大手紙の一面記事としてはこのような報道は初めてではないのか?

(文末に大サイズ写真あり) 

ウクライナのこの6月からの”反転攻勢”により、ロシア軍は退却につぐ退却で、あっという間にやられてしまうはずだったのではないのか?

少なくてもテレビに出演してきた”専門家”たちの話をそのまま聞けばそうだったはずだろう。

ただ、昨年のロシア侵攻開始後から、基本的にロシアを”挑発”した米NATO軍は、米欧を中心に多額の戦費と兵器は送ってきたが、両国の軍事力、兵力、兵站を含めあまりに大差があり、それらをすべて欧米の援助とロシアへの”経済制裁”でもって、あっという間にロシアは外国との貿易決済もできず、国内生産も大打撃を受け、早々と退散するというシナリオはそうなっていない。

逆に、ロシア経済は昨年来中国、インドなど全くお構いなしにロシア産の安い天然ガスの輸入を5倍くらいに伸ばしていてロシア経済は極めて安定している。対して、安いロシア産エネルギーを止めた欧州はインフレで経済も国力も落ち込んでいる。

昨年来ロシア軍も戦術的な失敗をいくつかおかしたが、すぐ修正してきた。

わたしが昨年からフォローしてきた元トランプ政権国防総省アドバイアーのグレッグ・マクレガー大佐など、非常に少数だが、この戦争はロシア軍の勝利に終わるという言葉通りに、現在大勢の決着はロシア勝利で最後の瞬間に進んでいるという見方だ。

しかし、日本マスコミに登場する元自衛隊幹部や大学教授たちの情報源は、ほぼすべて米国国務省、国防総省と、戦争研究所だ。つまり、米戦争屋グローバリストの中核のプロパガンダ機関からしか情報をとれていないため、新聞とテレビを情報源とする人々たちには毎度のごとく、戦況のリアルポリティックスに基づいた冷静な判断が伝わらない事になる。

日本マスコミでは当然ながら危険な最前線などには行くこともありえないし、せいぜい避難民のお涙頂戴報道が跋扈することになる。

ウクライナ可哀想、血も涙もない悪魔プーチンという具合だ。

しかし、よく考えてみれば分かるが、そんな悪魔のプーチンと安倍元首相は20数回も会っていて、北方領土は還ってこなかったが、そんな狂人政治家だったら安倍さんは20数回も会っていただろうか?安倍さんという政治家の内政の評価は別にして、外交に関しては世界の各地で高い評価があるのは事実である。

昨年のロシアが”突然攻めてきた”ストーリーは毎日のテレビと新聞でずっと日本人に刷り込まれ続けた。

が、この15年ほどいつもロシアが欧米に対して、「ウクライナを始めとする干渉地帯(バッファーゾーン)のNATO化だけは自国の安全保障上、看過できない」とのシグナルを幾度も欧米に送っていたことなどは、まるで知らないようだ。

米NATOはことごとくそれを無視し、旧ソビエト衛星国のNATO化を進め、ブッシュとゴルバチョフ時代の1インチたりともベルリンの東のNATO化はないとの約束を一方的に破ってきたのは欧米側だった。

その後、今年に入り”春の反転攻勢”で、一気にロシア軍を破り、陣地の奪還をすることを見せることがゼレンスキー政権にとっては、欧米の軍事支援を繋ぎ止める唯一の見せ場だった。

現実は、マクレガー大佐や日本では数少ない持田元陸相や矢野元陸将補などが極めて冷静に戦況を分析し、「すでにウクライナ軍は敗退している」との発言が出ていた。

しかし、マスコミは依然欧米プロパガンダメディアのコピーに終始しているため今でも基本的な論調は変わっていない。

そんな中で、かすかな変化が今日の毎日新聞の一面報道だろう。