ヤスヒコの不満は当然のことだと思う
ある時急に元恋人から呼ばれて待ち合わせたらその場に今の恋人と一緒に待っていたら…
アタシもハッキリ顔に出して怒ると思う
元々常識のズレた男(ケン)だから仕方ないのかな…
喫茶店に入ったところでアタシからヤスヒコへ謝罪した
そして今回の経緯を表面だけ話をした
「うちらね今日で別れるんやんか そんで別れる前にこのコ(ケン)がヤスヒコに話したい事がある言うて…」
そこまで話すとヤスヒコはケンに対してこう言った
「わざわざ呼び出して何を話したいねん」
「あのな、ヤスって今も○○(アタシの名前)に付き纏ってるんやろ?そうゆうのやめてほしいねん」
「お前ら別れるんちゃうんか?別れる時になんでお前にそんな事言われなあかんねや?
ましてお前の気持ちでワシを呼んだやろ?ワシらは初対面やねんから挨拶なり侘びなりせぇや」
ヤスヒコの言い分はもっともだ
アタシはどちらかに肩入れする気も無いし黙って聞いているしか無かった
「あ…ごめんな急に呼び出して」
「で、お前は何をしたいねん これからも付き合って行く言う話で男が心配してそうゆう話をするなら解るけどな」
「別れるのは間違いないねんけど、先々ヨリ戻すかもしれへんねん
だからヤスがこれからも付き纏ってたら俺も心配やし○○も困るやんか」
「お前わいとんか?何を自分の主張だけしとんねん
こいつが困ってるかどうか以前の話やな お前は別れてもこいつを独占しようっちゅう話やろ
お前こそ迷惑な話やんけ」
「それはどうゆう意味なん?」
「お前はこいつと別れて後でヨリを戻すかもしれんからワシに近寄るな言うてんねやろ?
こいつがお前と別れてからどうするかなんてお前に関係ない話ちゃうんか
こいつは別れたらお前の物ちゃうねんぞ」
「でも○○の気持ちもあるやんか ヤスに付き纏われて迷惑してたら助けたりたいと思ってん」
「それはこいつが言うたんか?」
「いや…言うてへんけど」
「…あのなぁ言うたらなんやけどワシはこいつとはお前より長い付き合いやねん
お前も知ってると思うけどこいつと付き合ってた時期もあるんや
こいつはな、お前が思ってるより男が寄ってくるねんぞ ワシはその一人にすぎんっちゅうわけや
お前がこいつを独占できるのは付き合ってるっちゅう理由があるからやろが
別れるのにどうこう言われるスジはあれへんぞ」
ケンは黙って聞いていた
アタシがどうこうってゆう部分はおいといても、やはりヤスヒコの言い分が正しいとしか思えなかった
常識のある人間なら同じ気持ちになると思う
アタシはアイスラテのグラスをかき混ぜながらそれまでより更にケンへの気持ちが冷めていくのを感じてた
「じゃあヤスはこれからも○○に近寄るってことなん?」
「それはお前に言われるスジやない言うとるやろ ワシはこいつに惚れとんねや
こいつがほんまにワシのことを迷惑してるんちゃうねやったらワシはこれからもこいつの側におるつもりや」
ヤスヒコが言った言葉にケンはアタシに聞いてきた
「○○はどうしたいん?」
「アタシ?てゆうか何でアタシに聞くの?アタシは最初っからヤスヒコ呼ぶの嫌って言ったやん」
そう聞いてきたケンは拳を握ってその手は震えていた
「お前はどう考えてるかしらんけど、ワシはこいつとヨリ戻したら結婚しようと思ってる
別れるねやったらこいつを自由にしたってくれや」
この発言にはアタシも驚いたけどその場は黙っておいた
ケンはもう何も言い返すことができなかった
「もう話すことないねやったらワシは帰るぞ」
そう言ってヤスヒコは席を立った
「呼び出してごめんね」
それだけ声をかけるとヤスヒコは店を出てアタシとケンはその場に残された
ケンはヤスヒコが去ってからやっと口を開いた
「むかつく…殴ってやりたかった」
そう思うのなら殴ったらよかったのに
殴り合いでも何でもしたらいいのに
体格差から考えてもケンが負けるのは明らかだけど…
むかつく相手に反撃のできないような人間は好きじゃない
暴力じゃなくても多少のボキャブラリーがあれば口撃はできる
この男はやっぱり頭の悪いガキなんだ
アタシは何も返事せずにタバコを吸いながらそんなことを考えてた
ケンはブツブツと同じコトを繰り返しつぶやいていたがアタシは全然聞く気もなかった
タバコも調度吸い終わり話も進展はないので疲れてきた
「出ようか」
ひとことだけ声をかけてアタシは席を立った
ケンも後をついて店を出て一緒に車に向かったけどアタシはあまり話す気にならず黙って歩いた
車に乗りアタシの家まで送ってもらう最中もケンはまだブツブツ言っていた
元々呼ぶなというのを呼んだのはケンだ
ヤスヒコにしたっていい迷惑なわけだし…
まして今日で別れるのにこいつは自分のコトしか言ってない
家についていつもの様に近隣の駐車場へ入れてくると言うケンにこのまま帰ってほしいと言うと解ったと帰っていった
これで終わった
ケンとの時間は全てが嫌なわけじゃなかったけど…
部屋に帰って一服しながらヤスヒコに電話をしてその日の非礼を謝った
電話を切ってすぐに部屋のチャイムが鳴った
案の定ケンが立っていた