今思い返せば施設を離れる決断が間違っていたと痛感します

 

ですが12年の歳月が過ぎても過ぎたからこそ怖かったのだと思います

誰かが訪ねてくるのも郵便物が届くのさえも考えると手に汗が滲んできました

最後に出した答えは手続きだけ済ませ自分は施設を立ち去ると言う事でした

 

施設に塀と門は有りましたがセキュリテイ的な物は配置されてませんでした

非常階段を使い塀を乗り越え道路に出ました

何度も通ったパチンコ屋を過ぎ深夜の幹線道路脇を歩いて行きました

 

交通機関が動き出す時間までコンビニに立ち寄りながら歩きました

電車を使って以前行った繁華街が有る街に向かいます

駅のロッカーに荷物を入れ空腹を満たす為に牛丼屋に行きました

 

支給日の次の日でしたので当然所持金は余裕が有ります

此れからの事を考えなければ成りませんが食事の後向かうのはパチンコ屋でした

どれくらい持ったでしょう 一週間か10日ほどだったと思います

 

その繁華街で個室ビデオ店を宿泊に使い過ごしていました

寝る前は今後の事を思ったりもしてましたが朝が来ると開店時間だけが気に成り

肉体労働の時と同じ様にパチンコ屋に向かってました

 

最後に成る日は閉店時間ちかくまで遊戯出来たので僅かに数千円残りました

店を出てスポーツ新聞を買い個室ビデオ店に向かいます

翌日中に仕事を決めなければ又公園で生活する事に成ります

 

危機感や絶望感は全く有りませんでしたが忘れていた感情が蘇ります

パチンコ屋に通っていた数日は考えていませんでしたが仕事をすると思った時から

脳裏に過る住民票を移動させた事での恐怖感でした

 

今居る繁華街は施設の有る街から多少離れていましたが仕事の職種や内容に依っては

近くに行く事も有り得るとまで考えてしまっていました

そうなると同じ県内で仕事を探すのも駄目だと思い込んでしまいす

 

出来るだけ遠くに離れる事を思いますが体力的に少しの不安が残りました

パチンコ屋に長時間居る事が出来ても肉体労働とは勝手が違いすぎます

求人欄を見ながら色々考えを廻らせながら眠りについてしまいました

 

次の日の朝ビデオ店を出てマックに行き100円コーヒーで居座り仕事を選びます

身分証は有りますが履歴書は書きたく無かったので選択肢は何時もと同じでした

移動の電車代等考えると現実的には隣の県にやっと行ける程度です

 

近場で面接出来て仕事場は他県に成ると言う都合の良い仕事は肉体労働か夜か

新聞勧誘関係に成りました職種的には経験済では有ります

最終的には一番自由のきく新聞関係に決めました

 

某新聞社関係に決め数軒連絡した中から面接場所が近い所に決めますが

此処で少々失敗をしてしまいます

面接会社の扱う某新聞は以前勤めた会社と同じ新聞社なのを見落としていました

 

連絡時の偽名も同じ名前を伝えていました当日中に仕事を決めたかったので焦りも

有ったのかも知れませんが面接時まで気が付きませんでした

更に此の手の業界は繋がりが強く自分みたいにロクな事をしているとリストに残り

回覧で注意喚起が入ってたそうです

 

ノコノコとやって来た自分に面接担当のかたが開口一番に

あそこの会社で働いていたよね と言い何とも言えない表情を浮かべました

あれっ と思った時に新聞が同じなのをやっと思い出しました

 

失敗したなと思いましたが悪くても断られるだけなので苦笑いで返しました

人手が足りなかったのか勤務地が人気が無かったのか

此処で頑張ってくれれば問題は無いと言ってくれました

息を吸う様に嘘をつく

はいと答え此処で働く事に成りました