初めて1ヶ月分の給料を貰いました。

 

毎週2万円の4回ですから、8万円は既に引かれている状態です。

時給も安く成っていたので、手元に残るのは5~6万円程の金額に成ります。

2か月目、3か月目に成れば、前借も減るので、もう少し多く残ると思いました。

 

仕事は、残業も休日出勤も無いとの事でしたので、自分が貰える金額が把握できます

前借をしない状態で給料を貰うのは、3か月目だと思えました。

 

仕事も慣れて、人にも慣れました。

何事も起こらない毎日が淡々と続くだけだと思っていました。

仕事と寮の往復だけの毎日に、何時まで此処に居るのか考える日も有りました。

 

休日に暇を持て余しても、本当に何もする事も場所も有りません。

1ヶ月分の給料を貰ったら、街に行く事を考えていましたが、手元に残った金額に

パチンコに行く事を諦めます。

街までの距離が遠いのと、給料の安さが諦めさせたと思います。

 

ビデオテープを巻き戻して見ている様な毎日が続いて居た時に、変化が有りました。

昼ご飯を食べ終え、自販機でコーヒーを購入しようとした時に

同じタイミングで、コイン投入口に手を出した人が居ました。

 

お互いに気が付いた瞬間に、自分が、どーぞ、と手を下げました。

相手は異国の女性と言うか、見た目で思うに女の子と言った感じでした。

多分、20歳に届いてはいないと思える女の子は、ハッキリしない言葉で、ありがとう

と言って先に飲み物を買って行きました。

 

正直に言って、顔を見た瞬間、可愛いと言うか綺麗と言うか好きなタイプでした。

コーヒーを自販機から取り出しながら、女の子に視線を向けると

此方を振り返って見ている姿が見えました。

 

午後の仕事で作業部屋に戻りました。

作業を始める前に、何気に隣の作業場を見ると、先程の女の子の姿が見えました。

隣だったのか と思い、女の子の顔を思いだしながら作業を始めました。

 

そうなると、なんとなく気に成り始め、作業中に何度か隣の部屋を見てしまいます。

午後の仕事が終わって、帰る時間に成るまでに、女の子も気づいた様でした。

ですが、何がどうなる訳でもないし、何を思ったのかと自分に言い聞かせ

何時もの毎日に戻ろうと思いました。

 

次の日、送迎車に乗り込み皆に朝の挨拶を交わした時に、昨日の女の子が居る事に

気が付きました。

ボーッとした毎日を過ごしていましたし、女性に気を向ける気持ちも無かった為かも

知れません。

 

女の子も気が付いたのか、聞こえる様に日本語で、おはようと言ってくれました。

女の子の笑顔は何故か、とても嬉しい気持ちにしてくれました。

 

その日から女の子は、作業中や休憩時間に目が合うと、笑顔を返してくれました。

気には成りましたが、歳も随分離れていると思いましたし、何より異国の女の子で

仕事をする為に来ているのだからと、気にしない様にと考えました。

 

作業部屋は隣で、部屋を仕切る壁は半分が透明の窓見たいな感じでしたので

働く姿はお互いに見える状態です。

何かのタイミングで目が合ってしまう事が有りました。

 

日が過ぎる毎に、送迎車の座る位置や休憩時に、女の子が近くに居る様に成りました

挨拶とは別に、少しだけ会話をする事も有りましたが、まったく言葉がわからず

身振り手振りで、苦戦したのを思い出します。

 

繰り返すだけの毎日が、女の子の存在で癒されるような感じがしていました。

女の子が、どうして好意を持ってくれたのか分かりませんが

もっと一緒の時間が有れば良いのにと思う自分も居ました。