戦争体験公募
終戦から早70年記念出版の記事公募の案内です。
祖父母らの戦争体験を公募・出版 ── 大阪の出版社「戦後70年・重要な節目」と意気込み
2015.02.17 13:22
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[写真]編集者として原稿に目を通す福山琢磨さん=大阪市天王寺区東高津町5の新風書房で
戦後70年の今年、戦争体験を記録する証言集『孫たちへの証言』を刊行してきたベテラン編集者が、若い世代に向けて、今夏に刊行予定の最新号への応募を呼びかけている。祖父母や父母の戦争体験を、子や孫たちが聞き取り方式で記録することで、貴重な戦争体験を後世に受け継ぐことができるからだ。
家族による世代を越えた共同執筆活動
『孫たちへの証言』は大阪市天王寺区の出版社「新風書房」が1988年以来、毎年夏に刊行してきた。戦争を体験した市民から作品を公募し、80点前後の入選作を掲載。昨年までに第27集に達し、今年刊行予定の第28集の原稿を、現在募集している。
自分史教室の講師などを務める福山琢磨新風書房代表が、ライフワークとして証言集の編集作業に打ち込んできた。昨年度の応募は597点で、筆者の平均年齢は81.4歳。戦争体験者の高齢化が進み、戦争を知る世代が減少を辿る中、福山さんは「戦後70年の今年が、しっかりした証言を集める重要な節目」と、気持ちを引き締める。
そこで、祖父母や父母の戦争体験を、子や孫が代わって原稿にまとめる聞き取り方式での応募を呼びかけている。語り手と書き手に分かれ、高齢体験者の負担を減らす。家族による世代を越えた共同執筆活動だ。
「どれだけ固有名詞を盛り込めるか」
福山さんによると、執筆のポイントは「どれだけ固有名詞を盛り込めるか」。70年も前の体験になると、記憶があいまいになりがち。体験者の記憶だけに頼り、「南方の激戦地で死を覚悟した」「幼いころ学童疎開先で苦労した」などと書いてしまうと、読者に苦しさが伝わりにくい。「いつ」「どこで」「誰が」などの具体的な事実をおろそかにできない。
福山さんは「語り手の記憶を、書き手が資料によって裏付けする努力をしてほしい」と話す。軍人の場合、軍歴証明書を入手すると、召集から除隊までの記録を確認できる。陸軍関係者は終戦当時本籍地があった都道府県、海軍関係者は厚生労働省へ申請すれば、軍歴証明書を交付してくれる。
学童疎開に関しては、通学していた国民学校の校史などに当たると、学童疎開の実情を知ることができるケースがある。関連情報がないか、インターネットで検索してもいいだろう。福山さんは「事実の裏付けを取り、固有名詞を盛り込んで肉付けすると、個人の記憶が説得力のある記録になります」と力を込める。
体験を記録すればいつでもとらえ直せる
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[写真]毎年刊行されてきた『孫たちへの証言』。昨年までで第27集を数えるロングラン企画に成長した
原稿をまとめる際、ドラマチックな構成を意識しすぎると、気負いが先立ち読みにくくなりかねない。福山さんは「あまり奇をてらうことなく、起きた事柄を順番に時系列で書くことをお勧めします」と助言する。
「歴史は人が作る。戦時中、家族がどんなふうに暮らしていたのかを知ることも意義深い。家族の体験を記録しておけば、時間をかけて検証し、改めて意味合いをとらえ直すことができます」(福山さん)
聞き取りの共同作業は家族で対話を重ねるひとときにもなる。戦争体験を家族で受け継ぐ時代を迎えたようだ。応募作品は字数1600字以内(400字詰め原稿用紙4枚・ワープロ可)で氏名・年齢・住所・電話番号を明記(匿名は不可)、締め切りは3月末日(消印有効)。入選作100編を単行本『孫たちへの証言』として8月に出版予定となっている。詳しくは新風書房の公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)