風俗譲と税金

今回のテーマは、ずばり「風俗嬢と税金」です。
風俗嬢の自営業者としての扱いとか、源泉所得税徴収業種とは何かについて書いていこうと考えております。
風俗店、特に女性を使う商売は、ソープ嬢や一部の芸者さんなど特殊な場合を除いては源泉所得税徴収業種に該当いたします。
(飲食店のチップなどもコレに該当しますね。)
つまり、女のコの報酬の一部を天引きして税務署に納めなくてはならないのです。
これからフーゾク産業で開業する方々にもあとあとに大きな出費をしない為にもクリーンな納税に努めて頂きたいです。
禁酒法時代に密造酒で君臨したあのアルカポネでさえ起訴されて、アルカトラス島に投獄された容疑・罪状は脱税でした。

税務署の現在の組織は、法人課税・個人課税・管理徴収と部門別に分かれていて、法人課税2部は消費税、法人課税3部は源泉所得税、法人課税4部は管内の脱税の疑いがある企業を集中的に調査しています。
また、風俗街を抱える新宿・渋谷・豊島・京橋管内には、大きな現金が動く業種を専門とする特殊な部門があり、新宿では歌舞伎町、渋谷では道玄坂・宇田川町・円山町、豊島では池袋、京橋では銀座で、クラブ・キャバクラ・ソープ・ヘルス・ラブホ・カジノバー・パチンコ(P店)などのギャンブル系やアダルト風俗系業種を調査をしています。
ソープ嬢や芸者さんのように直接お客様から「おひねり」を貰う方々の場合、以下のようなお店側の源泉徴収は不要となります。
女のコそれぞれが独立した経営者となるからです。
ソープランドの場合、受付で支払う入浴料がお店の売上げでサービス料は丸々女のコの手取りとなりますが、お店側は女のコから備品類やお客様へのお茶代としていくらかを日々徴収しています。
女のコの納税については店側は一切関与していなくて、自分で確定申告することとなります。
デリヘルのような出張風俗の場合は、女のコがお客様から前金としてプレイ料金をお店の売上げとして預かり、閉店後のギャラ清算時に預かった金額の60~70%を受け取りますので、本来は下記のように源泉徴収しなくてはなりません。
そして税務署へ徴収した所得税額を申告・納税するのであります。
風俗嬢などに支払う報酬について(所得税法第204条第1項第6号「ホステス等の業務に関する報酬・料金」)
(所令205、216、所令322、所基通9-8、204-2~204-3、措通41の18-1~18-3、措通41の20、措令26の18、措令26の29)
1、6号に該当する源泉徴収の範囲
次の要件に該当する場合には、報酬・料金の支払者は所得税の源泉徴収をしなければなりません。
最近初めてそういうヘルスが登場したらしいのですが、仮に風俗嬢やホステスを正社員、アルバイト、パートタイマーとして雇用する場合であっても、給与等として源泉徴収する扱いには該当しないと思います。
また、風俗嬢やホステスと書きましたが、ホストやウリセン、ニューハーフダンサー等も同様であります。
(1)ナイトクラブやバー、キャバレーその他これらに類する施設で経営者が、そこで働くホステスなどに報酬・料金を支払う場合
(2)いわゆるバンケットホステス、コンパニオン等をホテル・旅館・飲食店その他飲食をする場所に派遣して接待等の役務の提供を行わせることを内容とする事業を営む者が、そのバンケットホステス・コンパニオン等に報酬・料金を支払う場合
(この場合はコンパニオン派遣会社のことを指し、直接ホテル・旅館・スナックなどの従業員が接待している場合には該当しません。)
※このバンケットホステスやコンパニオンは、ホテル・旅館・飲食店その他飲食をする場所(臨時に設けられたものも含みます)で行われるパーティー等の飲食を伴う会合において、専ら客の接待等の役務の提供を行うことを業務とする人のことを指し、芸妓(宴席で歌や踊り、三味線等で興を添える存在。いわゆる芸者さんのこと)の業務に関する報酬・料金は上記に類似しますが、所得税法上は該当しません。
2、源泉徴収の対象となる報酬・料金に含まれるかの判定について
(1)報奨金や深夜の帰宅の為のタクシー代は、報酬に含まれます。
(2)ホステスに衣裳を貸し付ける場合には、源泉徴収の必要はありません。
しかし、衣装代として現金を支給する場合には、報酬に含まれることになります。
3、源泉徴収の方法
源泉徴収すべき所得税額は、次の式で計算した金額です。
※控除額は、報酬・料金の計算期間の日数に1日あたり5,000円を掛けた金額です。
(1)日々支払う場合
定額5,000円=控除額になります。
(2)10日毎、半月毎のように予め計算期間を設定して支払う場合
定額5,000円×設定した計算期間の日数=控除額となります。
(3)月毎に支払う場合
定額5,000円×その月の日数=控除額となります。
※報酬・料金の他に別途固定給を支払う場合には、上記で計算した金額から固定給の金額を差し引いた額が控除額となります。
例えば、6日分の報酬・料金10万円のほかに固定給2万円を支払った場合の報酬・料金の源泉徴収税額は9千円になります。
※計算期間またはその月の日数は、風俗店の休業日を除いた営業日数をいいますので、風俗嬢やホステスが自己都合でバックレた日も含まれますが、次のような場合には例外的な方法によって控除額を算出します。
(1)水商売でホストやホステスに売掛金回収責任ある場合には、お店の休業日を含む計算期間もしくはその月の全日数によって計算します。
(2)出勤スケジュールが予め調整されている場合や、支払い金額の計算において欠勤日数を考慮する(例えば一定日以上休むと時給が下がるシステムとかのこと)場合には、当該設定した日数もしくは出勤日数により控除金額を算出します。
4、源泉徴収した所得税を納める期限
(1)報酬・料金のみを支払う場合
支払った月の翌月10日まで
(2)報酬・料金の他に固定給を支払う場合
イ 報酬・料金から源泉徴収した所得税は、支払った月の翌月10日まで
ロ 固定給から源泉徴収した所得税は、源泉徴収義務者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けていれば半年分まとめて7月と1月の10日まで、特例の適用を受けていなければ支払った月の翌月10日まで
5、源泉徴収対象とならない報酬・料金(所法204-3、措法41の18-2)
風俗店経営者(キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設の経営者またはコンパニオン、バンケットホステスなどをホテル・旅館等に派遣して接待等の業務を行わせることを内容とする事業を営む者)以外の者から支払われるこれらの報酬・料金は、次の区分に応じて源泉徴収の要否が決まります。
(1)風俗嬢・ホステスに直接(お客様から)支払われる場合→源泉徴収不要です。
(2)(お客様から)お店が頂戴した金額から、お店(の経営者)を通じて、風俗嬢・ホステスに報酬が支払われる場合→風俗店経営者が支払うものとして源泉徴収を行ないます。
専属契約締結時の契約金
(個人経営や法人に関わらず)風俗店やAVプロダクションが、ホステスやAV嬢に専属契約を締結する場合に契約金を支払う時、所得税を源泉徴収しなければなりません。
また、この契約金には移籍料や仕度金等の名目の一時金を含みます。
具体的に専属契約締結時、契約金を支払う場合の源泉徴収すべき所得税は契約金の10%の源泉、100万円を超える契約金の時はその所得の100万円を超える部分について20%の源泉徴収の所得税額が掛かります。
(例)150万円の契約金を支払う場合
(支払金額-100万円)×20%+10万円=50万円×20%+10万円=20万円
また、源泉徴収した所得税は、支払った月の翌月の10日までに納めなければなりません。
(所法204、205、所令320、所基通204-29~30)
尚、AV女優の場合は所得税法上、通常モデルプロダクションからの派遣となる為に、源泉徴収はしません。
フリーの女優の場合は所得税法上(ファッション)モデルもしくは俳優などの芸能人の区分に該当するのでギャラの10%を源泉します。
但し、同一人に対して1現場で100万円を超えるギャランティの時は、その所得の100万円を超える部分について20%の源泉徴収をいたします。
AV女優だけでなく、TVのエキストラ等でも日払い・取っ払いでその日の報酬の受け取る時に、(支払い先から)領収証を“並び”で書いてくれと言われる時があります。
例えば、1万円の手取りの場合「11,111円」で領収証を切ることを指します。
これは、その支払い先がその人に11,111円を支払って、税務署に代わって1,111円を源泉徴収しました。という意味なのです。
そしてあとで税務署に1,111円を納税するのです。
話しは脱線しますが、テレクラ売春などの援交や立ちんぼ等は個人経営で店舗もありませんので、税金を払っている人など当然ながら“いません”。
この手が犯罪かどうかは私には分かりませんが、オランダのように合法化にして税金を徴収するか、売り手側に交通違反のような罰金を課すか、でも未成年者が多いから、親から徴収(?)という離れ技も抑止作用が……無いだろうな。
話しはまた戻りますが、女のコの指名料に関して受付で一括して徴収してしまったら、お店の売上げとなってしまいます。源泉徴収しない方法は、受付で指名料を貰わずにお客様に女のコに別途直接手渡していただくことです。
そうすればチップ扱いとなり、女のコが確定申告をすればいいことになります。
店舗型ならば、女のコの取り分をソープランド的にチップ方式にして、受付と別にすれば、女のコを独立した個人事業者(自営)にすることが可能です。
また、経費として自腹で購入したドレスや襦袢、エッチな下着、ピル、検査代、性病対策のイソジンやクリアレックスとかゴムなんかも経費に出来るでしょう。
クレジットカードを使用するお客さんが多いらしいので、自分にはその場合の対応までは理解できませんが、女のコのギャラを別にする場合も帳簿・名簿をきっちり作成する事が前提ですね。
単に源泉徴収が面倒だから形式だけ、というのは国には通用しません。
女のコに経営者の意識を持ってもらうのは当たり前の事で、すべてを口頭でなく書面にしておかなればならないでしょうね。
詳しくは田中先生のような行政書士やソープランドの経営者にでも相談してください。
自宅やホテルへの出張風俗の場合、上記のような方法はお馬鹿な自分には思い付きません。