シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶 -5ページ目

シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶

シニアライフ(セカンドライフ)や相続の問題について書き綴ります。
年金、退職金、少子高齢化、健康保険、後期高齢者医療、介護保険、
相続、終活、老後破産(老後破綻)に備える方法などについての考え方
を読者の皆様と共に考えていきたいと思います。

 普通方式といわれる遺言の中で自筆証書遺言は公正証書遺言と違って簡単に作成できる分、間違いを犯すことがあります。

 例えば加除訂正の仕方も独特ですし、日付や署名忘れなどの恐れがあります。

 紛失や隠匿の恐れもあります。




 また、形式的には完璧であっても自宅の表示で家屋だけ表示して、土地の記載を忘れていたなんて失敗もあります。

 やはり遺言書を書き始める前に、全財産を精査し、それぞれについて誰にどういう相続をさせるのかが記載されていないと問題となります。




 そのためには専門家の指導を仰いで作成するか、公正証書遺言にして公証人の指導の下に作成する必要があります。

 先ほどの例でも、自宅の相続で家屋の相続はできても、土地の相続ができなければ、土地について遺産分割協議が必要となり、場合によっては家屋を撤去してくれなんて他の相続人から言われかねません。

 もともと日本の家屋で年数の経ったものはほとんど価値がありません。

 そうなるとせっかくの遺言が無駄になってしまいます。




 また、死後の事務、例えば葬儀の仕方や献体、散骨、樹木葬にして欲しいなどの要望はしかるべき人と死後事務委任契約を締結しておくことが望まれます。

 遺言だけではできないことを行ってもらうよう契約しておくのです




 終末期医療についてもいたずらに延命措置を望まないならば尊厳死公正証書にしておくことが大事です。

 いくら家族に口頭で伝えていても医師は最善の努力をする義務があります。

 わずかでも可能性が残っているならば医師にも迷いが生じる可能性があります。

 また、後で訴訟を起こされる可能性もあります。

 よって家族も同意したことが記された尊厳死公正証書を作成しておくべきなのです。




 できる限り、遺される者に負担をかけないようして書類を整備しておきたいものです。

 自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は28日、勤労者と事業者から社会保険料を上乗せして徴収し、それを教育無償化などの財源とする「こども保険」制度の提言案をまとめました。




 以前にも私は「こども保険」の必要性を書いてきましたが与党内でも同じ意見が出たことになります。

 社会保険方式で広く浅く徴収することで赤字国債や増税に頼らない財源とすることができる点はメリットだと思います。

 赤字国債(仮に教育国債と名付けましょう)の発行では将来世代への負担の先送りとなってしまうでしょう。

 個人的には増税の方法もありかと思いますが、今の経済情勢の下では難しいのではないかと思っています。




 ただ、こどものいない方からの不満はあるでしょう。

 しかし、少子化で人口減少時代に突入した我が国で、今まで年金、医療、介護に偏ってきた社会保障を転換する時期に来ていることは確かです。

 また現役世代が払った社会保険料で現役世代がその利益を享受するという点では国民全体の理解が得られやすいのではないでしょうか




 使い道としては児童手当の増額、幼児教育の無償化が挙げられると思います。

 さらにこども用品への利用券(バウチャー)なども考えられます。




 さらに行政組織としての「子ども省」を設置し、少子化対策、こども政策の一元化を図るべきだと考えます。




 なぜ、ここまで少子化対策にこだわらなければならないのでしょうか?

 それは我々の老後そして日本の未来は現在の、将来の子供にかかっているからです。

 是非、「こども保険」の創設を実現させましょう。

 2025年、団塊の世代が全て75歳以上になるとともに、認知症患者が軽度認知症(MCI)の方を含めて1,300万人に達するという試算がNHKの番組で報告されました。

 これは国民の9人に1人、65歳以上に限ると実に3人に1人に達するということを意味します。




 高齢ドライバーによる交通事故、徘徊による行方不明、誰にも看取られることなく逝く孤立死---そんなことが日常茶飯事に起こりうる可能性があるのです。

 これは介護を受ける方が急増する問題に加えて、社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 我々はそうした状況に適応できるでしょうか?




 認知症がそれだけ普遍化すると社会全体としてその受け入れ態勢を整備しなければならないでしょう。

 認知症の方を特別扱いするのではなく、身近な隣人として接する必要があるのではないでしょうか?




 まずは予防。

 認知症にならないためのトレーニングを普及すること。

 それと早期発見、早期治療。




 それでも罹患された場合は軽度に抑える手助けを行うこと。

 近年では認知症に罹患されても症状を悪化させない手段が開発されつつあります。




 それに加えて認知症の方を特別視せず、できることとできないことを見極め、社会の一員として受け入れていくことが必要なのではないでしょうか?

 地域、お店や様々な企業でも認知症の方を受け入れる態勢を整える必要があります。

 それは必ずしも負担となるだけではないはずで、認知症の方々も立派な消費者としてお金を使ってくれる存在だからです。




 大認知症時代という日本がいまだかつて経験したことがない未来が待っている以上、楽観視はできません。

 しかし、これを克服しなければ将来の日本は成り立ちません。

 そのためには認知症に対する正しい理解と予防、改善策、受け入れ策を整えていかなければなりません。