きっとアタシは脚を引き摺るようにして歩いていたと思う
福原・桜筋のネオンの向かいの信号まで進んでもまだ迷っていた
信号を渡りコンビニで飲み物を買おうと入ったところで店長に会ってしまった
もしあの時、店長に会わなかったら?
アタシは逃げ出していたかもしれない
「まいちゃんおはよう 一緒に行こか?」
その声がアタシが風俗嬢になる最後の一線を越えるか越えないか悩んでた所を背中から押したような気さえする
風俗街の中の雑居ビル2階にあるその店はお世辞にも綺麗とは言えないところだったが値段の安さからかそれなりに繁盛していた
30分6000円ぽっちのお金で男の精は処理できるわけだ(店からは延長とるように言われるけど)
手軽さから言ってもそりゃ繁盛もするわ
待機室で持参したキャミに着替えて座ると昨日は冷たい視線をアタシに投げかけていた一番偉そうにしていた女が話しかけてきた
「出身はどこなん?」「どこから通ってるん?」なんて在り来たりの質問をされ適当に答えたけど何か探りたそうなのが言葉の端々からとれる
たかだかこんな店で少し先に働いてただけで偉そうにしてる、しかも大した度量もなさそうな癖に…嫌な女だ
それから昼番の女の子たちも同じ待機所にいて上がる時間になるのを待っていてアタシはその嫌な女の質問を受け答えしてたんだけどそれを昼番の子たちが好奇の目で見てる気がしてイライラし始めていた
アタシは顔に出るタイプなんでその女も何か察したようで話をやめた
それから昼番の子たちは帰っていき夜番のメンバーが皆揃ったところで出前をとる事になった
中国人のやってる中華屋でうまいところがあると皆そこから出前をとることにした
よくわからないまま「何にする?」と聞かれ「じゃあ焼飯で」と答えた
出前を頼むため一人の女の子がフロントへ出ていくと店長が入れ替わりで待機所へ入ってきた
「まいちゃん、パネル用の写真とるからこっち来て」
そしてしばらく客の入っていないボックスへ行き店長の指示の通りポーズを作り数枚のポラを撮られた
待機所へ戻りしばらくすると、新人ってことで店長がプッシュしたらしくアタシの指名が入った
いよいよか…
そう思ってローションやおしぼりを準備してもらった篭をもちパンツを脱いでフロアへ出た
ペンライトを持って暗いフロアを照らしながら指定されたBOXへ…
「いらっしゃいませ ご指名ありがとうございます」
水商売でも言いなれた台詞
でもこの時のアタシの顔は多分ひきつっていたと思う
「新人さんだってね 俺がはじめて?」
と聞かれ
「そうなんです よろしくお願いします」
と言うと
「嬉しいなぁ さ、こっちに座って」
と隣に座る様に促された
見も知らないおっさんは辺りの暗さに目が慣れてよくみるとそんなに不恰好ではない
ビールを勧められ乾杯してグィっと飲んだ
最初はどうしたらいいんだろう?
考えていたらおっさんは「まずおっぱい触らせて」と…
キャミの肩紐をずらして目の前の知らないおっさんの前に曝け出した
「大きいねえ… 綺麗なおっぱいだ」
そんなのどうだっていい 寧ろそんなこと言ってほしくなかった
そんな言葉を吐いて喜ぶとでも思ってるのかこのじじい…そう思って気持ちが悪かった
一頻りアタシの乳を弄びしばらくすると先に店長を呼び延長を告げた
それから「じゃあ俺のも責めて」そう言うとズボンを下げ半裸になった
慣れてないのが解ってるからかナメラレてるんやろな…そのまましろって?
「まずはシャワーに行きましょうよ」そう言うと渋々ズボンを上げて狭い簡易式シャワーへ二人で入った
そしてBOXへ戻りすぐに半裸になったおっさんは既に勃起していた
それが当たり前のようにグロテスクな欲の塊を堂々とアタシにさらけ出す
なんて恥さらしな男
そいつから金を払ってもらうアタシはそのまた下ってこと…
「ほら、こんなになってるねん 早くして」
ローションを手に取りおっさんのモノを掴み上下させた
硬さは一層増しおっさんは女の子みたいに「あ…あん」と声を上げる
…寒気がした
その手を離して目の前にいるトドの様に横になり奇声を発する物体を蹴り上げたい衝動にかられる
じっと我慢してるとおっさんは「アナルに指入れて」と言い出した
ケツの穴に指を入れる?
逆にされた事はあっても男のアナルを責めたコトはなかった
「やったことないからわかりません」
「大丈夫 俺のお尻にたくさんローションつけて入れてくれたらいいから」
要望通りローションをおっさんの尻めがけて大量にかけた
そしておっさんの汚いケツの穴に指を入れた
一層きもちよさそうに喘ぐ
ケツの穴に入れた指はヒクヒクしめつけられ血が通わなくなってるのか冷たくなりはじめてた
この変態じじい…死んだらいいのに 早く帰れ
その一心だった
顔は無表情になっていたと思う
話もせずに黙々とおっさんのモノを扱いて射精させた
ケツに入れた指が吐き気がしそうに臭かった
篭に準備してあるおしぼりでおっさんの精液をぬぐいアタシも大量におしぼりを使い手を拭いた
まだ少し時間が残っていたがおっさんはヌルヌルの下半身はそのままに満足気に帰っていった
待機所に戻る前に店長が「どうだった?」と聞くので「どうもこうも…まだようわかりません」と答えドアを閉めた
屈辱感と傷付けられた自尊心で何も考えられない
とにかく自分の体を浄化したい…
シャワーを浴びる前に手を洗いたくて洗面で手を念入りに洗っていたら最初に仕事道具を準備してくれたSさんが声をかけてきた
「大丈夫?はじめてやから驚いたやろ…」そう言われ一瞬気が緩みそうになった
「いえ なんてことないです それより匂い取れる石鹸とか消毒液とかありませんか?」と言い消毒液をわけてもらった
それからシャワーを浴びて部屋に戻ると残っていた数人が「お疲れさん」と声をかけてきた
アタシは無言でそこに座ると「出前届いてるで」と冷め切った焼飯を差し出された
「あ、どうも」そう答えお金を払い冷め切った焼飯を食べた
シャワーを浴びたせいか気分の悪さは多少マシになっていた
出前の焼飯は冷めていたのに腕がいいのかやけにおいしかったのを覚えてる
こんな時にも食欲ってあるんだな
さっき声をかけてくれたお姉さんはきっといい人やと思う
でもその時は誰とも話したくなかった
こんなもんだ…たいしたことない…
冷めた焼飯を口に運びながら嫌な感覚を麻痺させる様に何度も何度も頭の中で繰り返していた
そんなアタシの気持ちを知ってか知らずかその日にあと二人に指名された
その度同じように無言で呪文のように(大した事ない 大丈夫)と頭で繰り返した
店の営業時間が終わって帰りにも「お疲れ様でした」とだけ言い残し一番に店を出た
帰り道で歩きながら
もう引き返せない…今更一緒なんだ…一歩を踏み出してしまったんだ
そう思ったら一人になった安心感だろうか…涙がこぼれた
アタシはこうやって風俗嬢としてデビューした