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「映画」再訪―時間の王国を生きる

私は映画を見終わったあと、“時間”の王国に生きる自分を発見する。時は容赦なく、すべての人間を順繰りに運び去る地上の王である。私はかつて見た映画を見直し・感じ直し・出会い直しながら、誰も逃れることのできない時間というものの持つ諸相を引き寄せてみたい。

2010年9月3日(金)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、14:45~鑑賞。『時をかける少女』17:15~と2本立て上映。

「人間失格」

作品データ
製作年 2009年
製作国 日本
配給 角川映画
上映時間 134分


2009年に生誕100年を迎えた太宰治(1909~48)の代表作で、自叙伝とも言われる『人間失格』を原作とした文芸映画。自意識が強く繊細ゆえに社会・世間とうまく折り合えず、酒や女に溺れて廃人同様に破滅していく男の魂の旅路を描く。主演に生田斗真。伊勢谷友介、森田剛、寺島しのぶ、石原さとみ、坂井真紀、小池栄子、室井滋、大楠道代、三田佳子らが共演。監督は『赤目四十八瀧心中未遂』の荒戸源次郎。

ストーリー
貴族院議員で津軽の有名な資産家を父に持つ青年・大庭葉蔵(生田斗真)。幼少期より自意識に塗れ、人間というものが分からず、周囲に馴染めないと感じていた。不安や迷いを抱えながら彷徨う彼が向かうのは、いつも酒であり、そして悪友と女だった。刹那的な生活に彼を誘う6歳年上の遊び人、堀木正雄(伊勢谷友介)。彼との付き合いのなかで、下宿先の娘、カフェのウェイトレス、シングルマザーの女性記者たちと交わりながらも、タバコ屋の純真な娘と結婚した葉蔵。さまざまな女たちとの恋に身を投じながら、葉蔵がたどり着く先には、一体何があるのか…?

▼予告編



◆ cf. 芝山幹郎「静かな衰弱から濃厚な衰弱へ。透明な回転扉も多面的な光を反射する」―これは、なかなか味わい深い映画レポート (映画.com-2010年2月16日) である :

≪映画のペースはゆるやかだ。太宰治の原作に顕著だった「主人公の地獄めぐり」を期待すると、観客は肩透かしを食わされるだろう。原作の大庭葉蔵が自意識過剰の自堕落青年だったのに対して、映画の葉蔵(生田斗真)は「空白の心棒」だ。女が来れば身も心もねんごろに付き合うようだが、「情熱」や「意欲」や「野心」といった観念とはおよそ縁がない。怒りや恐怖といった感情に染められることもなさそうだ。ただ、無感動や無表情というわけではない。言葉を換えれば、葉蔵は透明な回転扉だ。女たちは、扉にからまりながらつぎつぎと通り過ぎていく。つまり、葉蔵と女たちの関わり方は、小説と映画とでは180度異なっているといってよい。
監督の荒戸源次郎は、ここで映画にダシを効かせる。葉蔵は「女達者」のはずなのに、若い女たちとのラブシーンは一切描かれないのだ。背景とされた昭和10年代前半の「疲れた空気」が通奏低音のように流れるなか、葉蔵と女たちは静かに醗酵し、静かに衰弱していくようにも見える。
が、そのままで映画を終わらせないのが、荒戸という賭博師の賭博師たるゆえんだ。葉蔵の周辺に年増女の影が目立ちはじめたと思うや、「静かな衰弱」は「濃厚な衰弱」へと姿を変えていく。そう、「頽廃」や「爛熟」というよりは「濃厚な衰弱」。
この化学式を見抜いた人は、映画全体を楽しむことができるはずだ。映画の前半で静かに衰弱していった女たちも、実は静けさの陰で濃厚な匂いを放っていたのではないか。となると、葉蔵という「透明な回転扉」も、プリズムを思わせる多面的な光を反射しはじめる。ダシを効かせるとはそういうことだ。≫
2010年8月31日(火)立川シネマシティ(シネマ・ワン:東京都立川市曙町2ー8ー5、アクセス:JR立川駅北口から徒歩5分)で、15:20~鑑賞。

hanamizuki

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 128分


人気アーティスト・一青窈の大ヒット曲「ハナミズキ」をモチーフにした純愛ラブストーリー。擦れ違いながらも、お互いを思い合う男女の10年間に及ぶ愛の軌跡が描かれる。監督は『いま、会いにゆきます』の土井裕泰。主人公の男女を『BALLAD 名もなき恋のうた』の新垣結衣と『人間失格』の生田斗真が演じる。ロケ地は北海道、東京、ニューヨーク、カナダ、撮影期間は約半年間。

ストーリー
海外で働くことを夢見て勉強に励む主人公・平沢紗枝(新垣結衣)は、幼い頃に父を亡くし、北海道・釧路で母・良子(薬師丸ひろ子)と二人暮らし。慎ましく二人で暮らす家の庭には、自分の病状から娘の成長を見届けることができないと悟った父(ARATA)が、幼い娘への秘めた想い、メッセージを込めて植えたハナミズキが大きく育っていた。
高校生になり、東京の大学への進学を目指し勉強中の紗枝は、漁師の父の仕事を手伝いながら水産高校に通う同学年の木内康平(生田斗真)と偶然出会い、恋に落ちる。紗枝は康平に励まされながら、一旦はあきらめかけた大学に合格、紗枝は東京に、康平は北海道に残り、遠距離恋愛が始まる。
夢に一歩近づき、華やかな都会暮らしで、だんだんと美しくなっていく紗枝の姿は、故郷に残り漁師を続ける康平の心に小波をたて続け、お互いを想う気持ちは変わらないはずなのにすれ違って行く。そして、紗枝の前に同じ夢を持った大学の先輩で写真家の北見純一(向井理)が現われる…。

音符 主題歌「ハナミズキ」(唄:一青窈、作詞:一青窈、作曲:マシコタツロウ) :



Full Movie

2010年8月31日(火)立川シネマシティ(シネマ・ツー:東京都立川市曙町2ー42ー26、JR立川駅北口から徒歩6分)で、13:05~鑑賞。

「ソルト」

作品データ
原題 Salt
製作年 2010年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間 100分


二重スパイの容疑をかけられたCIAエージェントを、 『グッド・シェパード』『チェンジリング』のアンジェリーナ・ジョリーが熱演するアクション・サスペンス。ロシアのダブルスパイ容疑をかけられたCIA女性エージェントが、自分の容疑を晴らすために、孤独な戦いに臨むさまをスリリングに描く。監督は『今そこにある危機』『ボーン・コレクター』のフィリップ・ノイス。共演は『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のリーブ・シュレイバー、『2012』のキウェテル・イジョフォー。

ストーリー
イブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は相手のどんな嘘でも見破る優秀なCIAエージェント。ところが、ある日、CIA本部でロシアから逃亡してきた謎の密告者・オルロフ(ダニエル・オルブリフスキー)を尋問していた彼女は、突如、窮地に陥ることに。彼が告白したのは、アメリカに長年潜伏してきたロシアのスパイが、訪米中のロシア大統領を暗殺する計画があること、そしてそのスパイの名が「イブリン・ソルト」であること―。ロシアの二重スパイの嫌疑をかけられたソルト。何かの罠だと身の潔白を必死に訴えるものの、同僚たちは誰も耳を貸そうとしない。追い詰められて、ついに決死の逃亡を図ったソルトは、CIAの追跡をかわしながら、自らの容疑を晴らすべく、たった独りで真相究明に乗り出すが…。

孤高のヒロイン、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie、1975~)のリアルなアクションに注目!冒頭でいきなり北朝鮮兵士の水攻めリンチを受けて泡を吹き、次に暴走トラックの屋根から屋根へ乗り移ったかと思えば、降下するエレベーターめがけてスパイダーマン張りの壁伝いジャンプも厭わない…。
そして、何が真実なのか、二転三転する物語に混乱必至!】

▼予告編

2010年8月20日(金)丸の内TOEI(東京都中央区銀座3-2-17、JR有楽町駅から徒歩約5分、プランタン銀座デパート隣)で、19:05~鑑賞。

「日本のいちばん長い夏」(2)

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 アマゾンラテルナ
上映時間 111分


「日本のいちばん長い夏」(1)

半藤一利編『日本のいちばん長い夏』(文春新書、2007年)※を原作とするドキュメンタリードラマ。『佐賀のがばいばあちゃん』の倉内均監督が、1度も戦争の体験を語ることなくこの世を去った父への思いから、1963年に催された歴史的座談会「日本のいちばん長い日」を再現する“文士劇”。ポツダム宣言に対する日本政府の対応、原爆の投下、ソ連の参戦、終戦へ至る経緯などについて、現代日本の各界を代表するユニークなキャストが熱い議論を交わす。弁護士の湯浅卓、作家の島田雅彦、アニメ映画監督の富野由悠季、ジャーナリストの鳥越俊太郎や田原総一朗らが再現ドラマの出席者役に扮し、物語に不可思議なリアリティーを与えている。2010年7月31日にNHKBShiの「ハイビジョン特集」にて放映後、全国の劇場でも上映。キャッチコピーは、「原爆は落とされなかったかもしれない─」。

※戦後18年後の1963年6月20日に東京の料亭・なだ万で、月刊雑誌『文藝春秋』編集者の半藤一利が企画し、徳川夢声とともに司会を務めた、約5時間にも渡る座談会が開催された。内容は1945年の8月、“敗戦の日”にどこで何をして何を考えていたかを振り返るというもの。座談会の参加者は軍人や政治家、銃後の人など28名。『文藝春秋』1963年8月号に「日本のいちばん長い日」と題して掲載された。この座談会をさらに掘り下げようと半藤が取材を加えて執筆し、1965年に大宅壮一の名で出版され、後に映画化もされたのがノンフィクション『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』(文藝春秋新社)である(1995年に文藝春秋から半藤一利名義で『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日 決定版』として再版)。そして2007年に、座談会「日本のいちばん長い日」を中心にして半藤による解説を加えられた上で、『日本のいちばん長い夏』の書名で新たに発行された。

ストーリー
2010年の夏、1人のテレビ演出家(木場勝己)が、終戦に関するある出来事の映像化を計画していた。彼の父は戦争経験者だが、その口から戦争の話を聞いたことがなく、人生や生き方を語り合ったこともなかった。1945年に復員した父は、戦後どのような思いで生きてきたのか?父の話を聞きたい。彼が映像化を考えたのは、63年6月20日に開催された座談会「日本のいちばん長い夏」だった。そこでは、終戦時に政治や軍の中枢にいた者から前線の兵士、庶民など28人が一堂に会し、約5時間に渡って“終戦”について熱く語り合ったのだ。敗戦で焦土と化した日本だったが、奇跡的な復興を遂げ、63年当時は高度経済成長真っ只中。団地が次々と建設され、テレビや電気冷蔵庫、自動車までもが庶民の手に届くようになった時代。翌年には東京オリンピック開催も決定しており、まさに日本中がお祭りのような明るさの中にあった。そんな時に、この座談会を企画したのは当時、雑誌の編集部員だった作家の半藤一利(池内万作)だった。演出家は半藤への取材を敢行し、同時に当時の座談会の再現を試みる。演じるのは俳優だけでなく、現在第一線で活躍する多数の文化人という異色のキャスティング。撮影の合間には彼らにも取材を行ない、それぞれの戦争観を問う。中には終戦時、まだ生まれていなかった者も。ここで語られるのは、“日本政府はなぜポツダム宣言を最初黙殺したのか?”、“ソ連を仲介とする和平工作の失敗から見えてくるものとは?”、“ポツダム宣言受諾から8月15日の終戦までの経緯”、“当時の庶民の生活や意識、また戦地の兵隊たちの想いとは?”、さらには原爆投下、沖縄の惨劇など、議題は多岐に及びながら、さまざまな立場、さまざまな世代による多角的な意見の交換は、やがて戦争の真実を明らかにしていく。時の日本政府がもっと慎重に対処していれば、広島と長崎の惨劇を免れることができたのではないか?ソ連の参戦を阻止することもできたのではないか?では、なぜ、それが不可能だったのか? 28人それぞれから発せられる発言の数々は、そうした謎に応えつつ、聞く者を改めて痛恨の想いへと誘っていく…。それは演出家にとって、果たせなかった父との初めての対話でもあった…。

▼予告編

2010年8月20日(金)丸の内TOEI(東京都中央区銀座3-2-17、JR有楽町駅から徒歩約5分、プランタン銀座デパート隣)で、16:40~鑑賞。

「必死剣鳥刺し」

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東映
上映時間 114分


藤沢周平(1927~97)の短編時代小説「隠し剣」シリーズの一編「必死剣 鳥刺し」を、『愛を乞うひと』の平山秀幸が映画化。一度は死を覚悟しながらも一人の女の存在によって生への執着を取り戻した男が、剣客ゆえに不条理な藩の政道に翻弄され過酷な運命を辿る姿を、静謐かつ丁寧な筆致とクライマックスの壮絶な立ち回りシーンで描き出していく。悲運の剣客・兼見三左ェ門を演じるのは豊川悦司。三左ェ門の亡き妻の姪でありながら、彼にひそかな思いを抱く女性・里尾を池脇千鶴が演じる。第34回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に正式出品された。

ストーリー
江戸時代。東北の小藩・海坂藩(うなさかはん)では、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)が藩政に口を出し、善からぬ影響が拡がっていた。しかし、誰もその暴走を止めることが出来ずにいた。最愛の妻・睦江(戸田菜穂)を病で亡くしたばかりの物頭・兼見三左エ門(豊川悦司)は、死に場所を求めるかのごとく独断で連子の刺殺を敢行する。ところが、極刑を期待していた三左エ門に下された処分は意外にも「閉門」という寛大なものだった。しかも1年後には近習頭取として役職に復帰、藩主の傍に仕えることに。腑に落ちず、迷い苦しむ三左エ門だったが、彼の身の回りを世話する亡妻の姪・里尾(池脇千鶴)の健気な存在が、心の拠り所となっていく。ある日、中老・津田民部(岸部一徳)からある藩命が下る。それは、天心独名流の剣の達人でもある三左エ門が独自に編み出した必死必勝の剣“鳥刺し” ~<その秘剣が抜かれる時、遣い手は半ば死んでいる>~で、殿に敵対する剣豪・帯屋隼人正(吉川晃司)を討てというものだったのだが…。

▼予告編



本作完成報告会見(「於 東京會舘/2010年7月5日」)

2010年8月19日(木)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、13:40~鑑賞。

Crazy Heart

作品データ
原題 Crazy Heart
製作年 2009年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 111分


「クレイジー・ハート」
『サンダーボルト』『スターマン/愛・宇宙はるかに』『ザ・コンテンダー』で知られる名優ジェフ・ブリッジスが、第82回アカデミー賞で自身初のオスカーとなる主演男優賞を受賞したヒューマンドラマ。酒に溺れ、結婚にも失敗し、才能がありながら成功とはほど遠い音楽人生を歩んできた初老カントリー・ミュージシャンが、彼に興味を抱いた女性ジャーナリストとの出会いをきっかけに再起を図る姿を、ユーモアとペーソスを織り交ぜ感動的に綴る。共演に『ダークナイト』のマギー・ギレンホール。俳優としても活躍するスコット・クーパーの監督デビュー作。また、T=ボーン・バーネット(T-Bone Burnett、1948~)とライアン・ビンガム(Ryan Bingham、1981~)の共作による主題歌「The Weary Kind」はみごとアカデミー賞歌曲賞に輝いた。

ストーリー
かつて一世を風靡したシンガーソングライターのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)も早57歳。新曲も書かずに毎晩、酒に溺れ曲の売れ行きも落ち、地方への巡業に回る日々を送っていた。今や歌手としての情熱も失せ、落ちぶれてしまったバッド。地方とはいえ、どこに行ってもバッドを知らない者はおらず、一応羨望の眼差しを向けられる。売れ行きは落ちる一方なのに、ファンには言い寄られる。そんな生活にも嫌気がさし性根は腐っていくばかり。それでも稼がなければ明日をも知れぬ状態だ。しかも、かつての栄光を手にしたプライドも許さず、嫌々ながらマネージャーのジャック(ポール・ハーマン)の指示により、単独で営業の仕事を続けているのだった。
ある日、ショーのため訪れたサンタフェで地元紙の女性記者、ジーン・クラドック(マギー・ギレンホール)の取材を受けたバッド。彼女にどこか親近感を覚える。ショーの後もジーンの取材を受け、互いに身の上を語り合った。ジーンにはどうやら4歳になる一人息子がいるらしい。その夜は何事もなく別れる。
バッドが所属する音楽事務所には、もう1人のカントリー歌手トミー・スウィート(コリン・ファレル)がいる。彼を見出し育てたのはバッドだったが、トミーの人気は今や鰻登り。しかし、バッドとトミーの間には何らかの確執があるらしく、バッドはそれに関して一切口外しないのだった。
翌朝、ジャックから仕事の話が入る。大きなホテルでのショーの話だったが、そのショーにはトミーも出演するとのこと。バッドはトミーの前座を務めるのはごめんだと、その話を断わってしまう。
サンタフェでの2夜目。ショーは大盛り上がりで終わる。深夜1時にジーンと待ち合わせ、2人きりで飲んだ。そして、親密さを深めつつ惹かれ合って一夜を共にする2人。翌朝はジーンの自宅で朝食を摂った。4歳の息子バディ(ジャック・ネイション)とも仲良くなり、バッドは次の約束をして別の営業先へと向かった。
結局、問題のホテルでのショーへ出演することにしたバッド。リハーサルを済ませ、食事を摂っているとレストランにトミーが現われる。バッドをよそにトミーへと言い寄るファンたち。トミーは自分の恩師ともいうべきバッドを尊重しているが、ファンはそんなことなどお構いなし。トミーは以前から恩師のバッドと組んでツアーを回りたいと思っているようだが、バッドはずっと断わり続けていた。
新たな人生を歩むには、まとまった金が必要だと言うバッド。それなら新曲を作れと言うトミー。だが、バッドはかつての情熱もどこかへ失せてしまい、新曲を作る気力が湧かないのであった。
その夜、バッドのショーにトミーが乱入してくる。トミーは恩師を思い、復活のチャンスを与えようとしているようだが、バッドはその思いを素直に受け入れることができなかった。
翌日、2日ほどの休暇ができたため、ジーンの元へ向かおうとしたバッドだったが、疲れからか運転中に居眠りをしてしまい、交通事故に遭ってしまう。気付いた時には、サンタフェの病院でベッドの上だった。足首の骨折と脳震盪を起こしているらしい。医師によれば、怪我は治るが、今の生活を続けていると内臓疾患や卒中で死ぬ可能性が高いとのこと。アルコール依存症を指摘され、煙草と酒に禁止令。更に減量を言い渡される。だが、バッドには酒をやめるという選択肢がなかった。
退院後はジーンの自宅で過ごすことにしたバッド。彼女のベッドでギターを片手にお遊び程度の歌を唄っていると、ジーンから不安を吐露される。歌手であるバッドは地方やツアーで各地を駆け回っているが、ジーンは自宅でただバッドが訪れるのを待つだけ。忘れられるかもしれないのが不安だと言う。ジーンもバッドも過去に結婚で失敗をしている。互いに合意の上で結婚はしないことにした―。
後日、ジャックに電話すると契約更新で好条件が提示されたと知らされる。それもトミーの口添えによるものだった。動けるまでに回復したらヒューストンに戻れ、と言われる。回復するまでしばらくの間、ジーン親子と過ごし、自宅があるヒューストンへ戻ったバッド。
ジーン親子と出会ったことで、気持ちに変化が現われる。彼の中に潜む「荒ぶる魂(クレイジー・ハート)」に少しずつ希望が湧き上がる…。バッドは帰宅早々、新曲作りに取りかかった。そして、別れた妻と息子に会いたいと電話するも、妻は早逝しており息子からは会いたくないと言われてしまう。
休暇が取れたとのことで、ジーン親子がヒューストンへ来てくれた。バッドは大喜びで2人を迎える。翌日は3人で水族館へ。子育てで疲れているジーンを思い、バッドはバディの面倒を代わりに見ることにした。しかし、休憩に入ったバーで酒を飲んでいる間に彼を見失ってしまう。人が多い大都市で、幼い子供を捜すのは大変なこと。バッドは治りかけの足を引き摺りながら、方々を捜して回ったが、見つけられない。彼は警官に助けを求めた。
ジーンと落ち合ったが、バッドが酒を飲んでいたため、彼女は激怒。無事に息子のバディは見つかるも、バッドに失望したジーンは、荷物をまとめてバディ共にサンタフェへ帰ってしまう。
自分がしたことを深く悔いたバッドは、自ら禁酒を決意。友人ウェイン(ロバート・デュバル)の助けを借りて、アルコール依存症のセラピーへ通うことにした。ウェインも以前はアルコール依存症だった。彼はセラピーに通い、見事に依存症を克服していた。友人に励まされ、依存症と戦うバッド。
しばらくして、アルコールに打ち勝ったバッドは、ジーンの元を訪ねることにした。しかし、彼女はバッドを拒絶。失意の元、自宅に戻ったバッドは、庭の手入れや家の掃除を徹底的に行ない、気を紛らわせる。そうこうして、自らの内に自然と歌が湧いてくることに気付くバッド…。
1年と4カ月後。精神的にも身体的にも復活したバッドは、トミーに楽曲を提供することで安定した生活を送ることができていた。トミーのライブを見学した彼は、会場を出たところで女性記者に声をかけられる。ジーンだった。彼女の左手の薬指には、指輪が光っている。どうやらあの後、良い人と巡り会えたらしい。バッドとジーンは笑顔で、互いに積もる話をするのだった―。

▼予告編



音符 Ryan Bingham “The Weary Kind (theme from Crazy Heart)” :
(“The Weary Kind” is a country song written by Ryan Bingham and T-Bone Burnett for the film Crazy Heart.)
2010年8月13日(金)吉祥寺東宝(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、15:00~鑑賞。

※東亜興行が1954(昭和29)年9月、東京都武蔵野市の吉祥寺地区に吉祥寺オデヲン座を新築・開館。78年10月に、同地を吉祥寺東亜会館に建替え、会館内に吉祥寺松竹オデヲン(地下1階)、吉祥寺スカラ座(3階)、吉祥寺セントラル(5階)、吉祥寺アカデミー(2階)の4館を開館、パチンコ店吉祥寺ゲームセンターを開業。1981年前後、吉祥寺松竹オデヲンを吉祥寺松竹、吉祥寺アカデミーを吉祥寺アカデミー東宝と改称。1990年前後、吉祥寺アカデミー東宝を吉祥寺東宝、吉祥寺松竹を吉祥寺オデヲン座と改称。2012年1月21日、同会館内の全4つの映画館を吉祥寺オデヲンと統一・改称。同年8月31日、同会館内の地下の映画館(旧・吉祥寺オデヲン座)を廃止、全3スクリーンとなる。

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 141分


「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」

フジテレビ製作の連続テレビドラマ『踊る大捜査線』の劇場版第3作。係長になった青島刑事が、新しい湾岸署への引越し中に起きた数々の難事件に巻き込まれる姿を描く。監督は、前2作に引き続き本広克行。キャストは、青島を演じた織田裕二、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、柳葉敏郎らが続投し、内田有紀と故いかりや長介が演じた和久平八郎のおいっ子として伊藤淳史が新たに加わる。

ストーリー
湾岸署を襲った最悪の猟奇的連続殺人事件から7年。お台場は外国からの要人が降り立つ空港が近く、高速道路や変電所などのライフラインもあるため、今やテロリストの格好の標的となっていた。その対策として、湾岸署は高度なセキュリティシステムを導入した新湾岸署への引越しを決定。その業務を一任されたのは、強行犯係係長に昇進した青島俊作(織田裕二)であった。新湾岸署の開署式まであと3日と迫る中、青島は部下の篠原夏美(内田有紀)や和久伸次郎(伊藤淳史)らとともに大わらわで引越し作業に取り組んでいた。だが、何とその真っ最中に、湾岸署内で次々と事件が発生。金庫破りやバスジャック、さらには青島や恩田すみれ(深津絵里)らの拳銃が3丁盗まれ、連続殺人事件へと発展していく。湾岸署には特別捜査本部が設置され、管理補佐官の鳥飼誠一(小栗旬)とともに青島は捜査を開始。しかし、必死の捜査もむなしく遂には湾岸署が占拠されてしまう。開署式を翌日に控え、青島ら湾岸署員は被疑者を確保することができるのか…。

▼予告編

2010年8月2日(月)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、19:00~鑑賞。

「マイ・ブラザー」

作品データ
原題 Brothers
製作年 2009年
製作国 アメリカ
配給 ギャガ
上映時間 105分


スサンネ・ビア監督の2004年のデンマーク映画『ある愛の風景』をトビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマンら豪華キャストでハリウッド・リメイクしたヒューマン・ドラマ。戦地での体験によって心に大きな傷を抱えて帰還した男の苦悩と、それを受け止めようと葛藤する家族の姿を情感豊かに綴る。監督は『マイ・レフトフット』『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』 のジム・シェリダン。

ストーリー
サム(トビー・マグワイア)とトミー(ジェイク・ギレンホール)は、2人きりの兄弟だが、対照的な人生を送っていた。アメフトのスター選手として学生時代を過ごした兄のサムは、チアリーダーのグレース(ナタリー・ポートマン)と結婚、2人の娘に恵まれる。その後、米軍大尉として功績を残し、人望も厚い男だった。一方、弟のトミーは長年定職にも就かず、あげくの果てに銀行強盗で服役する。トミーの出所日、サムは数日後に戦地への出発を控えていたが、車で弟を迎えに行く。だが、出所したトミーの居場所はどこにもなかった。元海兵隊の父・ハンク(サム・シェパード)は、厄介者の次男に辛辣な言葉を投げつけ、グレースと娘たちも彼への嫌悪を隠そうとしない。トミーが唯一心を開くのは、母親を亡くし、寂しい子供時代を共に支え合ったサムだけであった。ところが、サムが戦地へ旅立って間もなく、サムの一隊がアフガニスタンで撃墜されたとの知らせが届く。現実から逃げるかのように酒に溺れるトミー。そんな彼は次第に、兄が何よりも大切にしていたグレースと娘たちを、自分が支えなくてはと思い始める。以前からグレースが使いづらいと嘆いていたキッチンのリフォームを進めるうちに、娘たちは徐々に笑顔を取り戻し、最初は迷惑そうだったグレースの気持ちも救われていく。グレースの誕生日にキッチンを完成させてからも、トミーは手直しを口実にグレースたちを訪ねる。そして、ある夜、初めて本音を語り合ったトミーとグレースはどちらからともなく唇を重ねるのだった。罪悪感を覚えながらも、互いに惹かれていく2人に、ある日一報が届く。戦死したはずのサムが生きていたのだ。グレースやトミーたちは、空港に降り立つサムの痩せ細った姿に驚きながらも再会を祝う。だが、サムはもはや以前のサムではなかった。戦場での体験が原因で、PTSDを患い突然わけもなく激怒しては、娘たちを脅えさせる。やがて、彼は執拗にトミーとグレースの仲を疑い始めるのだった…。

▼予告編

2010年8月2日(月)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、16:10~鑑賞。

「エアベンダー」

作品データ
原題 The Last Airbender
製作年 2010年
製作国 アメリカ
配給 パラマウント 
上映時間 124分


『シックス・センス』のM・ナイト・シャマランが、米TVアニメ『アバター 伝説の少年アン』を実写映画化。気、水、土、火という4つの国が存在する世界を舞台に、戦乱の世に調和をもたらす“エアベンダー”の少年アンの戦いの物語が展開する。主人公アン役の新星ノア・リンガーほか、『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテルらが出演。

ストーリー
かつて、気、水、土、火の4つの王国により均衡を保っていた世界。それぞれの王国には気、水、土、火のエレメントを操ることができる“ベンダー”と呼ばれる者たちがいた。中でも、4つのエレメント全てを操り、世界に調和をもたらすことのできるベンダーは、“アバター”と呼ばれて崇められていた。アバターは4つの王国から順番に誕生することになっており、さらに、アバターになるためには多くの犠牲を払わなければならなかった。ある時、火の王国が反乱を起こし、世界の秩序は崩壊。100年に及ぶ戦乱の時代に突入する。アバターが誕生する予定になっていた気の王国は、火の王国の攻撃によって全滅。アバターになるための修行を重ねていた12歳のアン(ノア・リンガー)は、氷に閉じ込められてしまう。100年後。眠りから目覚めたアンは、水の王国のベンダーである少女カタラ(ニコラ・ペルツ)と兄のサカ(ジャクソン・ラスボーン)に出会い、一緒に世界に調和をもたらす宿命の旅に出ることになる。一方、世界征服を企む火の王国の王オザイ(クリフ・カーティス)は、心優しい王子ズーコ(デヴ・パテル)に、アンを捕らえてくるまで戻らぬようにと、命令を下す。水の王国で水の技の修行に励むアン、カタラ、サカの前に立ち塞がるズーコとその軍団。戦場と化したこの国で、王女ユエ(セイチェル・ガブリエル)はある壮絶な決意を固める。その頃、火の王国の侵略を受けつつある土の王国では、土のエレメントを操るアースベンダーたちが囚われの身となっていた。窮地を脱し、この地に辿り着いたアンの一行は、アースベンダーたちのその姿に“自分たちの力を信じて、ともに立ち上がり戦おう”と訴える…。果たして、アンは自らの過酷な運命を克服し、アバターとなって世界に再び安定と調和をもたらすことができるのか…?

▼予告編

2010年8月2日(月)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、13:05~鑑賞。

「あの夏の子供たち」

作品データ
原題 Le pere de mes enfants
製作年 2009年
製作国 フランス
配給 クレストインターナショナル
上映時間 110分


映画プロデューサーだった父の突然の自殺に直面し、遺された家族がそれぞれの形でその悲劇を乗り越えていく姿を優しく見つめた感動ドラマ。監督はこれが長編2作目のミア・ハンセン=ラブ。出演は『スリープレス』のキアラ・カゼッリ、『不完全なふたり』のルイ=ドー・ド・ランクザン、『夏時間の庭』のアリス・ド・ランクザン、エリック・エルモスニーノなど。

ストーリー
携帯電話を片手にパリの街を足早に歩く、映画プロデューサーのグレゴワール・カンヴェル(ルイ=ドー・ド・ランクザン)。映画製作会社ムーン・フィルムを経営する、映画愛とユーモアに満ちた彼は、精力的に働く“仕事人間”ながら、家に帰れば家族を愛する良き父親でもあり、週末は妻シルヴィア(キアラ・カゼッリ)と3人の娘たちと共にパリ近郊の別荘で過ごしていた。思春期の長女クレマンス(アリス・ド・ランクザン)、父親譲りのユーモアを持つ次女ヴァランティーヌ(アリス・ゴーリエ)、末娘のビリー(マネル・ドリス)。今週末も一家は幸福な時間を満喫していた。
週明け。グレゴワールは現像所への負債が100万ユーロに上ったことを弁護士から聞かされる。さらに彼がプロデュースを務める新作映画『サトゥルヌス』の撮影現場から、スタッフが賃金未払いでストを起こすという電話が入る。実はムーン・フィルムの経営は、他に手がけた映画の興行不振で悪化の一途をたどっており、方々に負債や未払いが蓄積していた。結局、『サトゥルヌス』のスタッフには小切手を2枚出し、1枚はすぐに現金化しないように忠告、賃金を分割払いにするという苦肉の策であった。そんな中でも、グレゴワールはアルチュール(イゴール・ハンセン=ラブ)という新人監督が持ち込んだ『偶然の家族』の脚本に魅せられ、映画化の検討を進めていた…。だが、グレゴワールは多額の借金と未完成の映画を残し、突然自ら命を絶ってしまう。幸せな日々が一転、衝撃と絶望の中で葛藤する母娘たち。シルヴィアは気丈に振る舞い、ムーン・フィルムの建て直しを決意するが、クレマンスは父の死を受け止める手段を探していた。そして、ヴァランティーヌは父の残した温もりを求め、ビリーはまだ父の死を理解できないでいた…。

▼予告編