映画『未来を乗り換えた男』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2019年1月16日(水)新宿武蔵野館(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F、JR新宿駅中央東口から徒歩2分)で、16:55~鑑賞。

「未来を乗り換えた男」⑵

作品データ
原題 TRANSIT
製作年 2018年
製作国 ドイツ/フランス
配給 アルバトロス・フィルム
上映時間 102分


「未来を乗り換えた男」⑴

『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』のクリスティアン・ペッツォルト監督が、ナチスによる悪夢的史実と現代の難民問題を重ね合わせたサスペンス・ドラマ。台頭するファシズムの中で祖国ドイツを追われた男が、南仏マルセイユで繰り広げるサバイバルの行方を、偶然出会ったミステリアスな美女との皮肉な運命とともにサスペンスフルに描き出す。ドイツの作家アンナ・ゼーガース(Anna Seghers、1900~83)が亡命時代に執筆した小説『トランジット』(Trandit、1944年)を、舞台を現代に置き換えて映画化。主演は『ハッピーエンド』のフランツ・ロゴフスキ、共演に『婚約者の友人』のパウラ・ベーア。

ストーリー
現代のフランス。ファシズムが吹き荒れる祖国ドイツを逃れてきた元レジスタンスの青年ゲオルク(フランツ・ロゴフスキ)は、ドイツ軍に占領されようとしているパリを脱出し、南部の港町マルセイユにたどり着いた。ひょんなことから、パリのホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルのトランクを預かったゲオルクは、遺品の書類を利用して彼に成りすまし、海路でメキシコへ亡命する計画を立てていた。そんな時、誰かを必死に捜し回っている黒いコート姿の女性マリー(パウラ・ベーア)とめぐり合う。美しくもミステリアスな雰囲気を漂わせる彼女に心奪われていくゲオルクだが、それは決して許されず、報われるはずのない恋だった。なぜなら、マリーが捜し求める相手は彼女自身の夫であり、その夫こそ誰あろう、ゲオルクが成りすましているヴァイデルのことだったのだ…。

▼予告編