夢

  ◇
   三十数年前、何んとも広大な社是を掲げた会社に遭遇した。
   戦後のすさんだ世に、心ある先人達が長年の結論として
   創立したとのことだ。
   海外ではすでにこの種の会社は社会に浸透している。

   国内においてもこの種の会社が大小存立していた。
   現世利益を適えてくれると言う人間の弱点をついているからである。
   大きな会社は組織として小さな会社は一代限り等その存亡はまちまちである。

   新鮮な魅力に入社した。
   真理に基づく会社の理念は、他の追従を許さない重厚な技術者達で満たされていた。

   技術者達の神髄を張りに十年、二十年と営業マンとして働いてきた。


   時代と共に技術者達も老齢となる。
   社運がかかる技術者の発掘・育成にどのように力をいれたのだろうか。
   社にとって技術力が命である。
   後を継ぐ到達した技術者達がだんだん手薄になっていく。

  ◇
   都心の大きなホテル、講演会が開催されようとしている。
   会場は多くの老若男女が集まってくる。
   なじみの方達も多い。

   演題には社の理念が掲げている。
   講演者は会社の技術者ではない。
   今、世をにぎわしている同業他社の技術者ではないか。

   先人が天命として育んできた六十年の歴史は、
   経営者も様変わりし創立時の理念が消えうせる。

  ◇
   汗びっしょりとなり目が覚める。
   ああっ夢で良かった。