ソフトウェアテスト勉強会~JaSST'13の報告会~ (後編) | 仙台ソフトウェアテスト勉強会のブログ

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2012年から立ち上げた仙台ソフトウェアテスト勉強会のことなどを綴っていきます。

さて、お菓子を食べて休憩した後はいよいよ後半戦っ!!(前半戦はこちら。



ここからは報告者を交替して、うめちゃんこと梅津さんが報告してくれました。

◇チュートリアル1-2 :Wモデル導入の手引き
プレゼンター情報で、仙台のテスト勉強会に来てくれた秋山さん、鈴木みきおさんが紹介されました。
いやー ほんとにこんな人達が来てくれたって嬉しいことです。

梅津さんはWモデルを聞いたことがなかったとのことで、
チュートリアルの話と自分で調べた話を織り交ぜて発表してくれていました。

V字モデルの問題点
・開発とQAが対立してしまうという構造がある
・後に問題点を指摘してもフィードバックできない


そこでW字モデルの登場!!
上流工程へテスト技術者が参加することでたくさん利点を得ることができます。
自分が驚いたのはこれ、なるほど!海外は短納期なんですね。
・海外では短納期のため
・国内では品質のため

Wモデル導入には目的が必要で、その目的が不整合していちゃダメということでした。
何でもそうだけど、手段が目的になると大抵おかしなことが起きますよね?
目的重要っ!!

その後にWモデルのポイントやプロセス設計、Wモデルの成熟度など
参加時の得た知識と参加した後に調べてまとめてくれました。


参考)
Andreas Spillnerさんの論文 「The W Model-Strengthening the Bond Between Development and Test」
Tech Village ソフトウェアテストシンポジウム 2012東京(JaSST'12 Tokyo)



◇テスティングのグローバル最新事情
続いて、テスティングのグローバル事情ということでお話をしてくれました。
コグニザクトジャパンさんの発表とのことです。

・23500人在籍(当初は800名でスタート)
・75%以上が海外で仕事に従事
・取引先は400社
・銀行金融がメイン
20000人のテストエンジニアって想像しただけでも凄いです!!

サービスも段階的に提供しているとのこと。
一部請負だと高コスト・低品質になりがちとのことで感覚的には確かにそうだと頷けます。うんうん。

そしてソフトウェアテスティングのパラダイムシフトというタイトルでお話が続いていく。
パラダイムシフトは以下のようになっている。
・欠陥検出 → 欠陥防止(予防)
・100%カバレッジ → スマートテスト手法(直行表、MCDCなど)
・オンサイト・オフショア → TaaS

ここはテスティングのパラダイムシフトもあるが、ソフトウェアそのもののパラダイムシフトも大きく影響している気がする。

最後にQAの未来予想図というのを説明してくれました。
ソフトウェアや品質がどうなっていくのかは完全に予想はできないけど、未来の話を頭に置きつつ進んでいくのが重要なんだろうなぁ。



◇チュートリアル1-1 : 探索的テスト入門 ~知識ゼロから学ぶ探索的テスト~
今回のJaSST東京の2本柱(だと思っている)『自動化』と『探索的テスト』のうちのひとつ。

個人的には一番面白いセッションだった!!
講師はブタ本の愛称で知られている『知識0から学ぶソフトウェアテスト』の高橋寿一さん。フロリダ工科大学大学院で探索的テストの第一人者のCem Kanerさんに師事したとのことです。

これも有料セッションなので、セッションで聞いた話から自分で調べて、感想と共にお伝えしました。

自分がびっくりしたのは、探索的テストは『技法』ではなく『スタイル』とのこと。
いつもテスト勉強会で出しているポジショニングマップにはピンポイント×BlackBoxで載っています。
受けた印象としては、『テストケースのメンテナンスは時間がかかるので、熟練者がどんどんテストを実施してフィードバックをしていきましょう。そして一番リスクがあるところ=ソフトウェア的に弱いところをどんどん攻めていきましょう』という感じでした。

個人的にはアジャイル開発に近いなぁと思ったということをお伝えしました。

アジャイルソフトウェア開発宣言
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
包括的なドキュメントよりもテストの実施を、


気になるのはやはり熟練者というところ。
何を持って熟練というのかは難しいですよね。
基本的なテスト技法だったり、経験だったりするのだと思います。
Microsoftの実験だとトレーニング受けた人は65%のバグを見つけ出し、受けていない人は10%しか見つけられなかった、という報告もあったそうです。

アジャイル開発もそうなのですが、属人化も構わない!っていうのは流れなのかもしれないですね。ソフトウェア開発もテスティングもどんな人にでもできるものではないという前提で話をしているように思えます。

最後に探索的テストの利点と注意点をお伝えして、今回の報告会を終わりにしました。
<利点>
・投資効果が高い
・早く、たくさんのバグを見つけられる
・アジャイルとの親和性が高い

<注意点>
・銀の弾丸ではないので、100%頼ってはダメ
・実施するのはトレーニングを受けた熟練者
・見つけた不具合を分析できるようなスキルが必要


# ビアバッシュ
勉強会が終わった後、そのままビアバッシュをしました。
ニセコのオーストラリア化の話やZUNDAさんのハワイ話は面白かったなぁ~