オバマケアーとアベノミックス(日米国会について)
2013.11.1. 社本専一
米国の年度予算は10月1日より始まったが、10月16日まで国家予算不在の状態が続いた。何故この様な事態が発生したのか? わが国にとってこれは対岸の火事ではない。教訓とすべき点を検証する。
1.国家財政の債務高シーリング
本年9月末、オバマ政権は与野党対立の結果15日間の歳出不能に陥った。現在も来年1月15日までの暫定予算下にある。日本メデイアは、直接原因となった米国会のねじれ現象の表面を同情の念を持って報じるのみである、主権在民政治においては、国家予算がともすれば歳入を超えて膨張を続ける現象が起こるので、米国では政府の信用限度を設定し、その増額には議会の承認を必要とする事を決めている。このシーリング制度は財政規律を維持する方策としてわが国にも必要なのではないか?わが国の新年度予算(歳入50兆円vs.歳出100兆円)は、地震、津波の特殊事情とはいえ、財政の常識を逸している。安倍内閣の最近の族議員復活傾向を見るに、消費税5% upでは問題解決する筈がない。この様な基本的な財政規律維持のメカニズムがなければ歯止めが利かなくなる事を危惧する。
2.ねじれ現象と危険な政治チキンレース
二院制国会制度を採用している国では、どうしてもねじれは発生する。主権在民制が定着し国民の政治レベルが深化してきた現在、与野党のマニフェストの主張格差が接近してくる。そして選挙の風向き次第でねじれが起こる。そして政党は、党利党略の駆け引きの為国民を犠牲にして危険なチキンレースに突入し、米国の如く国家予算まで餌食にする。被害者は国民であり、ドル経済圏の諸国家である。この点、予算のみは衆院決議優先を謳ったわが国憲法は先見の明がある。一般法案において両院協議会が機能しない場合、韓/台のごとき乱闘国会、日本の如き大臣の首との差し違え等打開策は見苦しい限り。二院制度の良識にかけて、合意形成の仕組み(たとえば経済的議案は衆院、文化的議案は参院の如き優先性)を生み出す知恵が必要である。
3. 国民皆保険制度(オバマケアー)
米国でもやっと国民皆保険制度が成立したが、それが定着するか否か?今からが正念場である。貧富格差が甚だしく、且つ移民政策を採用している国にとっては、またその制度の悪乗りOKの倫理観が横行するアメリカでは、皆保険制度による予算負担額は膨大であり、茶党ならずともWASP的反発が不可避。北欧諸国の如く徴税50%超の租税システムを採用していない国では、何らかの現実に即した手直しが必要となると思われる。日本に於いても現行のようなジャブジャブ予算の医療厚生政策がいつまでも罷り通る訳がない。
4.人気取りばら撒き予算
米国は今や3大政党時代と言われている。極右の茶党が共和党内で党内予備選を利用して良識派に圧力を加え、党は分裂の危機に曝されている。茶党の主張する、オバマケアー廃案の為には国家予算審議は後回しで良いという狭量さは度を越しているが、選挙での当選が絶対優先である議員心理の結果、極右派、農民層、老年層へ傾斜する弊害は世界的現象である。又ケインズ理論やノーベル賞経済学者James Buchananの唱える公共選択論から、政治家/官僚は人気取りばら撒き予算に走る結果を生んでいる。金本位制を離脱したスミソニアン体制下、ドル機軸通貨制度、通貨インフレ、ヘッジファンド経済、財政規律の崩壊などなど、人類の叡智が試される時代に差し掛かっている。 以上
