第24話((チャレンジ)) | **我が人生の旅路**

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                     英 満(はなぶさ みつる)

 高1の秋だったと思う。ル-ビックキューブなるものが流行った。
 丁度高校の数学の内容を終えた私は、ひとまずほっとした気持ちになっていた。そんなある日、高校になってから知り合いになった隣のクラスの男子生徒がルービックキューブをもってきた。
 その日からみんな彼からちょっと借りてはやっていた。が、そんなことではとうていできっこないと私は思っていた。
 私は、今これをやるのが自分の新たな目標(高校数学を一通りやるというのがこれまでの目標であった。)だと思い、ルービックキューブを1日でいいから貸して欲しいと○○くんに何度も頼んでやっと貸してもらった。
 家に帰って祖父母に「今日から明日にかけてはこれをしないといけないので、精神統一も兼ねて玄関でやるから。」と言って、ルービックキューブを見せた。
 祖父は「サイコロみたいなものに負けんようにな!!」と言ってくれた。祖母からは「玄関で風邪引かないようにしいや。」と言われた。
 ご飯を食べてお風呂に入ってから、「さぁやるぞ!!」と心の中でつぶやいて気合いを入れてやり始めた。
 が、これがなかなかうまくいかないのであった。いいところまでいってもダメ~という具合になってそのたびに気分転換をしていたのでとうとう徹夜するはめになった。
 明け方近くになってピピ~ンとひらめいた☆「はは~ん、こうすればいいのか。」などとひとりごとをいいながらシャカシャカやっていった。
 そして六面全てがそろったときには完全に夜は明けていた。祖父母に「さっきついにできた。今日これ返しに行くまで寝るけ。」と言って熟睡してしまった。
 はっと目が覚めたらお昼をとうに過ぎていた。バタバタ準備をして学校に行った、ルービックキューブだけを持って。
 急いで行ったつもりだったが、着いたときには終礼間近だった。
 私は「できた、ルービックキューブ♪」と言いながら教室に入った。
 するとみんなの視線を浴びるより早く担任が「廊下に出ろ。」と言った。
 やばいと思ったが、なるようにしかならんとあきらめて担任の前に立った、ルービックキューブを後ろに隠しながら。
 「今日は何をしていた、学校休んで!?」と担任から尋ねられたので、私は「ルービックキューブを徹夜でしていたので寝ていました。目が覚めて急いで来たのですが今になってしまいました。」と答えた。
 そして後ろに隠していたルービックキューブを担任に見せた。すると担任は「すごい。」と言って、私の手を引っ張って校長室に連れて行った。
 校長先生に担任は「うちの生徒の△△が徹夜でルービックキューブを仕上げてきました。」と嬉しそうに言った。
 すると校長先生は「おめでとう△△くん、日本で2,000人以内ですよ、今は。」と言われた。
 なんか嬉しかった♪高校数学をやりあげた以上の満足感であった。
 さて、学校はといえば、次の日から誰もが私のやり方で簡単にルービックキューブをやっていた。
 今思えば私は周りの人たちに恵まれていたのだろう。祖父母に先生方にといった具合に私のやることになんのおとがめもなくすましてくれていたのだから。
 小さなチャレンジ、それをみつけ実行できるように今度は私が見守る番である。でてこい☆かつての私のようなやんちゃくんよ!(^^)!
<対応年代:10代>