脊柱を横から見ると、私たちの背骨は柱を立てたような感じではなく、首が前、背中が後ろ、腰が前というようにS字形のカーブを描いています。もし、これがまっすぐになっていると跳びはねたとき脳に振動が直接伝わってしまいますが、S字形になっているために、衝撃が吸収されて振動が響きにくくなっているのです。

さらに脊柱は上半身を支えるだけではなく、曲げたり伸ばしたりひねったり、という動きに対応できるようにしなやかな構造になっています。

仕組みを見ていくと、一番上にあり、重い頭を支える役目を果たしているのが頸椎です。頸椎の下に胸椎、その下に腰椎と続いていますが、腰椎は仙骨(骨盤)の上に乗っています。これらはそれぞれ、7個、12個、5個の椎骨からなっていて、あいだにクッションのような働きをする軟骨性の椎間板を挟んで、椎骨というブロックを積み重ねた構造になっています。椎間板があるおかげで、ある程度伸縮性があって曲げたり伸ばしたりの脊柱の動きができ、脊柱にかかる衝撃を吸収し、和らげるという役目も果たしてくれているのです。

しかし椎間板は老化が早く、25歳を過ぎる頃から椎間板の中央にある髄核の水分が減り始め、35歳以降になるとその髄核を取り巻く線維輪という軟骨の水分も減少して弾力性が落ちてきます。そのためにクッション効果が弱まり、腰椎への衝撃を緩和できなくなって腰痛が起こり易くなるのです。

その他に、筋肉の老化によって、状態を支えられなくなる場合や神経からくる痛みが原因の場合や脊柱(背骨)の中にある脊髄から出ている末梢神経が痛みの原因になる場合もあります。