契約の切れ間に職を探しました

 

当時情報誌は余り無くスポーツ新聞の求人欄がメインです

下の方に記載が有る2行広告から探します

小さい四角の広告も有ります何度か電話を掛けましたが

身分証の有無を問われたので候補から外してます

 

職種は主に肉体労働、夜の飲み屋と社交場、麻雀屋、新聞屋です

ほぼいずれも寮が有ります

何か所も電話を掛ける事はせずに

今居る場所から近い所を選ぶ事に成ります

肉体労働以外は服装が制限されてしまうので

今回は新聞屋に連絡する事にしました

 

当初自分の中では新聞屋は配達員と思ってました

電話では詳しい説明は無く面接に来てくれとの事でした

大手新聞社の銘を記載した広告ですから

特に不信感も持たずに指定の場所に向かいました

小さなビルで三回建ての二階に看板が見えます

一階はその大手新聞社の販売店でした

 

面接では

履歴書を渡され記入を促されました

不要と言う話だったので躊躇していると名前と生年月日で良いと

付け加えられました

 

仕事の内容はセールスの仕事です

個人宅でも会社でも何処でも構わないので契約を取る事です

服装は自前で良く大手の名前の入った証明書的なカードが

支給され身に着けて向かうとの事でした

 

給料形態が複雑に成っているのですが

要は契約本数が給料に直結すると言う事です

仮に契約無しでも日払いは申告すれば数千円は出来ますが

借金と成ります

 

寮は無料でしたが光熱費と食事は自分持ちです

少し考えると未経験では借金しか作れない事が解りますが

その頃の自分はまぁいいか 程度の思考力しか有りません

働く事にして寮に案内されました

 

寮は普通のアパートでした

1DKで風呂無しエヤコンも有りガスコンロも有り

狭い6畳でしたが一人っきりは落ち着きました

すぐ近くに銭湯が有りましたので風呂無しでも大丈夫です

 

鍵を預かり一人に成ります

実質一人の普通の部屋は放浪で初めての事です

近くの銭湯に行く事にしコンビニで旅行セットの石鹸類を

購入し向かいます

今後の為に休みの日と営業時間をメモに取りました

 

部屋に戻りますが

テレビと冷蔵庫洗濯機は有りません

布団は意外に綺麗で臭いも無くてホッとします

普通のアパートでコンクリートのビルでは無いので

隣人の生活音も少しは聞こえて来ました

 

久しぶりの感覚と寂しさが甦って来ます

何かを想い出そうとする頭の中に無理やり明日からの事を

考えるように詰め込み

天井を見るのを止めて眼を閉じて眠ります