映画『ヒトラーへの285枚の葉書』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年11月10日(金)下高井戸シネマ(東京都世田谷区松原3-27-26、京王線・東急世田谷線下高井戸駅から徒歩2、3分)で、13:05~鑑賞。

作品データ
原題 AlONE IN BERLIN
独題 JEDER STIRBT FÜR SICH ALLEIN
仏題 SEUL DANS BERLIN
製作年 2016年
製作国 ドイツ フランス イギリス
配給 アルバトロス・フィルム
上映時間 103分


「ヒトラーへの285枚の葉書」

ドイツ人作家ハンス・ファラダ(Hans Fallada、1893~1947)がゲシュタポの文書記録を基に執筆した遺作の小説“Jeder stirbt für sich allein”(1947)(English: Every Man Dies Alone 〈US〉 / Alone in Berlin 〈UK〉)(赤根洋子訳『ベルリンに一人死す』みすず書房、2014年)を映画化。実話を基に、ごく平凡な労働者夫婦が息子の戦死をきっかけに、自らの尊厳を守るためにナチス政権への、ペンと葉書による孤独で寡黙で、絶望的な抵抗に身をさらしていく姿を描き出す。『ハワーズ・エンド』のエマ・トンプソンと『未来を花束にして』のブレンダン・グリーソンが妻と夫を熱演。共演に『ラッシュ/プライドと友情』のダニエル・ブリュール。『王妃マルゴ』『インドシナ』などの人気俳優ヴァンサン・ペレーズ(Vincent Pérez、1964~)が監督を務めた。

ストーリー
フランスがドイツに降伏した1940年6月。戦勝ムードに沸くベルリンの古めかしいアパートで質素に暮らす労働者階級のクヴァンゲル夫妻オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに、一通の軍事郵便が届く。それは最愛の一人息子ハンスが戦死したという無情な知らせだった。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラー政権への怒りのメッセージをポストカード(無名の葉書)に記し、アンナと共にそれを密かに街中~ベルリンのノイエ・ケーニヒ通りのビルの階段~に置く。夫婦はこの、ささやかながらも命がけの行動を繰り返すことで(クヴァンゲル夫妻がベルリン各地の公共の建物など人目につくところに置き続けた当の葉書の数は、実に285枚!)、ヒトラー体制の「共犯者」ではなく、「まっとうな人間」としての自由を得て、魂が解放されるのを感じていた。しかし、この孤高の抵抗は、見つかれば死刑に処せられるだろう危険極まりない国家への反逆行為だった。市民からの通報を受け、ゲシュタポ(秘密国家警察)のエッシャリヒ警部(ダニエル・ブリュール)が捜査に乗り出す。じりじりと犯人の住まいと人物像を割り出していく。やがて大々的な捜査の触手が夫婦の身辺に伸びてくる…。

▼予告編



ヴァンサン・ペレーズ監督インタビュー映像 :