アメリカ軍の空輸能力により交通が遮断されたインドネシアの山岳地域の震災救援において大きな役割を果たしているニュース
http://www.navy.mil/search/display.asp?story_id=48906#
アメリカ海軍強襲揚陸艦が派遣されてCH-53E シースタリオンが、一家族が1ヶ月近く暮らせる、小型の家のような非難シェルター45個を空輸した。
非難シェルターを寄付したメーカーの広報担当によると、『我々だけでは、どの村が一番助けが必要か、どの村は大丈夫かの情報を得て優先順位をつけるのに4日間かかっていたが、アメリカ軍(の情報部)の助けを得てわずか1日で救助の優先順位をつけて直ぐに対応できた』と語った。
"It's been invaluable having the
アメリカは海外の災害救援の際に、国務省(State Department)、国防総省(Pentagon)、アメリカ国際開発庁(USAID)が連携して、国務省が被災国との外交ルートによる支援の取り付け、国防省による軍事衛星での被害状況の確認、被災地域付近に展開する艦船、航空機、人員等の軍事リソースの割り振り、救援物資運搬、USAIDにより民間の救援物資の補給、赤十字との連携など、軍事行動を取るくらいの同じ速度で動けるスキームが出来上がっている。
一方日本は、というと、自衛隊の衛生科の医師と看護師が10人派遣されて、倒壊した建物の下敷きになった人を助けるために消防庁から人員は派遣された。ただアメリカ軍と比較すると、国力の割には、海上自衛隊のヘリを搭載した揚陸艦、航空自衛隊の輸送機などアメリカ軍に比べてひけと取らない救援支援投射能力を有するが、政治がついてこない。
そもそも海外の災害支援は、国益の順番でいうと一番ハードルが低い、友好的手段で国益を守るレベルでしかないのに、日本の国力に不相応な対応しかできていない。
これが例えばアフリカの遠隔地域にある国であれば納得できる話であるが、日本経済の要路であるマラッカ海峡などに面する地政学的に重要なインドネシアだけに、今回の対応はどうかと思う。
しかももっと考えないといけないのは、中国のメコン川流域からインドネシアにかけてのプレゼンス強化の動きだと思います。
ジャヤカルタ・ポストのニュース
http://www.thejakartapost.com/news/2009/10/16/issues-selat-sunda-bridge-creating-connections039.html
中国が、マレーシアのマレー半島とインドネシアのスマトラ島を結ぶマラッカ海峡架橋建設計画についてマレーシア側によると、両政府とも合意に達し、すでに中国企業が調査を始めた。
中国の建設費の85%を負担する予定のようです。
そもそもメコン川流域の東南アジア諸国では、今や安い中国製品があふれ、弱い産業基盤の国は悲鳴をあげています。
中国により橋建設が将来的に意味するところとしては、中国のグランド・パワーが東南アジアに拡大し、マレー半島を伝わってシーパワー国家のインドネシアに拡大していく構図です。
東シナ海や黄海では、日米韓の軍事力が強すぎて中国が建造中の軽空母はプレゼンスを発揮できない分、南シナ海では、弱点の防空戦力(エアーカバー)を海南島の空軍機と組むことで、南シナ海でのプレザンスを飛躍的に高めることができると予想されます。
その上に、中国と陸路で繋がるマラッカ海峡大橋が、南シナ海の入り口にそびえ立つことになり、これでは海軍力が圧倒的に優位なアメリカ海軍も、中国が支配を狙う南シナ海のプレゼンスが衰退することは必至だと思います。
インドネシアは今、それくらい日本にとって地政学的に重要な要所ではないでしょうか?
人民解放軍の空軍機が、南シナ海でプレゼンスを拡大するのをどう防ぐかである。そして東南アジアの国々が中国に対する警戒心を和らげることにつながる日本の対中戦略が必要になる。
この点では日本は米国以上にこの地域から利益を得ており、日米は十分に国益を共有していると思います。
国内では、基地をなかなか返還してくれないアメリカだが、東南アジアの海域~インド洋~中近東周辺の海域の海の回廊において自由の国のプレゼンスを保つシーパワー、グラウンドパワーについて、日本はアメリカともっとできることがたくさんあると思います。
台湾の台風被害に対する日本政府(政治家判断)の無作為なんかもっと酷いと思う・・・
