「映画」再訪―時間の王国を生きる

「映画」再訪―時間の王国を生きる

私は映画を見終わったあと、“時間”の王国に生きる自分を発見する。時は容赦なく、すべての人間を順繰りに運び去る地上の王である。私はかつて見た映画を見直し・感じ直し・出会い直しながら、誰も逃れることのできない時間というものの持つ諸相を引き寄せてみたい。

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2010年6月7日(月)吉祥寺プラザ(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19、JR吉祥寺駅北口サンロード突き当たり左)で、17:00~鑑賞。

「THE LAST MESSAGE 海猿」

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 129分


命懸けの人命救助に臨む海上保安庁の潜水士たちの活躍を描いた劇場版第3弾にしてシリーズ完結編となる海洋エンタテインメント。今回は巨大天然ガスプラントで発生した火災現場に駆けつけた潜水士たちが決死の救助活動に挑み、絶体絶命の局面から生還への道を探っていく。シリーズを通じ、監督を羽住英一郎、主演を伊藤英明が務める。

ストーリー
2010年10月、福岡沖は極限の緊張状態に包まれていた。大型台風が接近している中、巨大天然ガスプラント施設「レガリア」で事故が発生し、火災が起こっていたのだ。
「レガリア」は日韓共同の施設で、ロシアからも技術提供を受け、1500億円もの予算がつぎ込まれた国家規模の重要プロジェクト。仙崎大輔(伊藤英明)はバディの吉岡(佐藤隆太)、そして「レガリア」設計主任である桜木(加藤雅也)と共に同施設へ向かっていた。要救助者の救出が行なわれる中、突然思いもよらない爆発が「レガリア」を襲う。これによって、大輔、桜木、医師の西沢(吹石一恵)と作業員の木嶋(濱田岳)が「レガリア」内に残され、逃げ場を失ってしまう。その窮地を、第七管区機動救難隊の服部(三浦翔平)が救った。
しかし、すでにヘリも船も同施設に近づけず、安全な場所は無くなっていた。そんな時、自分を落ち着かせ、奮い立たせるべく大輔が見つめるのは、妻となった環菜(加藤あい)と、生後10か月の長男・大洋の写真だった。大輔は知り合ったばかりの服部とバディを組み、全員で無事帰還する道を探るのだが…。

▼予告編

2010年10月7日(木)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf. 本ブログ〈2016年05月03日〉)で、12:40~鑑賞。

「ガフールの伝説」

作品データ
原題 Legend of the Guardians:The Owls of Ga'Hoole
製作年 2010年
製作国 アメリカ/オーストラリア
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 97分


『300 スリーハンドレッド』『ウォッチメン』のザック・スナイダー(Zack Snyder、1966~)監督がアニメーション初メガホンを執ったファンタジー・アドベンチャー。キャスリン・ラスキー(Kathryn Lasky、1944~)の子ども向けベストセラー小説シリーズ“Guardians of Ga'Hoole”を映画化。フクロウの世界を舞台に、世界征服を企む組織“純血団”と戦う若きフクロウたちの姿を壮大なスケールで描き出す。CG技術を駆使した迫力の戦闘シーンや飛行シーンが満載!ヘレン・ミレン、ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、アビー・コーニッシュらが声優を務める。

ストーリー
父の語る“ガフールの勇者たち”の伝説に夢中になる正義感の強い若きフクロウ、ソーレン(声:ジム・スタージェス)。ある日、彼は兄のクラッド(ライアン・クワンテン)と共に謎の一味にさらわれてしまう。それは“純血団”という、自分たちメンフクロウこそ最も優れた種族と信じ、世界征服を狙う排他的な悪の集団。ガフールの勇者たちは、この一味の陰謀を阻止すべく長年に渡って戦い続けていたのだった。親友のジルフィー(エミリー・バークレー)と共に何とか純血団のもとを脱走したソーレンは、王国の危機を知らせるため、ガフールの勇者たちが住んでいるとされる“ガフールの神木”を目指すのだが…。

▼予告編



ザック・スナイダー監督解説付き特別映像

2010年9月30日(木)吉祥寺東宝(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、16:20~鑑賞。

※東亜興行が1954(昭和29)年9月、東京都武蔵野市の吉祥寺地区に吉祥寺オデヲン座を新築・開館。78年10月に、同地を吉祥寺東亜会館に建替え、会館内に吉祥寺松竹オデヲン(地下1階)、吉祥寺スカラ座(3階)、吉祥寺セントラル(5階)、吉祥寺アカデミー(2階)の4館を開館、パチンコ店吉祥寺ゲームセンターを開業。1981年前後、吉祥寺松竹オデヲンを吉祥寺松竹、吉祥寺アカデミーを吉祥寺アカデミー東宝と改称。1990年前後、吉祥寺アカデミー東宝を吉祥寺東宝、吉祥寺松竹を吉祥寺オデヲン座と改称。2012年1月21日、同会館内の全4つの映画館を吉祥寺オデヲンと統一・改称。同年8月31日、同会館内の地下の映画館(旧・吉祥寺オデヲン座)を廃止、全3スクリーンとなる。

「十三人の刺客」

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 141分


時代劇映画の名作との呼び声も高い1963年公開の片岡千恵蔵主演、工藤栄一監督による『十三人の刺客』を、約半世紀の時を経て、『クローズZERO』『ヤッターマン』の三池崇史監督が現代風に再構築した時代劇エンターテイメント大作。江戸幕府史上最悪の暴君を暗殺するため、13人の刺客たちが命を懸けた一世一代の戦いに臨む姿を描く。主演『Shall we ダンス?』の役所広司、共演に稲垣吾郎、山田孝之、伊勢谷友介、市村正親、松本幸四郎、松方弘樹、平幹二朗。

ストーリー
一、密命
江戸時代末期。明石藩江戸家老・間宮図書(内野聖陽)が、老中・土井家の門前で切腹自害した。間宮の死は、生来の残虐な性質で罪なき民衆に不条理な殺戮を繰り返す、明石藩主・松平斉韶(稲垣吾郎)の暴君ぶりを訴えるものだった。斉韶は将軍・家慶の弟で、明年には老中への就任が決まっている。この事件は時の幕閣を動揺させる。このままでは幕府、ひいては国の存亡に関わると判断した土井利位(平幹二朗)は斉韶暗殺を決断、御目付役・島田新左衛門(役所広司)にその命を下した。

二、刺客集め
大事決行を控え、新左衛門は刺客集めに奔走。御徒目付組頭・倉永左平太(松方弘樹)、剣豪浪人・平山九十郎(伊原剛志)、酒と女と博打に溺れる新左衛門の甥・新六郎(山田孝之)など十一人の強者たちが新左衛門の元に集う。暗殺計画は極秘裏に進められていたが、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛(市村正親)はその情報を掴む。かつて新左衛門と剣の同門でありながらも道を違え、御用人千石の身分を自分で掴んだ傑物である。かくして鬼頭と新左衛門の謀略戦が始まる!

三、落合宿を要塞化
新左衛門は斉韶を襲うのは、江戸から明石への参勤交代の帰国の道中しかないと判断。襲撃場所を交通の要所の落合宿に決める。明石藩一行の尾張藩への通行を阻止すれば、行列は新左衛門が襲撃の場所に選んだ落合宿に出るはず。斉韶を落合宿に誘い込むため新左衛門は事の詳細を、かつて自分の息子と嫁を斉韶に殺された尾張藩の木曽上松御陣屋詰・牧野靭負(松本幸四郎)に打ち明け協力を求めた。刺客たちは現地へ急行し、明石藩を迎え撃つ要塞へと落合宿を改造する。道中、山の民・木賀小弥太(伊勢谷友介)がこの計画に加わり、落合宿にて総勢13人の刺客が揃う。

四、最終決戦
しかし、明石藩の一行は待てども待てども落合宿にやって来ない。新左衛門の計略は失敗に終わったかに思えたその矢先、敵は200騎以上の護衛を用意してやって来た。鬼頭は大切な殿を守り抜くべく兵を蓄え、この戦いに備えていたのだ。混乱の中、明石藩の退路を断つ大橋が爆破され、想像を絶する壮絶な戦いの火蓋が切って落とされる。新左衛門ら13人の刺客VS斉韶一行総勢300人超の武士!!その激突・死闘の行方やいかん…。

▼予告編



▼ cf. オリジナル版『十三人の刺客』(監督:工藤栄一、配給:東映、上映時間:125分、日本公開:1963年12月7日) プレビュー :
【片岡千恵蔵(1903~83)主演(「島田新左衛門」役)のオリジナル(1963年)版は、日本の映画史上に残る傑作時代劇の一つ。実録タッチの作風による「集団抗争時代劇」として有名で、約30分に及ぶクライマックスの13人対53騎の殺陣シーンは、時代劇映画史上最長とされた。私が同作を観たのは、いつだったか、1963年の公開直後だったか?本作リメイク(2010年)版を鑑賞しながら、青春時代に観たオリジナル版の懐かしい記憶がちらちらと浮かび上がってくるのだった…。】
2010年9月30日(木)ル・シネマ(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura6F、JR渋谷駅ハチ公口より徒歩7分)で、13:10~鑑賞。

「終着駅 トルストイ最後の旅」

作品データ
原題 The Last Station
製作年 2009年
製作国 イギリス/ドイツ/ロシア
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間 112分


ロシアの文豪レフ・トルストイ(Lev Nikolayevich Tolstoy、1828~1910)の晩年を映画化した伝記ドラマ。原作は、ジェイ・パリーニ(Jay Parini、1948~)“The Last Station:A Novel of Tolstoy's Last Year”(1990)(篠田綾子訳『終着駅 トルストイの死の謎』〈晶文社、1996年〉/新潮文庫で2010年再刊にあたり『終着駅 トルストイ最後の旅』と改題)自らの財産をめぐってトルストイ主義者と呼ばれる信奉者たちと激しく対立していく妻ソフィヤに辟易しながらも、長年連れ添った夫婦ならではの決して一筋縄ではいかない愛の形を、秘書として新たに派遣されてきた理想主義の青年の視点からユーモアを織り交ぜ感動的に綴る。出演はトルストイ役に『ドラキュリア』のクリストファー・プラマー、その妻ソフィヤに『クィーン』のヘレン・ミレン、そして若い秘書ワレンチンに『つぐない』のジェームズ・マカヴォイ。監督は『真夏の夜の夢』のマイケル・ホフマン。ヘレン・ミレンとクリストファー・プラマーは、それぞれ本作で第82回アカデミー主演女優賞と助演男優賞にノミネートされた。

ストーリー
 『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』など数々の著作で知られるロシアの文豪トルストイ(クリストファー・プラマー)。比類なき文学的才能と家柄、作家としての名声。莫大な印税と多くのものに恵まれた彼はなぜ、82歳で家出し名も無き田舎の駅で客死せざるをえなかったのか。始まりは、彼が弟子のウラジミール・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)に勧められて書き残した遺書にあった。トルストイの作品に関するすべての権利を家族ではなくロシア国民に与えるというその内容は、妻ソフィヤ(ヘレン・ミレン)との関係を思いがけぬ方向に導いていく…。
“世界三大悪妻”と名高い~ギリシャの哲学者ソクラテスの妻・クサンティッペ/オーストリアの音楽家モーツァルトの妻・コンスタンツェと並ぶ~ソフィヤ。しかし、すべては女としてトルストイを愛し、母として家族を守るための行動だった―。

▼予告編



◆ cf. 森山京子「トルストイの妻は本当に悪妻だったのか」―これは、私の共感を呼ぶ映画レポート (映画.com-2010年9月7日) である :

≪犬も食わない夫婦喧嘩に他人が介在するとどうなるか。この映画は、トルストイの公人としての側面が、家庭の問題を思想的な深い溝に変えてしまった実例と見ると、なかなかに面白い。晩年のトルストイは階級制度や私有財産を否定し、人道主義と非暴力によって理想の世界を築くトルストイ主義の教祖的な存在になっていた。
というわけでやたらと取り巻きが多い。家の周りには新聞記者やカメラマンがうようよいる。今で言うパパラッチだ。そんななかで、一番弟子チェルトコフに説得されて全著作権をロシア国民に与えようとするトルストイと、反対するソフィア夫人との間で夫婦喧嘩が勃発。ソフィアに泣きつかれると決意が鈍り、理想のためとチェルトコフにせっつかれるとまたもやその気になるトルストイ。結局彼は解決を放棄して家出。ソフィアは世界三大悪妻の一人として名を残すことになる。教科書的には悩んだ末にやむなく取った行動と言われているが、この映画を見る限り、自分ひとり良い子になって問題から逃げたようにしか見えないのがおかしい。若い時は地位と財産を享受して放蕩三昧だったのに歳を取ったら理想主義。彼の思想そのものは立派だが、ご本人にはご都合主義と男のずるさがちらつくのもご愛敬だ。
物語の語り手はトルストイの秘書に雇われた青年ワレンチン。ナイーブな彼の感性は、トルストイとソフィアの深い愛を素直に受け止める。男のしかたなさにも、女のせつなさにもちゃんと目配せしているのが嬉しい。≫
2010年9月24日(金)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、13:35~鑑賞。

「バイオハザードIV アフターライフ」

作品データ
原題 Resident Evil:Afterlife(サブタイトルの「アフターライフ」はあの世、死後の世界を意味する。)
製作年 2010年
製作国 イギリス/ドイツ/アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間 97分


ミラ・ジョヴォヴィッチが最強ヒロインを演じて大ヒットしたSFアクション『バイオハザード』シリーズで、初の3D仕様となる第4弾。シリーズとしては2007年公開の前作『バイオハザードIII』より、約3年ぶりとなる。前作から1年後の世界であり、主な舞台として東京都渋谷、アラスカ、ロサンゼルスが登場する。ウイルス感染により破壊された世界を舞台に、生き残った人間を救うために立ち上がったヒロインの熾烈な死闘を描く。共演は前作に続いての登場となるアリ・ラーター。監督は、これまでシリーズ全作の脚本を手がけ、監督としては1作目以来満を持しての再登板となるポール・W・S・アンダーソン。

ストーリー
近未来、東京・渋谷からT-ウイルスの感染が始まる。それから5年後、ウイルスによりアンデッド/ゾンビ(Undead/Zombie)が溢れ返る荒廃しきった世界で、人類は滅亡の危機に瀕していた。感染を逃れるには、唯一の安全地帯とされる“アルカディア”~ウイルス感染なし、食糧ありの別天地!?~を目指すしかない。アンブレラ社の秘密研究所でウイルス兵器の開発に関わっていたアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、唯一T-ウイルスの取り込みに成功し、強力なパワー、猛スピード、異常な治癒力を獲得した。アルバート・ウェスカー(ショーン・ロバーツ)率いる地球に残る唯一の組織・アンブレラ社は、その彼女のDNAを用いてクローンを増産しようと画策している。アリスは世界中を旅しながら、数少ない生存者を捜していた。やがて、ウイルスに支配されない“安全な場所”への手がかりを得て、ロサンゼルスに向かう。LAは地獄絵そのものだった。街はおびただしい数のアンデッドに埋め尽くされ、わずかに生き残った人々は刑務所に隠れるように暮らしている。彼らをその刑務所から脱出させて、湾岸に停泊している“アルカディア号”~アルカディアは地名でなく船名だった!~へ乗せるため、アリスは危険な罠に足を踏み入れた。ウイルス感染の元凶であるアンブレラ社とアリスの戦いは、新たなステージ(=アフターライフ)を迎えていた…。

▼予告編



Prison Roof Shoot-Out

2010年9月17日(金)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、14:10~鑑賞。

「マザー・テレサ」 (2)

作品データ
原題 Mother Teresa
製作年 1986年
製作国 アメリカ
上映時間 83分

日本初公開 1988年10月8日

「マザー・テレサ」 (1)

貧困や病に苦しむ人々の救済に生涯を捧げ、1979年にノーベル平和賞を受賞した修道女マザー・テレサ(Mother Teresa、1910~97)の、5年間10か国における精力的な活動と、彼女の生いたちから現在の活動にまで至った経過を描くドキュメンタリー。あらゆる困難を乗り越え、世界中に愛を届けた一人の女性の記録。製作・監督はアン・ペトリとジャネット・ペトリ、撮影はエド・ラックマンとサンディ・シセル、音楽はスザンヌ・シアーニ、語りはリチャード・アッテンボローが担当。2007年9月より、<マザー・テレサ・メモリアル 没後十周年記念>として「デジタル復刻版」で全国巡回ロングラン上映(日本再公開)。

ストーリー
米国ABCテレビのプロデューサー兼脚本家として活躍するペトリ姉妹が、悪疫と飢餓に悩むインド・コルカタ(カルカッタ)、戦禍渦巻く中東レバノン、麻薬と暴力の街米国NYなど10か国に及ぶマザー・テレサの活動に5年間同行し取材・撮影。
マザー・テレサことアグネス・ゴンジャ・ボヤジュ(Antigona Gongea Boiagi)は1910年8月26日、オスマン帝国のユスキュプ(現・北マケドニアのスコピエ)にて、この地区では珍しい敬虔なカトリック教徒の両親の間に生まれた。18歳で故郷のユスキュプを離れ、アイルランドにてロレット修道女会に入会。ダブリンで修道女としての基礎教育を受ける。29年1月にインドに渡り、コルカタの聖マリア学院で教鞭を執る。31年に初誓願を立て、修道名を「テレサ」とする。37年の終生誓願で、生涯修道女として過ごすことを誓い、以来「シスター・テレサ」と呼ばれるようになる。
大きな転機が訪れたのは、彼女が36歳の時だった。1946年9月10日、コルカタからダージリンに向かう汽車に乗っていた際に、「すべてを捨て、“貧しい人々の中でも最も貧しい人々”に仕えるように」という神のお告げを受ける。そして、修道服を脱ぎ~ロレット修道会を退会~、インド女性の着る質素なサリーを身に纏(まと)い、僅かなお金と共にコルカタのスラム街へ入っていったのは48年のこと。手始めに学校に行けないホームレスの子供たちを集めて街頭での無料授業を行なった。やがて50年、教え子たちがボランティアに集まったことや、地域の後押しもあり、彼女が独自に創設した修道会「神の愛の宣教者会(Missionaries of Charity)」がコルカタ教区(大司教)によって認可される。同会の目的は「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」ことであった。シスター・テレサはこの頃から、会のリーダーとして「マザー・テレサ」と呼ばれるようになる。
52年に、インド政府の協力でヒンドゥー教の廃寺院を譲り受けたマザー・テレサは、「死を待つ人々の家」というホスピス~貧困や病気などで死にそうになっている人の最期を看取るための施設~を、コルカタに開設。ここで死を迎える人は、生命のあるうちに当人の信仰している宗教を尋ねられ、その者の宗教のやり方で葬儀が営まれる(なお、そこに収容された人々の全てがそのまま死を迎えるわけではなく、約半数の人々は無事に回復して施設から出ているという)
65年、「神の愛の宣教者会」がローマ教皇パウロ6世から認可を受ける。インド全土に及びつつあった同会の活動は、これ以降ベネズエラを皮切りにインド国外に広がり、全世界規模で展開されていく。

映画は、“偉大なる聖女”と呼ばれ、世界中の人々から敬愛されたマザー・テレサの人生~生きざま~を、淡々と、かつ着々と描いていく―。

▼<列聖記念 マザー・テレサ映画祭>劇場予告編


【2010年1月16日~2月14日、マザー・テレサ生誕100年を記念し、<マザー・テレサ映画祭>が東京都写真美術館ホールで開催された。そして、2016年9月10日~30日、同3月にテレサがローマ・カトリック教会で最高位の崇敬対象となる「聖人」に認定されたことを記念し(同9月4日、その列聖式がバチカンで執り行なわれた)、同ホールで<マザー・テレサ映画祭>が再びの開催となった。<生誕100年記念>映画祭でも<列聖記念>映画祭でも、テレサの奇跡ともいえる愛に満ちた活動を記録した、以下のような、現存する国内外の珠玉のドキュメンタリー作品7本が一挙特集上映された。
『すばらしいことを神さまのために〜Something Beautiful For God〜』(監督:ピーター・シェファー、1969年)→『マザー・テレサとその世界』(監督:千葉茂樹、1979年)→『マザー・テレサの祈り 生命(いのち)それは愛』(監督:千葉茂樹、1981年)→『マザー・テレサ 母なることの由来』→『マザー・テレサの遺言』(監督:マーセル・バウアー、1996年)→『マザー・テレサ 母なるひとの言葉』(監督:アン・ペトリ&ジャネット・ペトリ、2004年)→『マザー・テレサと生きる』(監督:千葉茂樹、2009年)。】

▼ cf. マザー・テレサの日本人へのメッセージ(期日:1984年11月23日、場所:岡山カトリック教会) :
(テレサは1981年4月22日に初来日、計3回~2度目は1982年、3度目は1984年~来日した。)
2010年9月16日(木)テアトル新宿(東京都新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F)で、14:50~鑑賞。

「キャタピラー」

作品データ
英題 Caterpillar(「キャタピラー」とは、芋虫の意で、戦争で四肢を失った黒川久蔵のことを指す)
製作年 2010年
製作国 日本
配給 若松プロダクション/スコーレ
上映時間 84分


 『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』の若松孝二監督による反戦・人間ドラマ。戦争に翻弄された1組の夫婦の姿を通して戦争がもたらす愚かさと悲劇を描く。主演は本作の演技で第60回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いた寺島しのぶ。

ストーリー
1940年、とある農村に住む青年である黒川久蔵(大西信満)が、勇ましく戦地へと出征した。日中戦争の激化に伴い赤紙が届き、村人に盛大に見送られて。それから4年後、傷痍軍人の黒川久蔵が、帰還した。勲章をぶら下げ、軍神となって。かつて暴君として妻のシゲ子(寺島しのぶ)を殴ったその手も、妻を蹴り上げたその足も、戦地で失い、焼けただれた顔と胴体だけの、まるで芋虫(キャタピラー)のような姿になって。
銃後の妻の鑑たれ!家庭は最後の決戦場なり! 口もきけず、耳も聞こえず、身動きのできない体となっても男の性欲は変わらなかった。女は毎日、男の上にまたがった。口に粥を流し込み、糞尿の世話をし、男の下半身にまたがり、銃後の妻の日々は過ぎていく。食べて寝て交わって…その繰り返しが続く。
稲穂が頭を垂れる秋、そして冬から春へ。日本の輝かしい勝利ばかりを報道するニュースの裏で、東京大空襲、米軍沖縄上陸と敗戦の影は着実に迫ってきていた。久蔵の脳裏に、忘れかけていた戦場での光景が蘇る。燃え盛る炎に包まれる中国の大平原。逃げ惑う女たちを犯し、銃剣で刺し殺す日本兵たち。戦場で人間としての理性を失い、蛮行の数々を繰り返してきた自分の過ちに苦しめられ混乱していく久蔵。
1945年8月6日、広島への原爆投下→9日、長崎への原爆投下→15日正午、天皇の玉音放送。畑仕事をしているシゲ子のところへ、村人の間では変人として敬遠されている男・クマ(篠原勝之)が現われ、日本が降伏したと伝える。戦争を忌み嫌っていた彼は、「戦争が終わった、バンザーイ!」と叫び、シゲ子も晴れ晴れとした表情でそれに続く。一方、久蔵は自宅から芋虫のように、泥にまみれながら這い出し、庭の池に向かっていく。池を覗き込むと、そこには自分の無残な顔が映し出された。彼は少しずつ池の中へと進入、自ら死を選ぶのだった―。

▼予告編



若松孝二監督(1936~2012)インタビュー ①→②→③ :



2010年9月16日(木)新宿バルト9(東京都新宿区新宿3-1-26 新宿三丁目イーストビル9F、JR新宿駅南口徒歩5分)で、12:00~鑑賞。

「悪人」

作品データ
製作年 2010年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 139分


第61回毎日出版文化賞と第34回大佛次郎賞をダブル受賞した吉田修一の同名小説を『涙そうそう』の妻夫木聡と『博士の愛した数式』の深津絵里主演で映画化したヒューマン・ミステリー・ドラマ。殺人事件を起こした孤独な男と、彼と共に逃避行に及ぶ女との狂おしい愛を描く。『フラガール』の李相日監督が原作の重厚な世界観をそのままに、人間の善悪をえぐり出す。共演は満島ひかり、岡田将生、樹木希林、柄本明。第34回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門に正式出品され、深津絵里が最優秀女優賞を受賞。

ストーリー
長崎の寂れた漁村で友人も恋人もなく、祖父母の面倒を見ながら暮らす土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)。ある日、福岡の保険外交員の女性・石橋佳乃(満島ひかり)を不運が重なった結果、殺害してしまう。そして殺害後、佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)と出会う。
佳乃とも光代とも、どちらも出会い系サイトを通して関わり合いを持った祐一。しかし、孤独な日々を送る彼が求めていたのは、たんなる肉体の結びつきではなく、実は心の結びつきだった。
佳乃にひどく心を傷つけられたことで殺害に及んでしまった祐一。その直後に出会った光代も、実は心を許せる相手を求め出会い系サイトに登録していた。妹と2人で暮らすアパートと職場を往復するだけの、孤独に押しつぶされそうな毎日を送っていた光代。
「本気で誰かに出会いたかった…」 孤独な魂を抱えた2人は、お互いを必要と感じ、心が通じ合う。そして、刹那的な愛にその身を焦がした直後に、光代は祐一から事件の告白を受ける。
一度は自首を勧めた光代だったが、出頭する直前に祐一と逃亡することを決意する。殺人犯との許されぬ愛…。生まれて初めて人を愛する喜びに満たされた彼女は、彼と共に絶望的な逃避行へと向かう。やがて地の果てとも思える灯台に逃げ込んだ2人は、幸せなひとときを迎えるが、その逃避行が生んだ波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく…。
なぜ祐一は人を殺したのか?なぜ光代は殺人者を愛したのか?引き裂かれた家族の運命はどうなるのか?絶望のどん底に突き落とされた人間たちが、善悪の葛藤の中でもがき、そしてその先にひとつの謎が生まれる。いったい誰が本当の“悪人”なのか?その答えが明かされたとき、物語は衝撃と感動のクライマックスを迎える―。

▼予告編



▼ 本作の舞台となった灯台/五島列島・大瀬崎灯台

2010年9月4日(土)吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23、JR吉祥寺駅北口徒歩約5分)(cf.本ブログ〈2016年05月03日〉)で、14:30~鑑賞。

「ヒックとドラゴン」

作品データ
原題 How to Train Your Dragon
製作年 2010年
製作国 アメリカ
配給 パラマウント 
上映時間 98分


『リロ&スティッチ』のディーン・デュボア&クリス・サンダース監督が、クレシッダ・コーウェル(Cressida Cowell、1966~)による同名児童小説を原作とする友情と勇気の感動ファンタジー・アドベンチャー・アニメ。ドラゴンとバイキングが互いに憎しみ合い終わりのない戦いを繰り広げていた時代を舞台に、傷ついたドラゴンと気弱なバイキングの少年との間に芽生えた奇跡の友情と成長の物語を迫力の3D映像で描き出す。主人公ヒックの声に『ミリオンダラー・ベイビー』『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のジェイ・バルチェル。その他の声の出演にジェラルド・バトラー、アメリカ・フェレーラ、ジョナ・ヒルら。

ストーリー
遠い昔。遥か北の海に浮かぶバーク島と呼ばれる島には、海賊のバイキングが暮らしていた。彼らは長きにわたって自分たちを襲うドラゴンを憎み、村を守るためにドラゴンたちと戦い続けていた。幼い頃からドラゴンを倒すための訓練に励み、ドラゴンを倒して初めて一人前のバイキングと認められるのだった。
ところが、鍛冶屋のゲップのもとで見習い修業中の少年ヒックは、気が優しくて何かと問題を起こす非力な落ちこぼれバイキングだった。村に度々襲来するドラゴンとの戦いではいつも邪魔者扱いされていた。ヒックの父で、一族のリーダーでもあるストイックも、変わり者の息子の扱いに悩んでいた。
ある夜、ドラゴンたちが島に襲来したときにヒックは、体力の劣る自分にだってドラゴン退治ができるのを大人たちに見せたいと、戦いに紛れて自分で作ったドラゴン捕獲のための投擲機(とうてきき)を外に持ち出した。そして、夜空に、まだ誰もその姿を見たことがないというドラゴン、ナイト・フューリーらしきドラゴンを目にしたとき、投擲機で見事に撃ち落とし、ドラゴンは岬の向こうに落ちていった。だが、それを見た者がおらず、父親のストイックはもちろん誰からも信じてもらえなかった。
翌日、ヒックは撃ち落としたドラゴンを確かめるため、村はずれの岬の周囲を探索することにした。そして、小さな湖のそばで、投擲機から発射された縄に巻かれ傷ついて横たわっているドラゴンのナイト・フューリーを見つけた。ヒックはナイフを取り出し、「僕はバイキングだ!父さんに見せるんだ!」と自分に言い聞かせながら、ドラゴンを殺そうとした。だが、なぜか殺すことができなかった。巻きついた縄をナイフで切り落とすと、ドラゴンはヒックに伸し掛かってきた。殺されるんではと恐怖に怯えるヒックだったが、ドラゴンは彼の顔を見つめると咆哮をあげ、そのまま飛び去ろうとした。
しかし、空から落ちたときに尻尾の先の片方の翼を失っていたドラゴンは飛ぶことができなかった。うまく飛べないドラゴンは、湖の魚を捕まえることもできなかった。それを見て可哀想に思ったヒックは、食料として魚を持参した。
最初は互いに警戒していたが、次第に打ち解け、ヒックと、彼が“トゥース”(日本語吹き替え版ではトゥースだが、英語版ではToothless=歯無し)と名付けたドラゴンとの距離が次第に縮まっていった。
ヒックは、トゥースが飛べないのは尻尾の翼を失ったからだと考え、トゥースのために手作りの片翼を作ることにした。たくさんの魚をトゥースに食べさせて注意を逸らしながらヒックが片翼を取り付けた途端、トゥースは彼を尻尾に乗せたまま空に飛んだ。初めは、少ししか飛ぶことができなかったが、ヒックは片翼の改良を重ね、トゥースの背中に鞍を取り付け、練習を重ねた。やがて、一緒に自由自在に大空を飛べるようになった。
島では、ドラゴンの棲家(すみか)を見つけるためストイック率いるバイキングたちが船に乗って出かけており、残された子供たちはゲップを教官に、ドラゴン退治の訓練に励んでいた。ヒックも訓練に参加していたが、最初はへっぴり腰で、彼の憧れの少女、気丈なアスティや他の仲間にバカにされてばかり。
でも、トゥースと親しくなっていったヒックは、ドラゴンの習性や弱点をいろいろと知り、おかげで訓練では徐々に成績が上がり、仲間から一目置かれるようになった。ただ、アスティだけは、急に成績の上がったヒックに不審の目を向けていた。
しばらくしてストイックたちが、ドラゴンの棲家を見つけられずに戻ってきた。気落ちしていたストイックだったが、ゲップからヒックがドラゴン退治の訓練で目覚ましい成績を上げたと聞き、これで息子も一人前のバイキングになれると大喜びした。
ヒックは成績トップとなり、バイキングたちを前に最終試験として実際にドラゴンを殺すところを見せなければならくなった。だが、トゥースと友達になっていたヒックには彼らを殺すことなんて、とてもできなかった。いっそトゥースと一緒に逃げ出そうと家出することにした。身支度をしてトゥースのもとに向かうと、突然アスティが現われた。ヒックの後を付けてきていたのだ。何とか誤魔化そうとするヒックだったが、急に成績が上がった秘密を教えなさいと強引に迫るアスティ。そのときトゥースが、友達をいじめていると思ったのか険しい表情をして二人に近寄ってきた。驚いて逃げ出すアスティだが、トゥースに乗ったヒックが追いかけてきて彼女を捕まえた。そして、怖がらないで乗ってみてとヒックに言われ、仕方なくアスティは恐る恐るトゥースの背中に乗った。空に舞い上がると最初はキャーッと悲鳴を上げたアスティだったが、やがて怖さが消え、彼女もドラゴンは自分たちの敵ではないと思い始めた。
その時、突然、大勢の獲物を抱えたドラゴンたちがヒックとアスティの周りに現れた。急に逃げ出すこともできず、ドラゴンたちの向かう方向に一緒に飛び続けると、ストイックたちが必死に探していたドラゴンの棲家にたどり着いた。
棲家には、巨大なドラゴンがいた。その巨大ドラゴンに食料を差し出すため、ドラゴンたちはバイキング一族の島を襲っていたのだ。巨大ドラゴンは、持参した食料が少なすぎる小さなドラゴンがいたら、そのドラゴンを丸ごと食ってしまう残忍さを持っていた。真実を知ったアスティは島の人たちに話すと言ったが、ヒックはトゥースが殺されるかもしれないから今は秘密にしてくれと彼女に頼んだ。
ヒックは最後の試験に臨むことにした。その場でバイキングたちに、ドラゴンを殺す必要はなく、彼らを誤解していたことを知ってもらおうと考えたのだ。檻から出てきたドラゴンを前にして、ヒックが武器を捨て、手を差し伸べようとする姿にバイキングたちは驚いた。それを見たストイックは、ヒックの行為に怒鳴り声をあげた。その拍子に、ドラゴンが凶暴さに目覚めたかのようにヒックに襲いかかってきた。あわや食い殺されようとした時、ヒックの危機を悟ったのか、トゥースが彼を救おうと飛んできた。
だが、ドラゴンを追い払いヒックを救ったトゥースだったが、まだドラゴンが敵だと思い込んでいるストイックに捕獲されてしまう。ヒックは誤解を解こうとストイックに説明するが全く聞き入れられず、ストイックは「お前はドラゴンに寝返った!」とヒックを裏切り者扱いした。そして、トゥースを鎖でつないでドラゴンの棲家に船を引き連れて向かった。残されたヒックは、アスティと共にトゥースを助けることに決めた。アスティが訓練仲間たちに事情を話すと、彼らも喜んで協力を申し出た。
ドラゴンの棲家に辿り着いたストイックたちは、岩を崩し大きな洞穴の中に押し入った。すると、ヒックが話していた獰猛な巨大ドラゴンが現われた。暴れ狂う巨大ドラゴンに、バイキングたちは全く太刀打ちできず、次々と傷つき、逃げまどうばかり。その時、訓練場のドラゴンに乗ったヒックやアスティたちが空を飛んでやってきた。トゥースの救出とバイキングの加勢に来たのだ。
それを見て、初めて自分が間違っていたことに気づくストイック。アスティたちがドラゴンと共に勇敢に巨大ドラゴンと戦っている最中、ヒックはトゥースの鎖を解きに船に向かった。船は巨大ドラゴンが吐いた炎で火の海と化し海に沈んでいったが、ヒックは水中に潜り必死に鎖を解こうとした。だが、なかなか解けず息が切れて気を失いかけた時、ストイックがヒックを海から引っ張り上げ、自分が飛び込んで鎖を解き放った。
ヒックは自由になったトゥースにまたがり、巨大ドラゴンに立ち向かっていった。トゥースが空高く飛び上がると、巨大ドラゴンも追いかけるように飛び上がった。激しい空中戦が続いたが、最後に巨大ドラゴンが大きく口を開いたとき、口中にトゥースが強烈な炎を噴き放った。トゥースと仲良くなるなかで、ヒックはドラゴンの口の中が炎に弱いことを知っていたのだ。案の定、弱体化した巨大ドラゴンは地上に真っ逆さまに激突し、辺りは猛烈な炎に包まれた。
倒した巨大ドラゴンから飛び去ろうとしたとき、鞍が外れヒックは炎の中に落ちてしまった。それに気づいたトゥースはヒックを助けに炎の中に飛び込んだ。やがて炎が沈静化したが、ヒックの姿はどこにもなかった。死んでしまったのかと悲しみに暮れるストイックだったが、横たわっていたトゥースが折り畳んでいた翼を広げると、その中に傷つき気を失ったヒックがいた。トゥースがヒックを守ったのだ。
そして幾日か経ち、ヒックはバーク島の自分の家で目を覚ました。起き上がろうとして、左足の先が義足になっているのを知った。巨大ドラゴンとの戦いには勝ったが無傷では済まなかったのだ。ヒックが外に出ると、バイキングたちがドラゴンたちと共に仲良く暮らしている姿を目に入った。ヒックたちの活躍によって、バーク島にやっと穏やかな日々が訪れたのだった―。

▼予告編


2010年9月3日(金)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、17:15~鑑賞。『時をかける少女』14:45~と2本立て上映。

「時をかける少女」

作品データ
英題 Time Traveller, The Girl Who Leapt Through Time
製作年 2010年
製作国 日本
配給 スタイルジャム
上映時間 122分


筒井康隆の名作SFジュブナイル(juvenile)『時をかける少女』の4度目の映画化作品。主演は2006年のアニメ版でも主人公の声優を務めた仲里依紗。2010年、母に願いを託されたヒロインが1970年代へタイムリープ。そこで出会った純朴な大学生に助けられながら母の初恋の人を探すが…。共演に中尾明慶、安田成美ら。監督は、これが長編デビューの谷口正晃。キャッチコピーは「記憶は消えても、この想いは消えない。時を超えて、今、新たな物語がはじまる」。

ストーリー
高校卒業を目前に控えた芳山あかり(仲里依紗)は、母・和子(安田成美)が薬学者として勤める大学にも無事合格し、新たな生活に胸を弾ませていた。そんな折、母が交通事故に遭い、事態は一転する。
「過去に戻って、深町一夫(石丸幹二)に会わなくては…」と必死に訴えながら昏睡状態に陥った母の願いを叶えるため、あかりは母が開発した薬を使って1972年4月にタイム・リープすることを決意する。
時空を飛び越え到着した過去の世界は、何と1974年2月!間違えて行くべき場所から2年も経った時代に飛んでしまったあかりは、そこで偶然出会った映画監督志望の大学生・溝呂木涼太(中尾明慶)と共に「深町一夫」を探し始める。四畳半一間のアパートに同居し、涼太の映画製作を手伝ううちに、やがて彼女は彼にほのかな恋心を抱き始めるが…。

▼予告編



Full Movie