
○ 病院の南側、広々とした五橋公園、ビル群にすっぽり埋まって坪庭の如し。
年 の 瀬
Ⅱ手術
◇手術室
担当看護師さんに引率され、
点滴キャリアを転がし家内と2階麻酔科手術室に向かう。
入り口で家内と別れ足を踏み入れた先、
ワインカラーの帽子と術衣に深いマスクを着けた女性数人が、
それぞれの持ち場に凛として待機している。
単純な主役にも、
これから何か一大事が始まるんだということが伝わってくる。
《 うーーん どうなるんだ 》
50年ほど前の春に虫垂炎で入院手術した覚えはある。局部麻酔なのか、麻酔技術が未熟だったのか、看護婦さんがベットの脇に付いて手を握り、(痛い時手を強く握っていいよ)やわらかい女性の手に僕は恐怖感から安堵へ、《 いた いた 》痛くて思いっきり手を握り続けたようだ、(いたあい)加減の知らない青い思いが今でも浮かぶ。
手術台を指し〈 上がって下さい 〉《 はい 》
威勢よく返事をしてステップを上り立ちすくむ、次の動作が続かない。
普通手術台は平ベットの上に患者は仰向けに誘導されるのでは。
イス式で腰をかけて手術することの説明は受けていたが様子がおかしい。
この場合立ち上がらないと腰はかけられないと感じた。
七十にして初心者主役の異様な行動に場は翻弄。
〈 ○○さんそこのイスに座って下さい 〉《 はい 》
手術台に座り、酸素マスクを着けられ、帽子を渡されかぶった。
執刀医H先生が顔を突き付け≪ ○○さん行くよ ≫
《 先生よろしくお願いします 》
〈 麻酔投与 〉 〈 うで せんじょう 〉 遠くかすかに・・・・・
‹Ⅲへ続く›