ヤスヒコに少しだけ慰めてもらった日の朝はアタシの誕生日だった


たまたまその年はアタシの誕生日は週末にかかっていた



日が暮れた頃にケンから電話があり食事に出かけた


別れる事を前提にした二人が誕生日の食事をする事に何の意味があるんだろう…


そう思いながら食事を済ませアタシの家に向かった


先に帰っておいてとゆうので先に部屋に帰りタバコを吸っているとケンが入ってきた


大きな紙袋を持って満面の笑みで「これ誕生日プレゼントやねん」と差し出した


中に入っていたのはピンキー&ダイアンの財布と低反発の安眠まくらだった


財布はわかるけど枕はなんでやろと思って聞くと


「最近眠られへんって言ってたから」と答えた


眠られへんのはあんたのせいでもあるやろと思っていたけど黙っておいた


枕なんて誕生日にもらったのは初めてだった


後々連れに「誕生日に枕くれるのってどう思う?」と聞くと「ええやん」と言う子もいれば「ありえへん」という子もいた


アタシの気持ちは後者だった


ちなみにこの枕は今の彼氏の愛用枕になってたりするんだけど…



それからクリスマスに買ってきた店と同じケーキ屋でケーキを買ってきていてそれを食べた


その晩うちにケンは泊まっていき、アタシに触ろうとしたけどアタシはそれを拒否した



男にとっては流産なんてなんともないんだろうけど、アタシにとっては色んな思いが重なってその事実は大きくなっていた


何故こんな男相手に子供ができたんだろう…一番欲しかった相手の時にはできなかったのに


今後自分に子供ができるのか?それとも出来てもまた今回みたいに流産するんじゃないか?


こんな事がずーっと心に残っていた


これは今でも不安に思っている部分がある


そんな中で無責任な言葉を吐いたこの男はまだアタシに触れてこようとする


触れてこようとしたケンに一瞬殺意まで生まれた



翌日はアタシとケンの共通の友人数人でアタシの誕生日を祝ってくれた


アタシはそこでしこたま飲んでほんと年に一度あるか無いか位に酔っぱらっていた


途中からの記憶なんか全然ない


友達の話では朝になり皆解散する時に道路の真ん中でケンに対して罵詈雑言を浴びせていたとか…


目が覚めたらベッドの上で服を着たままうつぶせになって寝ていた


昼過ぎにケンからメールが来て「そんなに俺の事嫌いやと思わなかった」と書かれていた


ケンの仕事が終わった頃に電話をした


アタシの行動が全然わからなかったので…


道路の真ん中で騒動してるアタシを宥めて車に乗せてアタシの家について車から降ろして部屋まで送ろうとしたそうだ


そこでアタシは「触るなクソガキ」とか「お前なんか絶対幸せになれへんわ 口だけ達者で中身の無いガキやから」と言ってエレベーター前でまた騒動したらしい


迷惑かけたので一応謝ったけど…酔ったアタシは言いたい事はちゃんと言ってたみたいだ w



でも情けない話だけどアタシはケンと付き合って和浩が亡くなってからデートらしいデートをしたりそうゆう事が凄く新鮮でこうゆう恋愛っていいなって思っていた


それまで遠ざかっていた健全なデートとかそうゆうのを望んでて…それが無くなるのが嫌だったんだ


そうじゃなきゃもっと早くに期限なんて延ばさずに別れることを選ぶわ


セックスも合わなけりゃ性格だってあわないのに何に固執しようとしてたんだろうね


今考えたら可笑しくなるわ



そして最後のデートの日が来た


居酒屋で飲みながら話をして…その時にケンがこう言った


「俺さ、嫌いになったのかまだ好きなのかわからなくなってん だから今は一度離れて考えてみたいねん

 そんでな、今日から調度3ヵ月後にもう一度会おう その時に俺も自分の気持ちが解ってると思うから

 その間は俺も他の子と付き合う事とかしないから待っててほしいねん」


それからまたこう続けた


「まだヤス(ヤスヒコの事)に付き纏われてるんやろ?俺が話ししてやるわ 明日3人で会おうや」


アタシはそれを拒否したけどケンの言い分は、これから3ヶ月後また付き合う事になったとしてもヤスヒコの事はひっかかるから一度話をしておきたいと…


渋々了承して、翌日ヤスヒコを電話で呼び出した


待ち合わせ場所にケンと二人で居たのでヤスヒコは驚いていた


すぐ近所の喫茶店で話をすることになった


ヤスヒコは怪訝な顔をしていた


そりゃそうだよね



アタシも何故ケンが別れる日にヤスヒコを呼び出したのか未だに理解できない



こうして今から別れようとしている男とストーカー扱いされる男の意味のわからない口げんかが始まった