幼少時、祖母の隣で寝ていた。今回はその寝床でのエピソードを綴りたい。
ある日の夜、中々眠れないので、祖母に「なんか寝られん。」とつぶやいた。
すると祖母は、「そんなら目をつぶって羊さんを心の中で数えたらいいよ。」と私にこたえてくれた。
「ふ~ん。」と私は何気に返事をして祖母の言われた通り羊くんを数え始めた。
「一匹、二匹、…。」と心の中で数え始めたのはいいのであるが、羊くんを囲む「おり」を作らないといけない、と思った。
それで、「おり」のことをあれこれ考えてやっと「おり」ができた。
さっきまで数えていた羊くんは当然のことながらこの「おり」にはまだ入ってないので、最初からまた数え始めることになった。
「一匹、二匹、…、…、…、~。」と数えていったのであるが眠くなるどころかますます目がさえていくのを覚えた。
が、祖母が言ったのだから、とさらに数え続けた。
するとどうであろう。500匹を超えてしまった。こりゃいかん、羊くんが「おり」に入らなくなってしまった。別の「おり」を作らないと、などと考えていた。
ちらっと横を見ると、祖母はもう寝ているようであった。
仕方なしに私は「おり」を増やして、羊くんをまたまた数え始めた。「501匹、502匹、…、…、…、~。」
そうこうしている内に頭の中が羊くんだらけになっていた。「999匹、1,000匹」となった時、おもわず「寝られんやんね!!」と横の祖母に叫んでしまっていた☆
すると祖母は目を覚まして「まだ数えよったんやね」といいながら笑みをうかべた。
「寝るときは何も考えんで寝ならいかん、そうやろばあちゃん!」と私は、祖母に強く言った。
「そうかもね。それじゃ、おやすみ。」と言って祖母はまた寝てしまった。私もそれから直に寝てしまっていた。
祖母はあまり多くを語らない人であった。今思えばこの出来事も私への祖母からの教育であった、と思えるのである。
それは、①信頼のおける人からの助言には素直に耳を傾け実行すること。②実行するにあたっては、なるべく助言を求めずに自身の創意工夫を施していくこと。③結果=最終決断は、自身の経験を重視し、それに基づくものとすること、といったものではなかろうか☆
幼い子供の頃は誰でもそうであったに違いないこれらのことが時と共に失われていく近頃の世情のような気がしてならない。
そう、あまりにも多くの2次的情報とゲーム等によるシュミレーシュン=未体験をあたかも体験したかのごとくしてしまう思考システム化が妨げとなり、「直体験」という本来最も大切なものが阻害されているのではないか!?、と私は考える。
今思えば、テレビもあまり見せてもらえず、ゲームも殆ど買ってもらえなかったが、そのおかげで別の多くの体験=「直体験」をできたのだと思っている。目を閉じるとまぶたの奥に今日も祖母が微笑んでいる♪
<対応年代:幼少>