないということで、とりわけ衆議院側の危機感がこれまでとはまったく違う。だから、追いつめられると最後になって色んな手を打ってきて、これが逆バネとなって効く可能性がある。
例えばどういう事かというと、比例で言えば色んな候補者それぞれの支持団体を、全部指示して入れ替えるとか、組織票を見直す。
しかし、こういった逆バネの効き具合は、無党派層の投票行動に左右される。増えている無党派層の投票率が上がって、組織票の見直し以上の力があれば、逆バネは効かなくなることもある。
その無党派層も、自民党も政権もダメだけど、野党もだらしないなということで、関心はあっても実際に投票に行くかどうかという問題もある。
いつも選挙結果の帰趨を決めるのは、最後は投票率。ここを読むのが重要な要素になる。そこで次回は投票率によって、どう選挙結果が左右されるのかを予測する。
(続く……)
