ロシア軍の新ドクトリンでは地域的・限定的な戦争でも先制使用を認めるほか、侵略計画者への予防的使用もありうるとしている。

とニュースは伝えているが、

ほんまかないなぁ・・・

イランの核開発問題と核弾頭削減合意でロシアの協力を得たいクリントンが、先月NATO加盟諸国の東欧への全面的なMD配備を撤回して、PAC-3と南ヨーロッパの公海でのイージス艦配備だけにとどめた。

このアメリカ政府の精一杯の譲歩に対してロシアは更に頭にのって、もしアメリカがグルジア(英語の発音はコーヒーのGeorgiaと同じジョージア)を利用して揺さぶりをかけたら、許さない!!という意思表示だと思います。

が、

そもそも、ロシアはアメリカに対して核戦略で全面対峙(full-scale counterattack)できる力はもう持っていない。

現状でロシアが弾頭の数を増やしたからといって、アメリカ軍によるロシアの核弾頭の先制攻撃・無力化能力(pre-emptive strike)ははっきりしており、頼みの綱であったロシアの新型SLBM(潜航中の原子力潜水艦から発射する核弾頭)プログラムも本来であれば2010年から配備を計画していたが、実験で散々な失敗を見て最近プロジェクト開発責任者がプーチンに更迭されています。

ではなぜオバマ政権がそこまで譲歩しているかというと、イランの核開発問題と、核保有国の核弾頭の数を減らしてアメリカの平和維持のコストを削減し、パキスタンのような不安定な国の核兵器がテロリストの手に渡る脅威の確率を低くするためだけです。


ロシアの新型・潜水艦発射弾道ミサイルBulava(ロシア語で鉾の意味)実験が失敗続きで配備計画が遅れているニュース
Russian "Boomer" Problems Persist
http://www.military.com/forums/0,15240,196239,00.html#

ロシアの産業基盤の崩壊、技術劣化の一例として
ロシア海軍がフランスからミストラル級揚陸艦ヘリ空母数隻を購入を予定しているニュース
Russia plans to buy several French Mistral-class amphibious helicopter carriers
http://militarytimes.com/blogs/scoopdeck/

さらに追い討ちをかけるように、アメリカは、“Prompt Global Strike”(地球規模対応できる脅威の無力化緊急体制)という全世界どこでも紛争の兆候があれば、1時間以内に紛争の種になる武力を核兵器ではない力で無力化するプログラムを開発中です。

このプログラムの一番の肝は、人工衛星や1発の潜水艦発射弾道ミサイルが弾道の成層圏の突入時に、タングステンと言われる堅い合金の棒を多数ばらまいて、タングステンの棒たちの運動エネルギー(kinetic energy)でもって280㎡四方を10メートルの誤差で限定的に無力化できる能力。
http://www.popularmechanics.com/technology/military_law/4203874.html


ロシアが資源で台頭してきているということは事実で、エネルギー産業によりロシアが潤っていることも事実です。
しかし科学発展に必要な要素である、公の信頼性・公平性というものが、ロシアには旧ソ連時代以上に欠けてきているのではないかと思います。

ロシアでは日本円に換算して5億円の利権でだいたい人が1人死ぬくらい、賄賂やマフィア行為が横行しています。

■IKEAのモスクワ郊外の店舗建設で当局が建設許可を出す代わりに数年に渡って袖の下を要求したためIKEAがキレて外交問題にしたニュース
http://www.miamiherald.com/news/world/AP/story/1199897.html

公平な社会を維持して民度を保つことは、科学の発展や経済力を保つことにつながり、実は大きな戦争抑止力になると思います。

日本人はこいうこと美徳としていくことを忘れてはいけないと思います。

権力の汚職や腐敗は社会の力を削ぐことになるのでしょう。

これも国家の一つ安全保障だと思います。

******************************************************************

■露が核使用条件緩和へ、地域紛争で先制攻撃も
(読売新聞 - 10月14日 22:49)

 【モスクワ=緒方賢一】ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は、14日付のイズベスチヤ紙に掲載されたインタビューで、年内にメドベージェフ大統領に提出する新軍事ドクトリンでは、核兵器による先制攻撃を行う条件として地域紛争への対応を新たに加える方針を明らかにした。

 核を使用する条件を緩和するもので、核廃絶を求める国際的な流れに逆行するとの批判を招くことになりそうだ。

 軍事ドクトリンは国防政策の基本文書。ロシアは現行ドクトリンで、自国や同盟国が核をはじめとする大量破壊兵器による攻撃を受けた場合と、通常兵器による大規模な侵略を受けた場合に核を使用できる、と明記している。

 地域紛争でも核兵器を使用する可能性を警告することで、ロシアは南オセチア問題で敵対するグルジアなどに対し、軍事的な圧力を高める狙いと見られる。