世の中には「先取り学習」というものがあります。

人によって様々な定義があるかもしれませんが、ここでは「学校のカリキュラムより先の範囲を学習すること」と定義します。

 

さてこの「先取り学習」は、指導者によって賛否両論あることも知られており、どんどんすべきという先生から、絶対にダメだという先生まで、そしてその中間の意見を持つ先生など、様々です。

 

私としては「生徒に合わせ適切に使えば効果がある」という中間の立場ですが、ここで思考の整理のため、先取り学習の功罪について列挙してみようと思います。

今回は功の方を、思いつく限り挙げていきます。

 

まずは言うまでもなく「学校では物足りない生徒に先を見せる」ということ。

特に小学校であれば、学校で習うことが、普段の生活を通じ既に知っていることである場合も多く見られます。

顕著なのが漢字でしょうか。本などをよく読む生徒であれば、学校で習うまでもなく漢字を知っていることも多いでしょう。

そのような生徒には、学校のカリキュラムに制限するより、先を見せた方が能力が高まると思われます。

 

次に「先を見せた方が理解がつながる場合がある」ということ。

これは理科分野が多いでしょうか。

よく言われるのは、微分方程式を習った方が高校物理は理解しやすいとか。

あとは、原子・分子を習った方が、化学反応や状態変化のイメージがつきやすいとかもあるかもしれません。

算数・数学分野でも、例えば小数の計算に習熟したあとで、実は小数ってこういうことか、と腑に落ちるような生徒もいます。

場面はかなり選びますが、先の範囲を学習することで、元の範囲との理解につながりを見つけることができる場合もあると考えます。

 

次は「学校の授業での聞き漏らしが減る」ということ。

先取り学習をしない場合、学校で初めてその概念に触れることになります。

すると、授業でいきなり、新しい言葉・新しい考え・新しいやり方に一度に触れることになるわけです。

これら全てを漏れなく全て聞き理解するというのは、実際のところかなり難しいことではないかと思っています。

もしその中で、どれか1つを聞き漏らしてしまうと、そこからつながる全てが分からなくなり、その日の授業が全て無駄になる危険性もあります。

先取りにより少なくとも「この言葉の意味はなんとなく分かる」くらいにしておくと、授業の一発勝負で全てを理解する必要がなくなり、聞き漏らしによる被害を減らすことができると考えます。

 

次に「理解に時間がかかる単元に来た時に備えられる」ということ。

学校の授業はその仕組み上、生徒が理解していようがしていなかろうが一定のペースで先に進んでしまいます。

しかし生徒の理解が必ずしもそれに一致するわけではなく、理解が早い単元もあれば逆に理解が遅い単元もあります。

その場合、先に進んでおけば、その生徒が理解に時間がかかる(苦手な)単元に入ったときに、学校が追いつくまでの時間稼ぎができます。

 

最後に「勉強に前向きになれる」ということ。

「学校よりも先のことを習っている」というのは、単純に生徒にとっては自信となることでしょう。

特に最近は学校の授業中に「発言」が求められることも多いようです。

今初めて聞いたことについて即座に意見を出すのは、大人でも難しいと考えられます。そこで先取りによりある程度知識を持っていれば、それについての意見を準備することができ、発言もしやすくなり、結果として自信がつき、勉強に前向きになることでしょう。

 

いかがでしょうか。上2つは主に勉強が得意な生徒に向けた利点、下3つは主に勉強が苦手な生徒に向けた利点となるかと思います。

他にご意見などございましたらぜひお寄せ下さい。

 

【注】

功罪(こうざい):行為や事象がもたらす利益と損害。

カリキュラム:生徒・児童が学習するコースとして立てられた、教育内容の系列。教育課程。

列挙(れっきょ):一つ一つ数え立てて挙げること。並べ立てること。

 

 

 

★個別学習のセルモ 川崎菅馬場教室★

塾長 雪平聖道

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