
作品データ:
製作年 1972年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 97分
初公開 1972年3月12日
結城昌治(1927~96)の直木賞受賞作の同名小説を『博徒外人部隊』の深作欣二(1930~2003)が監督した反戦ドラマ。敵前逃亡の汚名を着せられた兵士の未亡人が夫の死の真相を探る過程を通して軍隊の非人間性と戦争の不条理を描き出す。結婚して半年で出征した夫、勝男を今でも愛慕する、純真素朴な未亡人サキエを、『にっぽん昆虫記』『飢餓海峡』の左幸子(1930~2001)が好演。
ストーリー :
1952(昭和27)年、「戦没者遺族援護法」が施行されたが、厚生省援護局は一戦争未亡人の遺族年金請求を却下した。「元陸軍軍曹・富樫勝男(丹波哲郎)の死亡理由は、援護法に該当すると認められない」。富樫軍曹(分隊長)の死亡理由は、「戦没者連名簿」によれば、1945(昭和20)年8月南太平洋の最前線において、「敵前逃亡」により処刑されたと伝えられている。そして、遺族援護法は「軍法会議により処刑された軍人の遺族は国家扶助の恩典は与えられない」と謳(うた)っているのだった。富樫軍曹の未亡人サキエ(左幸子)は、この厚生省の措置を不当な差別として受け取った。それには理由があった。富樫軍曹の処刑を裏付ける証拠、例えば軍法会議の判決書などは何ひとつなく、また軍曹の敵前逃亡の事実さえも明確ではなかったからである。以来、1971(昭和46)年の今日まで、毎年8月15日に提出された彼女の「不服申立書」はすでに20通近い分量となったが、当局は「無罪を立証する積極的証拠なし」という判定を繰り返すだけだった。しかし、サキエの執拗な追求は、ある日とうとう小さな手掛かりを掴むことになる。亡夫の所属していた部隊の生存者の中で当局の照会に返事を寄越さなかったものが4人いた、という事実である。その4人とは、元陸軍上等兵・寺田継夫(養豚業/三谷昇)、元陸軍伍長・秋葉友幸(漫才師/関武志)、元陸軍憲兵軍曹・越智信行(按摩/市川祥之助)、元陸軍少尉・大橋忠彦(高校教師/内藤武敏)。サキエは藁にもすがる思いで、この4人を訪ねて回り、真実を追求していく。彼らはどんな過去を、戦後26年の流れの中に秘め続けてきたのか…?その追求の過程で、更に多くの人物が彼女の前に現われてくる。師団参謀・千田少佐(中村翫右衛門)、小隊長・後藤少尉(江原真二郎)、富樫分隊員・堺上等兵(夏八木勲)、同小針一等兵(寺田誠)。その結果、サキエの前に明らかにされたものは、今まで彼女の想像したこともなかった恐るべき戦場の実相だった。敵前逃亡、友軍相殺、人肉嗜食、上官殺害等々。そうしたショッキングな事件が連続する中で、サキエは否応なく、亡夫のたどった苛烈な戦争の道を追体験していくのだった―。
▼予告編