ライス長官来日/日米の戦略調整が前進した | 世界日報サポートセンター

ライス長官来日/日米の戦略調整が前進した


 アジア歴訪中のライス米国務長官が来日し、小泉首相、町村外相、大野防衛庁長官と会談した。長官就任後のアジア訪問は初めてだ。
 日米友好関係の前進には、自由の価値を中心に動くブッシュ戦略の理解が不可欠である。同大統領の懐刀であるライス長官の訪日で日米の理解が深まり、戦略調整が進んだことを歓迎したい。


自由拡大のアジア政策

 その点で重要なのは、都内の大学で行われた第二期ブッシュ政権のアジア政策についての同長官の講演だった。同長官は「自由こそ文化の違いを超えた普遍的価値」と述べるとともに、「今こそアジアに自由と民主主義を拡大する機会だ」と強調した。「自由ドクトリン」のアジア版実施への強い意欲を示したことに注目すべきだ。

 日米関係について長官は、「敗戦後、政治的、経済的に世界で確固とした地位を築いた日本こそ東アジア諸国が学ぶべき成功の先陣である」とたたえ、国連安保理の常任理事国入りを支持した。

 さらに、「米軍の存在が日本の成功に寄与した」と述べるとともに「日本はグローバルなテロ対策や中東改革で重要な役割を果たしている」と「世界の中の同盟関係」へと成長したことを指摘した。

 アジアの安定と繁栄のための途上国支援について、日米同盟を安全保障だけでなく、自由への思いやりを中心に「戦略的開発同盟」へと発展させることを提案したのも日本への強い期待を示すものだ。

 長官は米軍再編と日米同盟の近代化について、「中国の台頭」を新しい要因として挙げるとともに「在日米軍はアジアの平和と安定のためのものであり、その傘の下でアジアは繁栄し得る」と述べ、抑止力としての在日米軍や同基地の重要性を強調した。基地を内政問題ととらえがちな日本側との食い違い是正が必要だろう。

 中国について「中台関係の現状を変えることに反対」と語った上で「アジアの現在の方向性は開放性である。信仰の自由や人権の尊重が社会の成功の基礎であることを中国も気付くだろう。中国も民主的な政治体制を取り、経済力に見合うグローバルな責任を果たせる国になることを望む」と述べ、「反国家分裂法」を制定した中国に警戒心を示し米中の価値観の違いを強調したことが注目される。

 北朝鮮の核問題については、米朝二国間交渉が一九九四年の北朝鮮の枠組み合意違反で失敗したことを挙げ、「近隣諸国が同じ声で同じ要求を突き付けることができる六カ国協議の方が効果的」と語り、米朝直接交渉を拒否した。五カ国分断を狙う政策が通用しないことを北朝鮮は認識すべきだ。

 日米関係のノドに刺さったトゲとなっている米国産牛肉の輸入再開問題は小泉首相と町村外相との会談で取り上げられた。長官は、国際的基準に基づいての早期解決を求めたが、日本側との間で日米関係を害さないよう適切に処理することで合意した。

 小泉首相は「輸入再開を故意に遅らせていない」と米側の理解を求めたが、米上下両院で日本が輸入を再開しなければ米通商代表部が日本に対して報復の経済制裁措置を取るよう求める強硬な決議案が提出されており、日米間で意思疎通が欠けていたようだ。

賢明だった作業加速発言

 政府が安全性をチェックしている「食品安全委員会」に圧力を掛けることは、食の安全に対する国民の信頼を失わせる。町村外相が「輸入再開の期日は言えない」としながらも、同委の作業を加速させることで、実質的に米側の要望に応えたのは賢明だった。

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