緊急集会「尖閣・沖縄そして台湾~中国の侵略・覇権を断乎阻止しよう~」開催 | 世日クラブじょーほー局

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 11月11日(土)、都内において「尖閣・沖縄そして台湾~中国の侵略・覇権を断乎阻止しよう」が開催されました。メインは4名の識者による講演。

 

トゥール・ムハメット氏(日本ウイグル連盟会長)

 

 冒頭、来賓である日本ウイグル連盟会長のトゥール・ムハメット氏は、中共を「無慈悲、残虐、欺瞞」に満ちた集団と呼び、中共に侵略された祖国である東トルキスタンを独立させるべくリーダーであるラディア・カーディル女史を先頭に闘い続けるので、支援して頂きたいとあいさつ。

 

宮崎正弘氏(評論家・東シナ海を考える会代表)

 

 そして本会の主催者である「東シナ海を考える会」代表・宮崎正弘氏が基調講演。その中で宮崎氏は日本は主権国家でしょうかと問題提起。同胞が拉致されたとしたら、普通の国なら軍隊を派遣してでも取り返すはず。ところが日本では、米大統領が被害者家族に会ってくれてくれたから有難いというだけ。北朝鮮の核について、これは日本の安全保障にとって、直接の脅威だ。これまた普通の国なら、先手を打って空爆してしまうのが筋のはずだ。イスラエルはイラクのオシラク原子炉を自分たちの脅威だとして、空爆により破壊した。そしてイランで建設中だった原子炉にサイバー攻撃を仕掛け、シリアの原子炉施設同様、空爆により破壊している。つまり自国の安全保障の脅威となるとわかれば、先制攻撃によってその脅威を取り除くというのが普通の国家のやるべきこと。それもこれも日米安保条約により、日本が保護領化したためだが、これを克服すべきだと述べた。

 

「沖縄の現状と国連報告」

我那覇真子氏(琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会運営代表委員)

 

 我那覇氏は中国空軍機による沖縄への領空侵犯が昨年1168回を数えたことを憂慮。そして島民としてはもはやこれは平和とは呼べないと危機感をあらわにした。そして、外からの軍事的圧力に加え、内部からの情報工作があるとして、沖縄タイムズ、琉球新報をはじめとするマスコミを俎上に上せ、これらは諜報機関と呼ぶ方がふさわしいと断じて以下のような実例を示した。

 

 2016年末、公安調査庁が公表した「内外情勢の回顧と展望」において、「中国の大学・シンクタンクが沖縄独立求める団体関係者と交流深める」「中国に有利な世論 沖縄で作ることで日本国内の分断を図る狙いが潜むとみられる」と指摘したが、それに対する琉球新報の社説は、「ネット上の流布するデマや中傷をかき集めただけの文書だ。それを政府機関が作成し、堂々と発表するのだからあぜんとする」と書いた。さらに琉球新報、沖縄タイムスの記者が立ち入り禁止区域に侵入し警告にも従わなかった事があきらかになり防衛局は警告文書を報道各社へ送ったが、それに対する新報の社説は「明らかに工事の加速化を意図したメディア排除だ。許しがたい取材妨害であり、言論の自由を侵す暴挙と言わざるを得ない」と書いたと。

 

 なお我那覇氏は、「正す会」を立ち上げた理由として、どんな正しい主張や活動をやっても、それが伝わらなければ、なかったものとされてしまう。今、沖縄は、言論の場としての「制空権」を奪われた状態であり、その制空権奪還のためにという動機だったと語った。

 

 

 「東シナ海問題における台湾の役割」

李明峻氏(台湾安保協会副理事長)

 

 李氏は台湾が北東アジアにも、東南アジアにも属するという戦略的位置を占めると解説。そのうえで中国の海洋進出について、以下のように論じた。中国は太平洋進出とインド洋進出の両方をもくろむ。そのためには第一列島線をどうしても突破しなければならない。そしてそのルートは沖縄周辺を通るか南シナ海を通るかだが、それは台湾を挟むかたちとなっている。東アジアにはマラッカ海峡、台湾海峡、バシー海峡という重要な3つの海峡がある。そのうち後者2つは台湾がコントロールできる。よって中国はどうしても台湾を獲得したい。もし台湾が中国の一部になれば、日本の生命線は中国の手に握られることになる。その時日本は、再軍備するか、二等国家に転げ落ちるかの選択肢しかないと。

 

 ところで日本は外国との戦争はおろか、防衛戦争もできない国だと李氏。なぜなら、憲法第9条の縛りにより、国内法で制限されているとして、次の5つの問題を指摘。まず軍法がない。自衛隊法は警察法。戦争する場合は軍事法廷が必要。2つ目はプラクティスコードがない。3つ目に予備軍がない。台湾は27万人の軍隊と予備軍が250万人。4つ目は緊急命令がない。5つ目は総動員法がないと列挙した。

 

 次にこれからの日台関係について李氏は、台湾と日本は軍事力は決して弱くなく、日台が協力すれば世界有数の強い同盟になれると。ただ今の日米台の軍事関係はかなりアンバランス。日米には日米同盟があり、台米間には台湾関係法がある。台湾の武器はアメリカが供給している。だが、日台間には何もない。ただ日本は憲法改正すれば、上記の問題は解決できる。蔡英文政権と国会も独立派の民進党が議席の過半数を占めたので、これからいろんなことができるとした。

 

 最後に李氏は、今現在日台両国におけるもっとも深刻な問題は、大多数の国民に危機感がないことだと警鐘を鳴らした。

 

「アメリカ軍から見た台湾と日本の防衛」

飯柴智亮氏(元米国陸軍大尉)

 

  飯柴氏は、アメリカの世界戦略を考える上でポイントとなる3つのワード―「戦略」、「作戦」、「戦術」について以下のように論じた。まず戦略には、国家戦略がありそれは4本柱(D・I・M・E)からなる。D=diplomacy(外交)、Ⅰ=information(情報)、M=military(軍事)、E=economics(経済)。このうち、3つを押さえていれば、世界のスーパーパワーとなる。米国は今現在それを押さえている。国家戦略の下に位置するのが、軍事戦略。米軍は世界を戦域(theater)に分けている。米国本土を含む北方軍、中南米を含めた南方軍、欧州軍、アフリカ軍、中央軍、太平洋軍の6つだ。米国は軍事戦略を考える際に、この戦域を中心に考える。軍事戦略の下にある作戦―例えば「航行の自由作戦」など―とは何か。一人の司令官(中将以上)の指揮下で、軍団以上の部隊が統一された目的に向かって行う軍事行動。作戦の中で、旅団以下で行うことを戦術(tactics)と言う。

 

 東シナ海問題について飯柴氏は、米国では戦域を使って太平洋軍の管轄の一部の問題として扱うと指摘し次のように論じた。台湾問題について今のトランプ大統領は本音では台湾の独立を望んでいる。台湾有事の際、米軍はどういう行動をとるか。中国は台湾侵略のためには空母三隻体制が必要とみて着々と進めている。その空母3隻に台湾が包囲されたとき、米軍はどう動くか。まずマラッカ海峡を封鎖する。そうなれば中国は1年以内に石油が枯渇するだろう。こういう事態を想定して、中国はマラッカ海峡を通らないルートの確保に懸命である。陸上のパイプラインや鉄道網などの整備がそうだ。ことほど左様に中国の国家戦略とはエネルギー戦略なのだ。だが、そうは言ってもやはりマラッカ海峡は外せない。米国の太平洋軍が管轄するのは第七艦隊だが、その船舶によって中国のエネルギー補給船やタンカーなどすべて拿捕、通行不可、はては撃沈ということが行われる。インド洋の真ん中にディエゴガルシア島があるが、米国にとって重要な戦略拠点であり、ここから中国船舶への攻撃が想定される。

 

 そして中国の実力について。中国の第一号空母「遼寧」はガラクタ。空母は単体では無防備であり、必ず艦隊を必要とする。艦隊は音楽に例えればオーケストラだ。交響曲を奏でるのに似ていて、全員が一糸乱れず行動する技術が必要であり、これは一朝一夕でできるものでなく、今のところ米国が追い抜かれる心配はない。米国は今年、最新型原子力空母(CBN78号)ジェラルド・フォード級が進水した。これは米国の軍事技術の粋を集めた自信作。ケータイに例えるなら、中国の空母はガラケーであり、フォード級の空母は最新型のスマホといえる。そして、CBN79の進水予定が2021年。CBN80が2024~25年予定。この三隻が完成すれば中国は手も足もでなくなる。更に最新型原子力潜水艦(SSBN、SSGN)やF-22の後継である第6世代の戦闘機の開発に入っている。中国は超限戦によってこれを妨害もしくは技術の盗用を仕掛けてくるだろうとした。

 

 最後に飯柴氏は、台湾が取られたら日本は全て終わりと断言。日本防衛のためにはまず台湾を防衛しなければならないと締めくくった。

 

「アジア解放の中国共産党との戦い」

 藤井厳喜氏(国際政治学者)

 

 藤井氏は、安倍首相が唱える9条加憲論に対して、非常に妥協的だとしながらもやらないよりはましだと発言。ただこれは現状の自衛隊を合憲とするだけであって、グローバルスタンダードの国軍には程遠い。李氏が指摘された軍法会議や軍内の司法制度などは国内法で整備しなければならないだろう。とにかくも人権や自由という問題やあるいは環境問題においても世界最悪の国が中国だ。これから南シナ海での米中の衝突は避けて通れないだろう。今現在、北の核・ミサイル危機が眼前にあるのは事実だが、北朝鮮より中国の脅威の方がはるかに大きいのだ。この事実に目覚めなければならないと喚起した。  

 

 最後に本会の後援団体である日本李登輝友の会事務局長の柚原正敬氏のあいさつ。

 

 第二次安倍政権下で安倍首相は前馬英九政権との間で日台漁業協定を結んだ。その際「北緯27度線を日本と台湾の海にしませんか」と持ち掛けた。アメリカにトランプ、台湾に蔡英文、日本に安倍という日台米関係にまたとない指導者がそろった。ただ日本には「台湾」と名の付く法律がない。米国では1979年1月1日「台湾関係法」制定。その年の4月10日にできた法律を中華人民共和国との国交樹立した1月1日までさかのぼって制定した。1982年7月、台湾に対する6つの保障を提案。台湾に武器を売却する場合事前に連絡しない、中国と台湾の間を仲介しないなどとならんで、台湾の主権に対する立場を変えないという文言がある。米国は去年、この提案の内容を連邦議会の下上両院が成文化した。共和党も民主党もこれを政治綱領に入れている。また米国は「国防授権法」を制定し、国防関係の高官が米台間を自由に行き来すると言う内容を盛り込んでいるし、さらに「台湾旅行法」を定め、政府高官が自由に行き来できるという内容になっている。日本版の「台湾関係法」=日台関係基本法が待ち望まれるところだ。