カタメ 8
幹夫はハンバーガーショップにいた
その日は香織の後をつける事をせず
一人で帰り
帰り道になんとなく寄り道していた
最近香織をつける事が喜びでなくなってきていた
そんな自分にきずいた
もう止めよう
このままでは自分がおかしくなってしまう
本能かもしれない
自己防衛の本能が働いたのかもしれない
片目をあげたのは自分だ
感謝されなくて当然だ
もうよそう
どうせ誰も俺の事を気にしていない
この後の人生もそうなんだろう
それでいい
そうやって生きていけばいい
もう終わりにしよう
そんな気分に幹夫はなっていった
聞き覚えのある声がする
店に香織と友達が座っていた
いつ来たのか
丁度壁で視界に入らない為
向こうもきずいていない
会話だけが聞こえる
聞きたくなかった
聞かなければ君は普通に生きていけたのに
せっかく全て忘れて生きていける気分にやっとなれたのに
馬鹿だね
君は本当に馬鹿だね