いまさら言われるまでもなく、小中学校では漢字をたくさん覚えます。
そしてこれまたいまさら言われるまでもなく、漢字は日本語にとってとても重要ですので、ぜひしっかり覚えたいところです。
そして漢字を覚えるのが苦手な生徒は、大人では当然と思えるポイントに注目できておらず、そのためになかなか覚えられていないということがまあまああります。
以下そんな「盲点」について、3段階に分けて書いていきます。
1段階目は「漢字は一文字ずつ読み方がある」ということ。
例えば「学習」という熟語は「がくしゅう」と読みますが、「学」は「がく」と読み、「習」は「しゅう」と読み、それがくみあわさって「がくしゅう」と読むわけです。
何を当たり前のことをと言うかもしれませんが、漢字が苦手だと小学校3~4年生くらいでもそこの感覚がない場合があります。
そうなると、「習学」と書いてしまったり、「字習」と書いてしまったりすることになります。
このような間違い方を見つけたら、「1文字ずつの読み方」に着目させるようにしましょう。
次いで2段階目は「漢字は一文字ずつ意味がある」ということ。
先ほどの「学習」は「学ぶ」と「習う」という同じような意味の漢字が組み合わさって「学習」という熟語になります。
これも気づけば当然のことですが、漢字が苦手であれば中1生くらいでも気づいていない場合があります。
そうなると「額習」とか「学集」とか、読みは合っていても異なる文字で書いたりします。
最後の3段階目は、「漢字は部分にも意味や発音がある」ということ。
これは例えば「体験」という熟語では、「体」は(たぶん)人の体を表したいのでにんべんを使っていたり、「験」の作りは「剣」と同じで「ケン」と読んだりするなど、漢字はそのものだけでなく部分(部首)でも意味や読み方を示しているわけです。
これは先ほど「たぶん」と書いた通り、全ての漢字の成り立ちまで知っている必要はないかと思いますが、ある程度知っているだけで漢字を覚える速度がぐっと早まります。
これは中3くらいでも意識していない人は意識しておらず、「堤防」を「提防」と書いたり、ころもへんとしめすへんがごちゃごちゃになったりしがちです。
いかがでしょう、どれも分かっている人からすると当たり前のことばかりですが、漢字が苦手な人は意外と気付いていません。
そしてこれらに気付かずに漢字を覚えようとするのを想像すると、それは覚えられないのも当然だと思えてくるでしょう。
もしこれらに気付いていない様子があれば、すぐに知らせてあげると良いでしょう。
(当然当教室でもすぐに知らせています)
ちなみにこれらの内容を大きくとらえ直すと、実は全て「既に知っている知識から類推する」という仕組みであることにも気付くでしょうか。
知っている熟語の知識から、その漢字の意味や読みを拾い上げ、知らない熟語を書くのに利用するというのが基本姿勢です。
この「既知を未知に使う」という考え方は、漢字のみならず別の覚え作業にも使えますし、何なら覚え作業ではなく全ての勉強にとって有効な考え方です。
できればこの考え方そのものに気付いてもらい、あらゆる勉強に活用し、効率アップを図ってもらいたいところです。
【注】
いまさら:もっと早ければともかく、今となっては遅すぎる、ということ。
言うまでもなく(いうまでもなく):あれこれ言う必要のないほどわかりきったことである。
堤防(ていぼう):洪水を氾濫させないために、左右岸に築造した盛土(土を盛り固めた)のこと。
とらえ直す(とらえなおす):物事を別の角度から解釈し直すこと。
類推する(るいすいする):二つの物事に共通点があることを認めたうえで、一方の物事にみられるもう一つの性質が他方にもあるだろうと推論すること。
★個別学習のセルモ 川崎菅馬場教室★
塾長 雪平聖道
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