挨拶に引き続き、片岡君の記者会見を取り上げます。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2019/kk190228a.pdf
3つ目の質疑応答からまいります。
(問)※4~5ページ
『2点お聞きします。1点目は、講演で、金融緩和が「長期化するほど、出口戦略の負荷が高まりますし、金融緩和の副作用も累積的に高まります」とおっしゃっています。出口戦略の負荷が高まるというのは具体的にどういうことか、何が起こり得るのでしょうか。また、金融緩和の副作用が顕現化した、あるいはもっと強まり累積的に大きくなった場合には、何が起こるのかについて、具体的に教えて頂きたいと思います。
2点目は、「財政・金融政策のさらなる連携を図る工夫を講じることで、市場や経済主体の期待や予想に働きかけていくことも重要である」とおっしゃっています。金融政策と財政政策の色々な協調は既にされていると思いますが、この「さらなる連携」とは具体的にどういうことをイメージされているのか教えてください。』
(答)
『1点目については、ご案内の通り、物価の現状は、2%の「物価安定の目標」から非常に遠い状況です。そうした状況を考えますと、現状、出口政策までは非常に距離が遠いことが前提としてありますので、出口政策を具体的にどう進めるのかについては、この場でお答えは差し控えさせて頂きます。ただ、直感的に申し上げて、緩和が長引けば長引くほど、そこから平時の状態に戻すには、時間もコストもかかることは明らかであると思いますので、そうした意味を含めて、講演では出口政策へのコストが強まるのではないかと申し上げました。』
前半の部分は「別に聞いてないんですが」って感じですけども、まあ要は「元に戻すのがより困難になる」ということですな。
(既に元に戻すのは十分困難だと思いますけど)
『副作用については、現状、私どもとしましては、金融機関等について具体的な副作用があるとは認識していません。ただ、低金利環境が長引くと金融仲介機能が阻害されるのではないかといった点については、金融システムに対する副作用だとして、注視しています。』
無難に逃げました。
『2点目については、色々な手段が考えられると思います。アベノミクスのもとで、2013年以降、金融、財政、成長戦略といった3本の矢を使ってデフレからの脱却に邁進していくという基本的な方針は、私自身、変わっていないと認識しています。そうした中で、足許の内外の経済動向を勘案しながら、「物価安定の目標」を早期に達成するために、何をやっていくかという視点で、財政との連携をより考えていく余地があるのではないか、というのがお話した趣旨です。具体的に何かということについては、この場では申し上げられないとご理解頂ければと思います。』
おそらく本音のところは「梯子を外すな(外したままにするな)」ということだろうと想像してますが、果たして。
(問)※5~6ページ
『1点目は、委員は、講演で、追加緩和が必要だという従来の主張をされています。日銀は球切れだとよく言われていますが、具体的に、今どのような手段があるのか、考え得る中でのベストなものを可能でしたら
具体的にお話し頂けますでしょうか。
(2点目は割愛)』
(答)
『1点目ですが、私自身は、過去の金融政策決定会合の公表文、ないしは議事要旨などにも記載されている通り、追加緩和の手段としては、10年以上の国債金利をさらに引き下げるように金融緩和を強めるべきだ
という点と、コミットメントの強化という観点から、中長期の予想インフレ率が下振れするという判断がなされた場合には間断なく金融緩和を行うとのコミットメントを結ぶべきだという点を申し上げています。ですから、現状、追加緩和の手段としては、これら2つが私自身の主張であるとご理解頂ければと思います。』
具体性に乏しいですよね。であるからこそ議案の形で出せないとも言えるでしょうが。
(問)※6~7ページ
『そもそも論になりますが、2013年の異次元緩和の導入以降、かなり大規模な金融緩和をしているのに、なぜ物価が2%になかなか達せず、むしろ弱めの基調になっているのでしょうか。振り返ってみて、何か日銀の政策が足りなかったのか、それとも、日本経済の持つ根本的な問題があるのか、片岡委員ご自身のお考えを教えて頂ければと思います。
それにあわせて、先程、追加緩和の措置として、10年以上の幅広い国債金利の一段の引き下げや、コミットメントの強化を挙げられていましたが、既にこれだけ緩和しても2%にいかない中、そういった措置で果たして物価目標の達成ができるのか、達成できるとするならば、その根拠を具体的にお聞かせください。』
(答)
『先に2点目からお答えします。できていないことの根拠を示すのは難しいのですが、できるまでやるといった行動を伴う意思を示していくことが重要なのではないかと私自身は考えています。』
まあそれは否定しないが一歩間違えれば太平洋戦争と同じ惨禍を繰り返すことになりますよね。
『1点目のご質問ですが、これまで何が足りなかったかについては、色々なご意見があると思います。基本的には、2016年9月の政策変更の際に、「総括的な検証」という形で日本銀行がまとめていますが、その際
には、大胆な金融緩和を行う中で、なかなか目標が達成できない理由として、当時の世界経済の変調、原油価格等エネルギー価格の低下、国内では消費増税の影響が挙げられていると思います。私どもとしては、目標を達成するまでこの金融緩和をやり抜くことが非常に重要だと認識していますので、今後についても、世界経済の動向など様々な逆風があると思いますが、これに負けずに頑張ってやっていければと考えています。』
お前の頭には気合と根性論しか無いのか。嘆かわしい。
(問)※7~8ページ
『物価が伸び悩んでいる理由として、講演の中で、需給ギャップの拡大が物価の上昇に効きにくくなっている可能性があると指摘されています。その一方で、緩和を強化して、需要超過幅を一段と拡大させるよう働きかけることが重要だとも述べられており、一見すると矛盾する感じもします。追加緩和する時に、例えばマネタリーベースと金利と物価上昇率の関係や、効果の再検証も必要ではないかと思いますが、それらをどうつなげられるのでしょうか。』
(答)
『需給ギャップの拡大が物価に効きにくくなっている理由については、昨年7月の展望レポートで再度整理した通りだと思います。それを前提として、金融緩和を強めて需給ギャップを拡大させていくことで物価が上がるのかという点については、私自身は、手段としての金融緩和の強化に加えて、コミットメントという形で、中央銀行が物価安定を達成するという約束を信認してもらう取組みをあわせて行うことで、予想インフレ率そのものに働きかけていく工夫が必要ではないかと従来から申し上げています。』
何をやったところでそう簡単に人々の行動様式は変わらないと思います。
『加えて、最近では、政府と日銀の連携をさらに強化させることを通じて、2%の物価予想をより強固にしていく必要があると申し上げています。(中略)デフレの状況の中で、2%のインフレ目標の達成までは非常に距離がある状況ですので、3本の矢を使っていく必要があり、そのためには、政府とのコーディネーションが重要だということです。その中で、金融緩和としては、手段とコミットメントが大事だということを申し上げています。』
自身の主張のみで結局質問には答えませんでした。
(問)※8ページ
『今回の講演では、緩和が長期化することの副作用への懸念について触れていますが、去年9月の横浜での講演では、副作用については特段の問題は生じていないと述べられています。この間に、特に認識に変化があったということではないでしょうか。』
(答)
『認識の変化は全くありません。前回の講演では、副作用の話を挨拶要旨には入れなかったのですが、ご質問をたくさん頂きました。今回も一部にそうした懸念があることは承知しており、副作用についても言及し
つつ私の意見を申し上げた方が、皆様にとってより分かり易いのではないかという趣旨で含めたものです。何か考え方が変わったということではありません。』
ああそうですか。
(問)※8~9ページ
『先程、財政と金融の連携につきまして具体的に申し上げることはできないというお話でしたが、先程、政府とのコーディネーションが必要であるという話もされました。これは、いわゆる「共同声明」などの見直しを視野に入れるべきであるというようにお考えでしょうか。』
(答)
『これについては、色々な考え方があると思います。この場で私自身が、例えば「共同声明」を見直すべきだといった点について申し上げるのは適当ではないので、具体的な話については、お答えできないと思います。ただ、一般論としては、日本は、現状、なかなかインフレ目標が達成できない状況ですので、金融緩和だけを行って財政が緊縮する形では、物価安定目標を達成するのに非常に長い期間がかかることになると思います。そういった状況を打開して、できる限り早期に目標を達成するということであれば、財政と金融が両面から息をあわせていくことが必要であるという話は、一般論としてはあり得ると思います。そのために、具体的にどういうことができるかを検討しなければいけないというのが、私が申し上げたい趣旨です。』
結局恨み節だったと捉えて問題なさそうです。
次は飛ばします。
(問)※9~10ページ
『片岡委員ご自身は、金融機関から副作用への懸念が出ているのは認識されているが、将来的に顕現化するかどうかについて、それほど危機意識を持たれてはいないという理解でよいでしょうか。』
(答)
『低金利を続けていくことになれば、金融機関にとっても苦しい状態が続き、リスクが起こり得る蓋然性が強まることは理解していますし、その点について全く心配していないわけでは当然ありません。ただ、現状を変えるためには、私個人は早期にデフレから脱却し、それによって長期金利を含めて、経済状態が本来の状態に復することが大事です。低金利の状態をずっと続ける、いわゆる粘り強くというスタンスでは、自己実現的に緩和を長期化させ、デフレからの脱却も長期化させることになり、結果的に副作用が累積していくということにつながるため、そうした状況からは早く脱するべきなのではないかと申し上げています。ですから、全く心配がないから、どんどんやれと言っているわけではなく、むしろ、より早いタイミングでデフレから脱却して正常化を進めるために、今、大胆なことをもっとやるべきなのではないかということが、私が申し上げたい趣旨です。』
言いたいことはわからんでもないですが、結局5年もやってきて全然結果が出てないわけですから、どうしても説得力を見出すことは困難ですよね。根性論の域を出ないものと判断せざるを得ません。
以上片岡君の金懇会見を鑑賞しました。